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導入時も試用時も不安を感じさせないプロの仕事

学童保育の基幹アプリとして機能するkintone 本職が作るとこうなる

2025年09月23日 10時00分更新

 「デジタル化が進んでいない学童運営にkintoneを導入し、根付かせるまでが私の挑戦でした」。仕事に忙しい保護者や職員に支えられている学童保育は、長らく紙だらけで、情報共有も難しかった。そんな現場をkintoneのプロが改善したら?

 サイボウズが開催した「kintone hive 2025 osaka」の3番手として登壇した、ときわ学童三明クラブの吉崎正浩氏は、kintone hive初となる学童クラブでの導入事例を披露。吉崎氏の本業であるkintoneの経験を発揮した、保護者も職員も納得のkintone導入はどのように行なわれたのだろうか?

ときわ学童三明クラブの吉崎正浩氏

本職があり、会う頻度も少ない学童の保護者

 「身近なコミュニティにkintoneを使おう」というタイトルで、学童でのkintone活用について事例を披露したときわ学童三明クラブの吉崎正浩氏。本職はとある業界の開発職で、kintone歴は11年に及ぶ。中学3年、小学5年の娘さんをお持ちのお父さんで、今回は保護者という立場で、9年間利用してきた学童保育でのkintone導入を説明するという。

 学童保育は、保護者が日中家庭にいない小学生の児童に対して、遊びや生活の場を与える放課後児童クラブのことを指す。吉崎氏の所属するときわ学童三明クラブは、大阪市阿倍野区にある学童で、現在は28世代(31児)の保護者と保育計画や日々の保育、アルバイトのマネジメントなどを行なう正規指導員で2名で運営されている。

ときわ学童三明クラブの運営体制

 平日は放課後、土曜日は朝から19時まで保育を行なっているが、単に保育だけではなく、キャンプやドッジボール大会、けん玉大会など、年間さまざまなイベントを行なっているという。「1年生は弟・妹の立場、6年生は兄・姉の立場となり、イベントを通じて、成長していくことが想定されています」(吉崎氏)。

 ときわ学童三明クラブは、28世帯の保護者が代表・副代表、人事、会計、イベント、Webなどなにかしらの係についているが、それぞれ本職を持っている。毎年卒入所があり、係の任期は1年(継続あり)。月1回の運営委員会で全員集まって、学童運用を取り決めている。吉崎さんは「スキル、教育、職種などがバラバラで、直接会う頻度は少ない。でも、最高決定機関である学童を運営している。年齢層は比較的近い」と学童の保護者についてこうまとめる。

手がつかなかった学童のデジタル化 コロナ禍に一気に進める

 kintone導入前の課題は、やはり紙資料が多かったこと。前述した通り、保護者は学童にいないため、紙資料が多いとそもそも閲覧ができない。まして紙資料を各係が独自に持っていたり、LINEグループで議論をしていると、他の係の動きが見えないという問題も出ていた。そもそもツールもないため、コロナ渦や急ぎの時は、運営で重要な決定がメールに依存していたという。

kintone導入前の課題

 この状況に風穴を開けようと考えたのが、本職でkintoneを使ってきた吉崎氏。コロナ禍で保護者も児童も学童に行けない状況が続いたことで、手のつかなかったデジタル化を一気に進めようというのが導入の背景にある。「デジタル化が進んでいない学童運営にkintoneを導入し、根付かせるまでが私の挑戦でした」と語る。

 導入は2021年12月からスタート。保護者同士の「学童のデジタル化がなかなか進めないですよね」という会話から、吉崎氏がkintoneを提案することになり、翌月の運営委員会で導入用の資料を提出したという。「私はこのとき学童6年目だったので、運営のことはだいたい把握していました。だから、kintoneをこう使えば課題が解決できるという提案には自信がありました」と吉崎氏は語る。

 そのプレゼンでは、kintoneでできそうなこととして、イベントカレンダー、資料や写真の共有、掲示板による意見交換、購入品や名簿、連絡先の管理、アンケートの実施、ワークフローによる事業の承認などが挙げられた。また、イベントカレンダーや報告書の作成、児童の出欠管理など指導員にもメリットがある機能も提案されていた。電子化の促進や意思決定の迅速化、電子ファイルの置き場の設置などが実現され、学童運営で必須なことがkintoneで一括対応できると提案した。

 吉崎氏が導入に向けて他の保護者に伝えたことは、「kintoneのことはだいたい把握しているから、管理やアプリ作成、トレーニングは全部任せてほしい」という強いコミット。また、「今の運用手順もほとんど変える必要がなく、楽になる」とメリットもアピールしつつ、導入用試用やアプリの作り方、新入職員用の資料、アプリ作成依頼アプリなども準備することも合わせて伝えた。「とにかく不安をやわらげることに注力しました」と吉崎氏は語る。

とにかく不安をやわらげるように

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