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双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細

2025年09月22日 12時00分更新

レーザー出力が非常に低くても5dB以上のマージンを確保できる

 まだ2025年の8TbpsのTeraPHYは信頼性やMCPなどの確認は終わっていない(まさに今やっている最中である)わけだが、デモにおいては通信状況は非常に良好とされており、通信状態も非常に良いとしている。

通信状況は非常に良好というデータ。右上はUCIeのData Eyeで230mVと十分な高さが執れており、またBERも5日間連続で通信して、エラーが検出できなかったとする

通信状態も非常に良い。ほとんどのケースではLink Marginは5dB以上取れているが、Firmwareのバグで、Link Marginが2.5dB前後のケースも若干あったとする。ただこれはもうバグの特定済とのこと

 SuperNovaからのレーザー出力は波長あたり2.5dBm(1.78mW)程度と非常に低めで、それでいながら5dB以上のマージンが確保できる、としている。時間経過に起因する変動も少なめというのが説明だが、これに関しては今後加速試験などによってもっと長期間での結果が必要だろう。逆にそれが終わっていないので、ReliabilityやQualがまだ未完了になっているわけだ。

6時間程度の範囲で言えば、BERは安定しているし、送受信のPHYの温度もほぼ一定である。もっとも6時間では十分とは言えないと思う

 ケーススタディとして500WのASICにTeraPHYを接続した場合の温度についてのシミュレーション結果もあり、TeraPHYは60度前後に収まる、としている。

左下でOptical EngineとかかれているのがTeraPHYのこと。3mm離して実装という話だが、もっと密接させないのだろうか?

 最後にApplication Level ImpactということでNVL72やNVL144、つまりNVIDIAのGPUクラスターを利用してGPT-Yモデルを実行したときのユーザー数と利用可能なトークンの頻度をプロットしたものが下の画像だ。

NVIDIAのGPUクラスターを利用してGPT-Yモデルを実行したときのユーザー数と利用可能なトークンの頻度。メモリーも接続する方は、どのくらいの容量と帯域のメモリーを接続するかでも変わってくるので、このグラフをそのまま鵜呑みにするのも危険ではある

 ここでNVLinkをTeraPHYを使い高速化した場合、さらにメモリーもTeraPHYで接続した構成をシミュレーションすると、GPUそのものを高速化しなくても大幅に可用性が向上する、としている。

 あくまでこれはシミュレーションであって、そもそもNVIDIAのGPUは外部のDRAMにアクセスできる構造がないので机上の空論ではあるが、将来の製品を考えるにあたっては考慮すべき話ではある。

 こうしたチップレットを製品の形で提供したい、というメーカーはこのAyar Labsともう1社、カナダのRanovusがある。Ranovusはすでに限定的ではあるがODINと呼ばれるパッケージの出荷を開始しており、今はAyar LabsとRanovusの2社がどちらもパートナー企業にさまざまなアプローチを競うように行なっている段階である。

 今回のHot Chipsでの発表は、そうしたパートナー企業探しの一環でもあり、同社の知名度を引き上げるための手法ともいえるだろう。さて、Ayar Labsのソリューションを採用するメーカーが果たして現れるだろうか?

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