ビール好きのみなさん、注目です。「一番搾り」でおなじみのキリンが、新しい定番ビールを打ち出しました。その名も「キリングッドエール」。「晴れ風」に続く今回は、エールタイプです。
「一番搾り」「晴れ風」に次ぐ3本目の柱
「キリングッドエール」10月7日発売
キリンビールは「キリングッドエール」を10月7日より全国で定番発売します。アルコール分は5%、市場想定価格は350ml缶253円前後、500ml缶330円前後です。
同社は2024年4月に、「キリン一番搾り生ビール」と並ぶスタンダードビールとして「キリンビール 晴れ風」を発売しました。今回新しく登場する「キリングッドエール」は、「一番搾り」「晴れ風」に次ぐ第3の柱とされていて、“ビール市場に新たな価値を提案する、まったく新しいキリンビール”の役割をにないます。
「クライオホップ」を新しく採用
工場に新設備導入も
はたして、気になる味はどんなものなのでしょうか。
今回、“まったく新しい”おいしさを実現するため、素材や製法を一から検討。フルーティな味・香りと後味の良さを両立し、満足感のある味わいに仕上げたといいます。
まず注目したいのは、エールタイプのビールであること。キリングッドエールはその名のとおり、一般的な日本のビールであるラガータイプ(下面発酵)ではなく、エールタイプ(上面発酵)の酵母を採用しています。
さらに、香りの決め手となるのが「クライオホップ(Cryo Hop)」。世界有数のホップサプライヤー・ヤマキチーフ社による特許取得のプロセスで加工され、香り成分であるルプリンだけを取り出したペレット商品です。雑味や渋みを抑えつつ香りを際立たせることができ、クラフトビール界隈でも注目されています。キリングッドエールへの採用は、キリンビールとして初めてとなります。
ホップはアサ科のつる植物で、雌しべの毬花(まりばな)に含まれる「ルプリン」という小さな球体が香りや苦味の成分を担っています。クライオホップでは、このルプリン部分だけを分離・抽出することに成功しました。試飲会で一般的なホップのペレットと比べたところ、明らかに香り立ちが良いと感じられました
もっとも、このクライオホップの導入には課題もあったそうです。オイル分とα酸が多く粘度が高いため、従来設備ではホップ搬送時に詰まりやすく、大量生産が困難でした。そこで新設備を導入し、今回の採用が可能になりました。
ホップの品種としては、香り立ちの良い“アロマホップ”3種を使用。そのうちの1つがシトラホップであることが試飲会で明かされています。
製法面では、キリン独自の「ディップホップ製法」を発展させ、麦汁が発酵しはじめるタイミングでホップを添加。雑味を抑えつつ、フルーティーな香りを最大限に引き出しています。この製法は「ブライトアロマ製法」と名付けられています。
気になる味は……「みかん」「琵琶」の香り
事前に開催された試飲会では、キリンビール株式会社 マスターブリュワー・田山智広氏と、様々な食のイベントに携わるビアソムリエ・中島輝行氏によるトークシーンがありました。
ビアソムリエの中島氏は、飲んだ印象について次のように語りました。
「色の印象もありますが、最初に飛び込んでくる香りは“みかん”です。時間が経つと、木の芽のような樹脂感、さらに奥のほうにローズマリーのようなハーブも感じます。飲んでみると、みかんに、少しだけ“びわ”のような和の果実感。麦芽由来のキャラメルのような味わいもありつつ、余韻はエールらしくやや長め。最後に上質なほうじ茶のような滋味が口に残りますが、すっと美しく切れていきます」
マスターブリュワーの田山氏は「クラフト的な個性を感じさせつつ、キリンらしい“ドリンカビリティ(飲み飽きなさ)”は踏襲した新しいタイプ」と位置づけ、さらに「餃子、唐揚げ、ハンバーガー、ポテトなど日常の定番おかずに幅広く合う。本当にオールマイティなので、さまざまなシーンで楽しんでほしい」と語っていました。
フルーティーだけど食事に合う!
記者ナベコも試飲会で実際に飲んでみました。グラスに注ぐと華やかな香りが立ちのぼり、飲む前からワクワクさせられます。ひと口飲むと、みかんのような柔らかな柑橘フレーバーを思わせる爽やかな味わい。クラフトビールのようにホップの香りが全開ですが、苦みは少なく、華やかさが前に出ているのがすてきだなと感じました。
マスターブリュワーの田山氏が「食事に合う」と語ったとおり、香りは豊かでもピュアな味わいで喉ごしがよく、食事にも合わせやすそうな仕上がりです。
時間が経つとさらに香りが芳醇になり、味わいもふくよかに。ビアソムリエの中島氏は「注いでから5~6分なじませて飲むと、香りと味をより楽しめる」と話していましたが、あえてキンキンではない飲み方もアリというのは意外な発見でした。
クラフトビールらしさがありながら、日常的にも飲める新しいタイプのビール。香りの印象がラガーとはまったく違うので、普段ラガーを飲んでいる人は最初驚くかもしれませんが、その爽やかさから受け入れやすいと思います。また、ビールをふだん飲まないという人にとっては新しい入口になりそう。
発売は10月7日。ぜひお楽しみに!
※記事中の価格は税込
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