第838回
驚異のスループット! NVLink Fusionで最大900GB/秒を超えるデータ転送速度を実現する新世代AIインフラ
2025年08月25日 12時00分更新
今週から何回か、2025年8月21~22日に開催されたHot Interconnects 2025での話題を説明したい。
2日のクロージングの際のスライドより。Day 1・2が発表であり、Day 3はチュートリアルのみである。今年は大物が2日目に集中したので妥当な参加人数だろう。難点を上げると、日本からだと深夜1時からのスタートというあたり
Hot Interconnects絡みの記事は連載681回でSlingshot-11を取り上げた。今年もHot Interconnectsはネタの宝庫だったわけだが、無料で参加できる学会のわりに相変わらず参加人数は少ない。とはいえ今年の2日目は1000人を超える参加者があったので、だいぶ認知度は上がってきたのかもしれない。
ちなみに参加はZoom経由、質疑応答はSlack経由となっている。この仕組み、新型コロナウイルス感染症が流行した際に取り入れられた(それ以前は現地のみだった)ものだが好評だったようで、Hot Chipsはハイブリッド(現地参加とオンラインの同時進行)になったのに対し、Hot Interconnectsは引き続きオンラインのみで実施されている。
さてそのHot Interconnects 2025であるが、Day 2の午後のInvited Talk Session("Next Gen Interconnects")でNVIDIAが"Building Custom AI Infrastructure with NVLink Fusion"という講演をしたので、この内容を説明しよう。
複数枚のGPUを連携させる通信技術「NVLink」
まず最初に基本的な話を。NVLinkという名称はご存じの方が多いだろう。もともとはSLIという複数枚のGPU(最初は2枚だったが最終的に4枚まで増えた)を連携して動作させる際に利用されるインターコネクトだった。ただコンシューマー向けのGPUはもうNVLinkには「原則」未対応(例外はある)であり、むしろサーバー向けGPU同士の連携に使われるようになった。
最初にNVLinkとして提供されたのはP100向けでこれが第1世代。以後V100/A100/H200/GB200と世代が変わるごとにNVLinkも進化しており、現在のGB200向けのものが第5世代となっている。
世代で変わるのは速度だけではない。下の画像はP100世代でのNVLinkを利用したGPU同士の相互接続の方法である。8枚のP100は4枚ずつでクラスターを組み、クラスター内は相互接続の形を取り、クラスター間はそれぞれのGPUから1本ずつ接続する形であった。
ところがV100の世代、つまり第2世代のNVLinkからは、NVSwitchと呼ばれるNVLink用のSwitchが提供されるようになり、GPUカード同士を直接接続するのではなく、GPUカードとNVSwitchをつなぐ方式に切り替わった。
ちなみにGPU8枚が1つの単位となっており、大規模なシステムの場合はNVSwitch同士を接続することになる。この構図はA100/H100の世代も違いはない。
そんなNVLinkとNVSwitchであるが、現在出荷しているハイエンドはGB300 NVL72で、こちらは72枚のGB300カードを18個のNVLink Switch Chipで相互接続する形になっている。なお、NVLink Switch Chip≒NVSwitchとも思うのだが、あくまでチップであってSwitchの筐体ではないのでこの表現なのだろう。
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