第52回
目を疑うような大規模津波……その動画本物ですか?
災害時のSNSデマにヒヤリ! 生成AIで巧妙化する虚偽情報への対策は「冷めた目」
2025年08月24日 07時00分更新
津波警報に乗じたデマ投稿がSNSに氾濫
ASCII.jpのYouTubeチャンネル特番からスピンアウトした「思わずヒヤッと/ホッとした、ネットにまつわる怖い話」を紹介する連載第52回。
今回は「災害時のデマポストにビックリ&ヒヤリ!」というお話をお届けします。
津波警報中、どんどん流れてくるデマポスト、デマ動画にヒヤリ!
知り合いが海沿いに住んでいるため、先日のカムチャツカ半島の地震に伴う津波には驚きました。まったく揺れなかったのに津波警報の範囲内というのは恐ろしいですね。
そして、あっという間にデマが流れて来ることにもビックリかつヒヤリ! です。現在の科学で地震予知はできないことぐらい私でも知っているのに、「次は●●(地名)だ」「噴火が起きるのも時間の問題」といったツイートと一緒に怪しい動画を紹介しているアカウントがちらほら。
「こんなもん、おすすめしてくるなよ……」と心から思いました。
今回のヒヤリ案件は、災害にまつわるSNSへのデマ投稿についての投稿です。特にX(Twitter)においては、災害や事件が起こるたびにデマポスト(いわゆるデマツイート)が数多く投稿されて社会問題になっています。
2025年7月30日の午前中にカムチャツカ半島付近で発生した地震。揺れを感じなかった日本でも広く津波警報が発令され、日常生活や経済活動にも大きな影響を及ぼしました。
テレビやラジオでは津波に関する情報が逐次放送され、それを受けてか、Xでも避難を呼びかける多数のポストが見られました。海岸付近にいて放送からの情報を得られない人たちにとっては、避難情報をポストで知ることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
その一方で、「観測された4mの津波の様子」などと銘打って、海岸に巨大な津波が押し寄せる様子を撮影したかような動画のポストも見られました。
災害時は地震予知デマや寄付詐欺も出現
ご存じの通り、大災害につながるほどの津波は国内にほぼ到達していません。どうやら生成AIで作成したと思われる動画をあえて投稿したもののようです。おそらくはアクセス数稼ぎのためでしょうが、不謹慎極まりないデマです。生成AIによってこういったデマ動画がすぐさま作れてしまうことは認識しておくべきでしょう。
「次に日本のここで大地震が観測される」など具体的な地域を示して警告するデマポストも多く見られました。投稿者さんが指摘するように、地震の場所や日時、規模を高い精度で予測することは極めて困難であり、気象庁も同様に指摘しています。
大地震の際には、当該地域の「○○町○○で家具の下敷きになっています!」などというデマポストが投稿されることもあり、これが拡散されることで消防や警察の初動を妨げる事態につながります。
加えて、災害支援を騙ったデマポストからニセの支援サイトへ誘導する詐欺も発生します。寄付金と称して金銭を奪ったり、フィッシング詐欺のように個人情報を窃取する詐欺師が暗躍するのです。
さらにこの夏は、とある漫画作品での描写を巡って「2025年7月5日に日本で大災害が起こる」という「うわさ」が流れました。こちらの件もXを中心としてSNSや動画サービスで広く拡散され、同日前後は来日をためらう海外旅行者も多かったようです。NHKの調査によれば、当日の19時までに約20万6000件のデマポスト、リポストがあったとのこと。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう

