長期休暇の季節に増える詐欺メールは?
お盆休みが始まりました。11日が祝日ということもあり、丸々1週間休業という会社も珍しくないようです。
ただし、長期休暇にはトラブルが付き物。「豪雨でせっかくの旅行計画が台無しに」なんてのはまだ良いほうで、油断していると「口座情報の漏えいで貯金ゼロ! 来月の家賃どうしよう……」といった、人生を左右しかねない被害に遭うことも十分あり得ます。
「ETC利用照会サービス」からのメールはまずニセモノ
長距離移動で高速道路を利用する人もいらっしゃるかと思いますが、長期休暇の季節には必ず「ETC利用照会サービス」を名乗るフィッシングメールが飛び交います。
これは「450日間ログインがないと自動解約する」「決済方法の確認が必要」などと言葉巧みに偽Webサイトに誘導してクレジットカード情報を含む個人情報を入力させられたり、Vプリカの発行カード番号を送るよう要求してくる、というもの。
ETC自体は今や高速道路の利用に必須と言って良いものですから、驚いて文中のリンクをタップしてしまう人がいるかもしれません。しかし、ETC利用照会サービスを名乗るメールは基本的にすべてニセモノだと判断して構いません。
なぜならETC利用照会サービスとは、ETCの利用状況をブラウザで確認できる「無料」サービスだからです。保証金なども一切不要ですので惑わされないようにしてください。
詐欺師はフットワークが軽い!?
ただし、フィッシングメールの内容は情勢に応じて巧みに切り替わることがありますので注意が必要です。
たとえば、2025年4月に起きたNEXCO中日本管轄のETCシステム障害では、トラブル発生中の通行料金について後日清算という方針が採られた結果、それまでは「ETC利用照会サービスの決済方法」云々と書かれていたフィッシングメールがあっという間に「ETC未払いに対する請求」の体裁に変化したのです。
その後まもなくNEXCO中日本は料金請求を中止し、すでに支払ってしまった人にはポイント還元で対応すると発表しましたが……フィッシングメールのバリエーションに「ポイント還元用の利用者登録」が加わったことは言うまでもありません。
なお、ETC利用照会サービス自体も2023年に不正アクセスを受けたことがあります。その際は、不正ログインされてしまったユーザーには個別にメール連絡が届いたそうですが、その手の連絡を模したフィッシングメールが届いてもおかしくはありません。
2025年前半に猛威を振るった証券口座の乗っ取り事件では、証券会社からのセキュリティ強化連絡メールの内容をそのままコピーしたフィッシングメールが多数見つかっています。
もはや何を信じて良いのかわからない状態ですが、セキュリティ対策としてはあらゆるメールを疑って掛かるのが正解です。日頃から金銭にまつわるサービスの公式サイトはブックマークしておき、判断に迷うメールが届いたらそのメール内のリンクはタップせず、ブックマーク経由でサービスにログインして確認する癖を付けておきましょう。
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