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X870 vs B850! 初⼼者がASRockマザーボードの違いを探したらレベルアップして新技ファイアー‧リンク‧ブリザード‧ナイフを編み出す

2025年08月28日 11時00分更新

メーカーごとの細かいポイントにも注目

 ここまでいろいろと違いを見つけてきたドリブルまつなが氏ですが、さすがにそれ以上の細かい部分となると、見つけるのが難しくなってきたようです。そこでドリル北村氏から助け船が。基板上の小さなチップを指さしました。

「ここ見てごらん。なんかカニいるでしょ?」
「ほんとだ、カニいる! あとなんか書いてありますね……」

 ドリル北村氏が指さしたのはオーディオコーデックのチップです。オーディオコーデックは音質に関わる部分ですが、マザーボードのクラスによって変わることも多いです。今回のX870 LiveMixer WiFiは「ALC4082」、B850 LiveMixer WiFiでは「ALC1220」のチップを搭載しています。

 どちらもカニのマークでおなじみのRealtek製チップで、性能にほとんど差はありません。ALC4082はUSB接続で、ALC1220はシリアルバス(従来の短距離データ通信規格)での接続になります。

X870 LiveMixer WiFiのチップはALC4082

一方のB850 LiveMixer WiFiはALC1220。小さいので肉眼ではなかなか気づきにくい部分です

 そのほかにも、オーディオ用のコンデンサーにも違いがありました。細かい部分なのでなかなか気づきにくいですが、ゲームなどに影響する場合もあるため、外付けのサウンドカードやUSB DACを使わない人なら気にかけておいて損はないでしょう。

オーディオ回路のコンデンサーにも違いが。ちなみにどっちがよさそうかドリブルまつなが氏に聞いたところ、B850を指さして「黒は何ものにも染まらない最強の色なので、黒のほうが強そう」とのこと

 さて、ここまで見てきたポイントで、ドリブルまつなが氏はのどちらマザーボードが上のグレードなのか、わかったのでしょうか?

「いや、さすがにこれだけ教えてもらえばわかりますよ!  こっち(X870)ですよね」

「X870 LiveMixer WiFiが上位のマザーボードですね!」

 バレましたか。まさしく、X870 LiveMixer WiFiのほうがグレードの高いマザーボードです。マザーボードのグレードを左右するポイントとして、チップセットは特に大きな指標の1つです。チップセットの違いによって、使用可能なPCIeのレーン数、USBやSATAの数、CPUのオーバークロック対応の有無、そのほか付加機能の有無などが変わってきます。

 AMD CPU用のマザーボードでは、「X870E」「X870」「B850」「B840」の4種類が最新世代のチップセットです。X870EやX870はコアユーザー向けのハイエンドクラス、B850はバランスのいいミドルクラス、B840は安価なエントリークラスと言えます。

AMDチップセットの仕様は、同社の公式サイトでも確認できます

 ただし、チップセットが同じでもマザーボードの設計によって価格やスペックが変わる場合もあります。例えばLEDによる装飾や、前述したVRM周りの設計、ヒートシンクの有無、オーディオコーデックやインターフェースの数、フォームファクター(大きさ)などそれぞれ異なるため、X870だけど比較的安価なものがあったり、B850でもハイエンド寄りの製品があったりといった違いが出てきます。

 これはメーカーや製品シリーズごとに個性が出る部分です。今回は同じASRockのLiveMixerシリーズでの比較なので共通する部分も多いですが、同シリーズならではのポイントもいろいろと備えています。

ASRockのマニュアルにはブロック図が記載されています。マニアならマニュアルをダウンロードしてブロック図を確認すると、より詳しい仕様が理解できます。写真は左がX870右がB850です

 X870 LiveMixer WiFiやB850 LiveMixer WiFiであれば、豊富なUSBポートに加え、「Lightning Gaming Port」を搭載している点などもそのうちの1つです。

オレンジ色のUSBポートがLightning Gaming Port。デバイスのレイテンシー(遅延)を抑えられる仕組みを搭載しています

 Lightning Gaming Portは、マウスやキーボードの入力遅延を抑える仕組みを搭載したコアゲーマー向きの機能です。通常であれば、2つのUSBポートに接続されたマウスやキーボードの入力を1つのUSBコントローラーで処理するのが一般的ですが、Lightning Gaming Portでは、それぞれのポートごとに異なるUSBコントローラーで処理する形になっています。

 昨今の高性能なゲーミングマウス・キーボードは高ポーリングレートの製品も多く、同時に使用すると大量の信号が送られることで処理が混雑して、遅延が発生してしまう可能性があります。しかし、それぞれのUSBポートでコントローラーを分けることで、信号の混雑を防ぎ、遅延の発生を抑えられる利点があるとのこと。

「スゴイ! 光の速さでゲーミングじゃないですか! ちょっと試してみてもいいですか?」

 そんなLightning Gaming Portには、ドリブルまつなが氏も興奮した様子。早速ゲーミングデバイスを繋げて、ゲームを遊んでみました。

「どう? 何か違いは感じる?」

実際にゲームで試しているドリブルまつなが氏、本来の目的を忘れています……

「はい! 面白いっすねこのゲーム!」

 そこじゃない! ドリブルまつなが氏、ゲームに夢中でした。まあ、数ミリ秒単位の話でしょうから、なかなか一般人には体感しにくいかもしれませんが、プロゲーマーの競技シーンレベルであれば、もしかしたら勝負を分けることになるかもしれません。

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