週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

電気⇔光変換の最短ルートが判明、TSMC COUPEで実現する“抵抗ゼロ”の光伝送

2025年08月04日 12時00分更新

すでにPICの設計やCOUPEの3次元実装、検証までのフローを確立
2026年には信号の光化が実現する

 SoIC-XとMicroBumpの比較が下の画像である。配線長が5分の1近くまで減っており、特に通すべき信号の周波数が上がるにつれてMicroBumpとの特性の差が際立っているのがわかる。

S11は入力端子に入力した信号に対する、入力端子で反射される信号の割合。S21は入力端子から出力端子への透過係数であり、S11は低いほど、S21は高いほど(1に近いほど)いい。グラフを見ると周波数が上がるにつれ悪化していくが、それでもSoIC-Xはまだ優れた特性を示すのがわかる

 TSMCによればすでにEDAツールベンダーによるCOUPEの対応も進んでおり、PDKによるPICの設計やCOUPEの3次元実装、検証までのフローが確立しているとの話である。

EDAツールベンダーによるCOUPEの対応。横軸はEDAベンダー、個々の項目は対応するツール名である。ちなみにAnsysはSynopsysに買収されており、その意味ではSynopsysはすべてのソリューションを提供できる(CadenceはまだOptical IOの対応ツールがない)ことになる。そこだけAnsysのZemaxを使えばいいのだが

どういう光学部品を組み合わせ、どういう配置でどういう出力を出し、それはちゃんと通信できるものか、までをTSMCのPDK(Process Development Kit)と組み合わせて確認できる

3次元実装。EICとPICを積み重ねることになるので、ここの3次元的な設計にツールが対応していないといけない

検証。単に光/電気的特性だけでなく、温度や信頼性など確認すべき項目は多い

 やや駆け足になってしまったが、現状判明しているCOUPEの概要は以上である。ちなみにNVIDIA、現時点ではイーサネット・スイッチ/インフィニバンド・スイッチのCOUPEを併用した光化がロードマップとして示されているだけだが、これに続き現在NVLinkの光化も水面下で進んでいる。こちらもおそらくCOUPEベースのものになるのではないかと思われる。

 時期で言えば、2026年に発表予定のRubinは、もう光ベースのNVLinkになる(とともに、NVLink Fusionとの互換性を持つ)のではないかというのが現在の予測である。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事