●回路を調べるのに便利な周波数特性アナライザー機能
周波数特性アナライザー機能(Frequency Response Analyzer)は、さまざまな周波数の信号を入力し、どのくらい減衰するかを調べる機能。自力でやると気が遠くなる作業ですが、これをほぼ自動で行えるというのがメリットです。
しかも、DPOS350Pは信号発振器を内蔵していますから、別途連動する機器を用意する必要がないというのが便利なところ。
ということで、手元の75Ωの抵抗と0.1μFのコンデンサーを使い、シンプルなRCフィルターを作って特性を調べてみました。
ちなみに、DigiKeyの「ローパス/ハイパスフィルタカリキュレータ」によると、0dBカットオフ周波数は21.2207kHzです。
抵抗の足にチャンネル1のプローブと信号発振器の出力を接続し、コンデンサーとの接続部にチャンネル2のプローブ、そしてコンデンサーの逆の足にすべてのGNDをつなぎました。
周波数特性アナライザーの使い方は、上部の「Function」から「Frequency response analyzer」を選ぶだけ。入力信号の電圧やオフセット、開始と終了の周波数、何回周波数を変化させて計測するか(Frequency count)といった設定が行なえます。
今回は、電圧を200mV、周波数を1kHz~1MHzとし、Frequency countは50としました。
結果はオレンジ色の減衰と、青色の位相を表すグラフが表示されます。カーソル機能を使うと指定周波数の値が見られるので、これで調べてみると、-3dBとなる周波数は約29.3kHz。計算値の約21.22kHzからは、そこそこ離れているというのがわかりました。こういった周波数特性が、簡単な手順で調べられるというのが面白いです。
もうひとつ、周波数を扱うので面白い機能が、スペアナ(Spectrum Analyzer)です。これは、信号の周波数成分を解析するもので、信号の強さや、ノイズの分布などを可視化できるのが強みです。
使い方は簡単で、「Function」から「Spectrum analyzer」を選ぶだけ。横軸を周波数とした強度分布が表示されるほか、時系列に表示してくれるWaterfall displayといった表示も可能です。
●思っていた以上に操作感がいい!
タブレット型ということで心配していたのは、画面に小さな機能ボタンをズラリと並び、誤押しが多くなることでした。また、ダブルタップ、マルチタッチ、長押しといった、タッチパネルにありがちな操作が多用されることで、逆に操作性が悪くなることも危惧していました。
しかし実際は、余計なボタン表示は極力省かれており、よく使う操作は広範囲のタップやドラッグでできるようになっているなど、感心する点が多かったです。もちろん、操作は指1本でOK。これなら、回路をいじりながら出力をチェックするという作業でも迷いません。
また、機能面も充実しており、とくに周波数特性アナライザーやスペアナまで使えるのは面白いですね。そこまで出番はない気もしますが、挙動が怪しいときのノイズ対策などで活躍してくれそうです。
ちょっと注意したいのは、充電について。充電口はUSB Type-Cで電圧は12Vが必要ですが、USB PDには対応していません。そのため、Quick Charge対応のUSB充電器と、Type-A/Type-Cケーブルを使う必要があります。
もちろん、この充電器とケーブルは付属しているので、これを使えば大丈夫です。別途手持ちの充電器やケーブルを使いたい場合は、この点に気を付けるといいでしょう。
●お気に入りポイント●
・画面が大きく本体が小さい絶妙サイズの7インチ
・横軸(時間軸)のスケール変更が画面タップでできる
・350MHzプローブ2本を含む付属品が充実
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