「仕事が奪われる」は100年前も 恐れと不安をどのように払拭するのか?
AIで成果を出すための5つのヒント Asanaが2000人の調査で明らかに
2025年07月31日 09時00分更新
2000人以上の調査でわかった5つの溝
今回、Asanaのワークイノベーションラボが日本全国のナレッジワーカー2000人以上に調査したところ、AIを組織にインストールするためには5つの超えるべき溝(キャズム)があることがわかったという。
・趣味としてのAI、習慣としてのAI
調査によると、AIを使う頻度が高い従業員ほど、生産性の向上を実感しているという。毎月使うユーザーが37%なのに対して、毎週使用するユーザーは73%、毎日使用するユーザーは89%が生産性の向上を実感しているとのこと。「たまに使うのでは意味がない。趣味としてではなく、習慣化しなければならない」(ホフマン氏)
また、単にツールとして認識しているユーザーよりも、チームメイトとして認識しているユーザーの方が生産性の向上が高いと感じている。「AIに対してフォローアップの質問をすることです。こうすることで、ツールではなく、チームメイトとして認識できる。AIの関与を高め、よい深掘りすることができる」とホフマン氏は語る。
・トップダウン型での賛同、全社一丸となった賛同
社員の中でAIの利用率が高いのは、いわゆる管理職。権限委譲や仕事の委任が上手な管理職は、高い確率でAIを導入しているという。「メンバーを把握し、権限委譲をきちんとできなければ、AIの活用はできません。シニアリーダーは権限委譲が得意なので、AIの利用が促進される」(ホフマン氏)。
組織内には、AIに対して無関心な「懐疑タイプ」、導入に慎重な「伝統タイプ」、AIをワークフローに組み込む「統合タイプ」、AIで仕事を再設計する変革タイプなどが存在する。現在は伝統タイプと統合タイプが8割弱を占めているが、懐疑タイプが減り、変革タイプが増えると、組織的には導入に成功しやすいという。
AIパルソナはバランス良く配置されることが重要だという。「懐疑タイプの人は鋭い質問や指摘をするので、組織にある程度必要なことがわかっている」とホフマン氏。加えて、スタンフォード大学との調査ではメリットとリスクを率直に伝える情報に触れた人は、高い確率でAIに対して前向きに姿勢となるという。
・孤立したAI、コンテキストに基づくAI
日本のビジネスパーソンの35%は、自分の組織の働き方を時代遅れであると回答している。そして、生産性を阻害する要因としては、「部門を超えた効率的な連携が欠けている」「チーム間での情報やアイデアの共有が行なわれていない」「予期せぬ課題への対応ができない」「手に負えないほどの仕事量を抱えてしまうキャパシティの不足」などが大きな課題になっているという。
これらの阻害要因を軽減するのがAIの役割だ。業務のコンテキストに基づいたAIを利用すると、ビジネスパーソンに必要な情報や仕事を自動的に結びつけ、あらかじめ設定された定型的な承認プロセスを自動化することで、スピードを向上。さらに業務の背景情報を記録・保存することで、予期せぬ課題に対するナレッジを共有しつつ、価値の低いタスクをAIが請け負うことで、人間がよりフォーカスすべき業務に集中できるようになるという。
・個人プレーのAI、チームプレーのAI
個人の生産性にフォーカスしたAIではなく、チームでのAI活用が重要になる。調査によると「AIの導入は伝染する」ものであり、「コラボレーター」と呼ばれるAIの導入・運用リーダーが導入を加速する。コラボレーターが経営陣や他部署の場合は、導入率がさらに加速するという。
ホフマン氏は「部門横断的なコラボレーションでAIを使用すること」がAI導入の最大のカギとアピールする。部門では情報のアクセスやワークフローに制限があるが、業務を俯瞰できるスケールでAIを使うと、ボトルネックやサイロが見つけ出し、AIが全体最適に導いてくれるからだ。実際、AIユースケースは62%が部門横断型。たとえばITと人事部門は従来のタスクやプロジェクトと比較しても連携率が高く、17.8倍の頻度で連携するという。
・ユーザーの獲得、インフルエンサーの活用
他部門をつなぐ、業務フローやボトルネックを理解している「ブリッジャー」は、AIのインフルエンサーとして高い効果を発揮する。「営業と密に連携するマーケティング担当がブリッジャーかもしれない」とホフマン氏は語る。ブリッジャーが作成したAIワークフローは、通常のAIクリエイターに比べて、他のメンバーに採用される率が101%も高い。「もっとも強力なインフルエンサー」(ホフマン氏)
また、特定のビジネス領域に精通した「ドメインエキスパート」のAIワークフローも、他のメンバーに採用される率が他より42%も高い。「業務の専門家でありながら、同僚がわかる言葉で話すことができ、業務の課題がどこにあるかを理解している」(ホフマン氏)からだという。
こうしたインフルエンサーを活用するには、まずインフルエンサーになるえる人を調査や組織のネットワーク分析で特定。インフルエンサーに対してトレーニングを行ない、成功に向けてサポートする。「このステップを踏まない組織が多い。規模を拡大するためには教育にリソースを割いている」とホフマン氏は指摘。その上で、AIの導入事例をインフルエンサーの貢献をを広めるのが重要だという。
なお、「AIと働き方の現在地:2025年の日本」のレポートはAsanaのサイトからダウンロードできる。
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