山岡家動画ブームの理由を考えてみたい
改めて、SNSに流れてくる山岡家の動画を眺めてみる。
ショート動画SNSで「山岡家」と調べると、各々が工夫した「俺流の食べ方」や「初挑戦レポート」「新メニュー食べてみた動画」「複数メニューの一気食い動画」「山岡家あるある」などの動画がずらりと並ぶ。こうした動画がまた別の来店者を呼ぶ流れができあがっている。
こうしたブームが起きる背景には、SNSの影響だけでなく、「場所」の力もあるだろう。
山岡家は北海道に本社を置く全国チェーンだが、首都圏では、首都圏から郊外に移り変わる“境界”付近に多くの店舗を構えている。マップアプリなどで山岡家にピンを置くと、都心を中心点とした同心円上に、きれいに店舗が並んでいる様子が確認できるはずだ。
こうした立地の多くは、幹線道路沿いかそのすぐそばで、大規模な物流拠点が近いケースも多い。つまり、もともと深夜でも人や車が行き交う場所なのだ。だからこそ、夜遅くでも若者たちがふらりと車を走らせ、友人と集まり、ラーメンを囲むことができる。
SNSを通じて広がっている山岡家ショート動画人気は、こうした「集まりやすい場所」「深夜でも営業している場所」という、もともとの立地や営業スタイルもうまく作用しているだろう。
さらに、近年の「モッパン動画」の流行も、こうした山岡家ショート動画の人気を後押ししたと考えられる。食事のライブ感や喜びをシェアする文化がすでに広がっていたことで、山岡家のラーメンを食べる動画に、多くの人が“楽しさ”を感じる土壌が整っていた。
深夜のおいしいラーメン、すこしの背徳感と満腹感、楽しいカスタマイズ、そして友人との談笑。
山岡家ショート動画が持つこれらの魅力は、従来の“映え”文化が持つ整った美しさの魅力とは、方向性が明確に異なる。だが、これもまた時代が求めるリアルで、現代らしい景色なのだろう。
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