スナドラ搭載PCを国内でも加速 ATOKを始め日本独自アプリの対応は「グッドニュースを予定」
2025年07月08日 15時30分更新
スマートフォンで磨かれた技術と強みをPCに持ち込む
性能面ではNPUが強力な「Snapdragon X」
クアルコムは、日本国内におけるクライアントPCの事業展開についてメディア向けブリーフィングを開催。同事業を統括する井田晶也氏が説明を実施した。
井田晶也氏は、インテルでクライアントPC事業全般の統括、サードウェーブのCOO兼取締役社長を務めたのち、今年4月に同社に入社。国内のPCビジネスについては精通した人物だ。
クアルコムが2023年にリリースした「Snapdragon X」シリーズは、インテル/AMDより一足先にCopilot+ PCに対応するなど、NPUでリードするとともに(上位から下位まですべてのグレードで45 TOPSのNPUを搭載する)、電源につながっているときは充電しているときというスマートフォンでの常識をPCの世界に持ち込み、性能と省電力のどちらかを犠牲にする必要はなく、バッテリー駆動時でも高いパフォーマンスを持つ点をアピールする。
Arm版Windowsではすでに大半のWindowsアプリが動作する
その事実がユーザーに広く知られていないことが課題
インテル/AMD製CPUと異なるアーキテクチャである、ArmベースのSnapdragon Xでは「自分が使っているアプリが動作する?」という疑問が、ユーザーにとっての最大の不安点となっている。しかし現実は、グローバルでのトップ100のアプリがすべて動作し、Snapdragon PCのユーザーがPCを使う時間の93%はArmネイティブのアプリを動作させているという調査結果を紹介した。
逆に言えば、現在の課題は「ネイティブ化されたものも含めて、大半のアプリがArm版Windows 11で動作する」にも関わらず、ユーザーにその事実が十分に伝わっていない点とする。コンシューマー市場でのSnapdragon PCの認知度拡大とともに、こうした事実を広く伝える活動を今後進めていくとした。
一方で、Arm版Windowsについては、日本のローカルな事情も存在する。ネットでもよく話題に上がるATOKの問題だ(Armネイティブになっていない現状のATOKは、Arm版Windowsでもx86/x64アプリとの組み合わせでは動作するが、Armネイティブのアプリでは利用できない)。
質疑応答でこの件について問われた井田氏は、個別のアプリケーションについては話せないとしつつも、「日本ローカルのアプリケーションで若干遅れているものがある」と現況を認めるとともに、クアルコムのチームと各ベンダーとの間で前向きに話をしており、「グッドニュースとしてお届けできる予定」とポジティブな状況であると言及した。
なお、2023年にSnapdragon Xシリーズが発表され、当初はハイエンド向け、その後は順次ラインアップを拡大してきたが、同社のCPUは2年に1回の大きなリフレッシュを計画しており、今年9月に開催されるSnapdragon Summitで新CPUをアナウンスする予定とのこと。現状のSnapdragon PCは、省電力性能と処理性能で高いバランスを持っていることが実際に確認できているだけに、次世代でさらにどんな進化を果たすか、9月の発表に期待したい。
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