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進化を止めなかったヤマハネットワーク製品の最新地点を探る

ヤマハのネットワーク製品はなぜ30年間も愛されてきたのか? Interop 2025でその答えがわかった

2025年07月10日 09時00分更新

30年の歴史を彩ってきた名機が大集合 懐かし話に花が咲く

 最新のヤマハネットワーク製品を見たところで、Interop Tokyo 2025の30周年の記念展示コーナーで過去の製品を振り返ってみよう。現在と過去をつなぐことで、ヤマハのネットワーク製品がなぜ30年の間、ユーザーの支持を受け続けていたかが理解できるはずだ。

ずらりと並んだヤマハネットワーク製品の名機たち

 ヤマハのネットワーク製品の30年のうち、約半分はルーターの時代だ。ISDNという電話回線を用いた通信を前提にしたRT100iから始まり、個人・SOHOユーザーまでをターゲットにしたRTA50iなどで、多くのユーザーに「使いやすいインターネット」を提案してきた。また、ブロードバンド時代に登場したRTX1000でインターネットVPNという新しい拠点間接続を提案し、企業のインターネット利用を加速させてきた。

 そして2011年にはスイッチ、2013年には無線LANアクセスポイントの市場に参入。ルーターだけではなく、LANまで含めた幅広いネットワーク製品を提供するメーカーとなった。セキュリティやクラウドといった時代のトレンドにも対応し、企業のネットワーク利用や社会インフラを下支えしてきたと言える。

 こうして30年間積み上げてきた数字が、約560万台という累計出荷台数だ。今でも多くの企業がヤマハのネットワーク製品を使って「動いていて当たり前」のネットワークを実現している。そんなヤマハのネットワーク製品に愛着を感じてか、Interop Tokyo 2025のブースでも、多くのエンジニアが30周年の記念ブースで懐かし話に花を咲かせていた。

ヤマハのネットワーク製品が30年間大切にしてきた3つのこだわり

 30周年の歴史は伊達ではない。この30年の間、ネットワークの技術は恐ろしいほどの進化を遂げ、多くのネットワーク機器メーカーが生まれては消えた。安価な製品もいっぱいあるし、ヤマハ自身も最新技術をいち早くキャッチアップするメーカーというわけではない。それでもユーザーからの支持を得て、今なお新製品を出し続けるヤマハには、やはりヤマハのネットワーク製品ならではの「こだわり」があるはずだ。

 実は前職からヤマハのネットワーク製品のファンだったという志村氏。入社6年を経て、見つけた1つ目のこだわりは「安定性」だ。確かにヤマハのネットワーク製品は壊れないという定評がある。「ネットワークはつながって当たり前の世の中になっています。ネットワークを安心して利用できる機器は、ヤマハが30年間こだわってきたポイントです」と語る。

 この背後には、耐久性の高いパーツ選び、筐体の放熱性、安定稼働する電源、安定したサプライチェーンの確立など、さまざまな取り組みがある。確かに壊れにくさはなかなか目に見えにくいが、ヤマハではつねに最悪の環境を想定して信頼性試験を実施してきた。こだわりは9年前に行なったインタビューでも見て取れる(関連記事:なぜ壊れない?ヤマハのネットワーク機器の品質管理を探る)。

 2つ目のこだわりは「使いやすさ」だ。コマンドラインによる設定が当たり前だったISDNの時代、ヤマハルーターはGUIの設定画面を備え、知識のないユーザーでも利用できるよう配慮されてきた。ヤマハ製品でストレスなくネットワークの世界に飛び込めたという経験を持つユーザーは多いのではないだろうか。「ユーザー向けのメーリングリストをいち早く設置したのもヤマハです。技術情報をエンジニアが直接ユーザーに発信するという文化は昔から大切にしています」と志村氏は語る。

 その後も、VPNの設定を容易にするRT107eの「かんたん設定ページ」、無線LANの通信状態を可視化する「無線LAN見える化ツール」、LAN内の機器の管理を容易にする「LANマップ」、そしてNWR100で搭載される「ウェルネスモニター」など、製品ごとにさまざまなチャレンジを行なってきた。初心者でも簡単に利用でき、見えないネットワークを可視化する取り組みは30年の間、絶えず続けてきたわけだ。

 3つ目のこだわりは「日本の通信環境に最適化」というポイントだ。たとえば、日本独自のISDNに加え、ブロードバンド接続で必須だったPPPoE、そしてIPv6など、ヤマハはタイムリーに対応してきた。最新の技術にいち早く飛びつくのではなく、日本企業のニーズを徹底的に分析し、適切なタイミングで市場に投入するのがヤマハ流。「他社のブースを見ると、最新技術の取り入れ方や見せ方が本当に巧みで、刺激を受けます。一方、われわれは少し遅くなっても、お客様の環境に本当に必要な機能を安定した状態で提供していきたい。ここはとても大事にしています」と志村氏は語る。

 こだわりは変わらないが、ユーザー層や規模はどんどん拡大している。今回の新製品もヤマハクオリティを待つ多くのユーザーの声に応えたもの。「これまでは『小さい拠点はヤマハルーターでいいよね』でしたが、これからは『大規模なネットワークもヤマハ、スイッチも無線LANアクセスポイントもヤマハだよね』と言われるようになりたいです」と志村氏は語る。

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