現場が身近になるカメラの活用 「SORACOM Flux」なら設計も試行錯誤も容易
「防犯」だけじゃもったいない。あなたが知らない"儲かる"カメラの使い方
2025年06月30日 07時00分更新
倉庫、スーパー、小売店舗 監視作業で進む自動化
SORACOM Fluxもユーザー事例も増えてきた。物流倉庫を運営する大塚倉庫は、SORACOM Fluxを活用することで、カメラを用いた監視作業の自動化を実現した(関連記事:大塚倉庫とソラコム、倉庫の侵入検知システム共同開発 SORACOM Fluxで短期構築)。
薬品の管理を行なう物流倉庫に社員以外の人がいるときは、不正侵入として検知する必要がある。ここで社員か、社員以外かを見極めるもっともシンプルな方法が見た目。そのため、ヘルメットや特定の色の作業着を着用していない人は、社員以外と見なすルールを定義。カメラ画像を一定間隔で分析することで、不正侵入者を洗い出すという作業が自動化できるわけだ。
もう1つのユーザー事例は、コープさっぽろ。運営するスーパーの生鮮食品の見守りにカメラを利用しており、お惣菜の値引率や遅廃率の低減につなげようとしている(関連記事:クラウド型カメラ「ソラカメ」でコープさっぽろが廃棄率削減に成功)。
コープさっぽろはソラカメを全109店舗に導入しており、生鮮食品売り場の画像を一定間隔で切り出し、店長が提出する日報に自動連携させていた。こうすると、「ピーク時に商品が並んでいなかった」とか、「製造から一定時間が過ぎた商品に値引きシールが貼られていなかった」といったオペレーションの不具合をチェックできる。実際に店舗で実施され、値廃率は3%改善したという。
ただし、利用が進むにつれ、日報に貼られたカメラ画像を店長が目視で確認することが負担になってきていた。店長の負担を減らし、業務改善を実現するために利用したのが、SORACOM Fluxを用いた自動化だ。SORACOM Fluxを用いて、対象となる商品のアノテーションを初期設定しておけば、あとは画像を自動検知し、売れ残っている商品数を洗い出すことができる。現在は実証実験の段階だが、精度が高まれば、人の稼働が大幅に削減できることになる。
自動化を設計するのは現場の担当者 ビジネスの変化に迅速に対応
ポイントはこうした自動化の設定をSORACOM Fluxなら現場の担当者で行なえることだ。ここまで紹介した事例においても、いわゆる情報システム部ではなく、店舗の運営部や、設備の管理担当といった現場部署がSORACOM Fluxで設定している。
現場部門のメンバーが自動化を設計できると、業務への適用が迅速だ。「業務にどれくらいのインパクトが出るか、コスト効果が出るか。現場部門の方はすぐに把握できます」と高見さんは指摘する。
当然ながら現場部門で設計できると、改善も早い。自然言語で処理を記述できるので、現場のニーズに応じた処理の変更も容易に行なえる。「検知する対象や状況が現場によって異なっていても、現場の担当が自然言語でモデルを微調整できます。生成AIで、現場主導のデジタル化は新しいステージに入ったといえます」と高見さんは語る。
他のノーコード・ローコードとの比較で言うと、SORACOM FluxのメリットはIoTデバイスの接続性だ。「市販のネットワークカメラの映像を生成AIで分析しようとすると、撮影した動画から静止画を切り出し、特定のサーバーにアップロードして、API経由で画像認識を呼び出すみたいなことをいちから開発する必要があり、時間と手間がかかります。SORACOM Fluxはセンサーやカメラなどのデバイスからあがってくるデータをインプットに、通知などのアクションをワンストップで実現できるため、処理を設計するところが圧倒的に楽です」と高見さんは語る。
もちろん生成AIの取り込みも容易だ。「生成AIの価値は、モデルの精度ももちろんですが、インプットするデータと、アウトプットを人間がどう判断するかで決まります。だから、さまざまなデータを取り込んで、サービスと連携できる方がよい。その点、SORACOM FluxではさまざまなIoTデバイスのデータを取り込んで、用途にあったAIで処理して、データをビジネスで利活用できます。人が見る範囲を超えた自動化を実現できるのがSORACOM Fluxの価値です」と松下さんは語る。
人手不足の今の日本において、クラウドカメラ+自動化の潜在的なニーズはきわめて大きい。たとえば野菜の盗難事故を防止したり、無人店舗を運営したり、来店客にパーソナライズされた提案をしたり、カメラで現場を捉えることで実現できるソリューションはさまざまだ。あとはアイデア。そのアイデアを具現化する近道が、まさにSORACOM Fluxと言えるのだ。
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