昨年11月にEl Capitanが首位に躍り出たTOP500であるが、その最新版が6月11日に発表された。ただ今回、トップ10に関してはあまり変動がない。
下の画像は前回と今回のトップ10を並べたものだが1~3位、つまりEl Capitan/Frontier/Auroraに関してはコア数もRmax/RpeakもPowerも同じで、要は前回から構成などの変更がないままということになる。
唯一の違いは今回紹介する4位のJUPITER Boosterで、これが4位に入ったことで前回の4位以降がすべて1つずつずれる格好になった。5位のEagleから10位のLeonardoまでもやはりコア数/Rmax/Rpeak/Powerに変化がない。そこで、今回は4位に入ったJUPITER Boosterを詳細に見てみたい。
EuroHPC初のエクサスケール・スーパーコンピューター
JUPITER Booster
JUPITER Boosterは独ノルトライン=ヴェストファーレン州のユーリッヒ研究センターで稼働する、NVIDIAのGH200 Grace Hopper Superchipをベースとしたシステムである。
このJUPITER Boosterは、2024年1月に建屋が完成し、そこから納入が開始。2024年3月には最初の272ノードをベースにしたJUPITERというアプリケーション開発用プラットフォームが稼働を開始し、昨年6月のGreen 500で1位を獲得した。ちなみにJUPITER Boosterはおよそ2万4000ノード(正確には2万3536ノード)からなるので、フルシステムの100分の1ほどの規模である。
2024年6月には10ラック分(1920ノード)の構成がJETIとして稼働し、この状態でTOP500の18位にランクインしている。
JUPITER Boosterの先行型であるJEDIシステムの映像。1ラックに24枚のブレードが入っているように見える。10ラックだと240ブレードだから、1ブレードに6つGH200が格納されている計算になるが、実際には8つ搭載され、これで2ノードを構成している
そして、今回はいよいよフルシステムでの稼働になる。ちなみに今回のTOP500では4位のJUPITER Booster以外に以下がランクインしているが、JEDIは上で説明したJUPITER Boosterの先行型なので、実質ユーリッヒ研究センター以外は3サイトのみしか導入していないことになる。
23位 CEA-HE
37位 Miyabi-G
148位 ROMEO-2025
259位 JEDI
もう少しJUPITER Boosterの数字を見てみよう。JUPITER Boosterは先に書いたようにNVIDIAのGH200 Grace Hopper Superchipを利用したシステムであり、Total Coresは480万1344個、Accelerator/Co-Processor Cores(要するにGPUのコア)は310万6752個なので、CPU Coreは169万4592個という計算になる。
そのGH200の構造を今さら説明するまでもないのだろうが、Grace CPUは72コアのNeoverse V2コア、Hopper GPUは132 SMXという構成になっている。CPU Coreの数からCPUノード数を算出すると
169万4592÷72=2万3536(ノード)
同様にGPU Coreの数からGPUノード数を算出すると
310万6752÷132=2万3536(ノード)
となるので、GraceだけやHopperだけ、というノードはなくGrace Hopperの形で2万3536ノードが実装されているものと思われる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

