NVIDIAはCOMPUTEX TAIPEI 2025にあわせ、GTC Taipeiを開催し、コンシューマー向けのデモショーケースを報道関係者などに向け公開した。
このショーケースでは、RTX 50シリーズGPUが実現する最新ゲーミングテクノロジー、AIを活用した新しい配信支援機能、クリエイティブワーク向けの生成AIアプリケーション、そしてAIエージェントによるPC操作の変革など、幅広い分野におけるイノベーションが紹介された。
RTX 50シリーズGPUと最新ゲーミングテクノロジー
デモの中心となったのは、RTX 50シリーズGPUで実現される最新のゲーミングテクノロジー、特にDLSS 4とその主要機能であるMulti-Frame GenerationおよびRay Reconstruction Transformer modelの性能向上と画質改善だった。
まず、「Wrang Fallen Feathers」によるRTX 5060シリーズのデモが披露された。このゲームは1080pの最高グラフィック設定で実行されており、DLSSをオフにした状態では約50FPSだったのに対し、DLSS 4を有効にすると、ほぼ200〜220 FPSに達した。これは4倍以上のFPS向上を意味する。担当者は、この大幅なフレームレート向上を実現しつつ、元のフレームレートを下回るレイテンシーを維持している点を強調した。
別のデモでは、RTX 5060ノートPCで「Cyberpunk 2077」でのデモが行なわれた。DLSSをまったく使用しないネイティブ解像度の場合、フレームレートは約30FPS。一方、DLSS 4を使用した場合、ネイティブ比で約6倍近いFPSとなるほぼ180FPSを達成した。
さらに、レイテンシーはネイティブの半分以下に削減。デモに使用された144Hzのモニターの性能を、30 FPSではまったく活かせなかったのに対し、200 FPS近いフレームレートで最大限に活用できるようになった。
これらのデモは、DLSS 4、特にMulti-Frame Generationが、GPUのレンダリング負荷を軽減し、大幅なフレームレート向上をもたらすことを明確に示した。前世代であるAda Lovelaceアーキテクチャーでは、フレーム生成は1つのネイティブフレームに対して1つの補間フレームを生成する2Xフレーム生成が主流だったが、Blackwellアーキテクチャーに基づくRTX 50シリーズでは、Multi-Frame Generationにより、ひとつのネイティブフレームに対してひとつ、2つ、あるいは3つの補間フレームを生成可能になった。
これにより、より高いリフレッシュレートを持つモニターやパネルの能力を十分に引き出せるようになるとのこと。特にノートPCのように、熱や電力の制約によりフレームレートがパネルのリフレッシュレートに達しにくい環境において、Multi-Frame Generationはパフォーマンス向上に非常に有効である。
RTX 4060とRTX 5060を比較した「Tireless Firebreak」のデモでは、同じ2Xフレーム生成に加えて、5060で4Xフレーム生成を実行し、その性能差が示された。120Hzのパネルを搭載したシステムで、ほぼ200 FPSを達成し、パネルを有効活用できる様子が披露された。
また、デモではDLSS 4の一部であるRay Reconstruction Transformer modelの画質改善効果が強調された。前世代のDLSS 3.5で導入されたRay Reconstructionは、AI非搭載の従来のハンドチューンデノイザーと比較して、パストレーシングにおけるノイズや不安定さ(ちらつき)を大幅に低減。しかし、従来のRay Reconstructionでは、移動中に地面のタイルなどの細かいディテールが消失し、静止すると再び現れるという問題があった。
新しいTransformer modelは、この問題を解決し、移動中でもディテールが保持されるようになった。「Portal with RTX」を使用したデモでは、地面の傷や汚れ、本の文字など、細かいテクスチャのディテールが、Transformer modelを使用しない場合と比較してより鮮明かつ安定して表示される様子が示された。
これは、AIがより多くのコンテキスト情報を利用して画像を再構築することで実現される。このTransformer modelは、RTX 50シリーズだけでなく、RTX 20、30、40シリーズでもNV app overrideを使用することで利用可能になる予定とのこと。これにより、旧世代のGPUでもDLSS 4の画質改善の一部を享受できる可能性がある。
さらに、リアルタイムパストレーシングの画質と性能を向上させる新技術として、Neural Radiance Cacheが紹介された。これはAIを使用して間接照明を計算する技術で、従来の、より多くのレイを追跡しアルゴリズムで補間する方法と比較して、追跡するレイの数を減らしつつ、AIが残りの多数のバウンスを推論することで、パフォーマンス向上と間接照明の精度向上、そして応答性の向上を実現する。
デモでは、Neural Radiance Cacheを有効にすることでFPSが158 FPSから172 FPSに向上したほか、ボタンを踏んだ際の色変化が、旧技術ではフェードインするのに対し、Neural Radiance Cacheでは瞬時に反映される様子が示され、ライティングの応答性が劇的に向上したことが示された。これらの技術により、ゲームにおけるパストレーシングは、オフラインレンダリングによる映画品質のビジュアルにリアルタイムでより近づけるようになる。
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