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NVIDIAがデータセンターを「AI工場」として再定義、将来的に数兆ドル規模に達すると予測 COMPUTEX2025基調講演

パーソナルAIコンピューティングシステム

 さらにファン氏は、AIネイティブ開発者や研究者、企業向けに、個人やチームで利用可能な高性能AIコンピューティングシステムを紹介した。

 「DGX Spark」は、AIネイティブ開発者向けに設計されたデスクサイドシステムである。クラウド環境の準備や後処理の手間なく、常に利用可能なパーソナルAIクラウドとして機能する。1ペタフロップスの性能と128ギガバイトのLPDDR5Xメモリーを搭載し、2016年に発表された初代DGX-1(1ペタフロップス、128GB HBMメモリー)と匹敵する性能を持つ。Dell Technologies、HPI、ASUS、MSI、Gigabyte、Lenovoといったパートナー企業から提供される予定である。

 さらに高性能な「DGX Station」も発表された。1兆パラメーター規模のAIモデルを快適に実行できる性能と容量を持ち、Dell 、HPI、ASUS、Gigabyte、MSI、Lenovo、Box、Lambdaといったパートナー企業から提供される。

 また、NVIDIAのグローバルコンピューティングエコシステムに開発者を接続する「DGX Cloud Lepton」を発表。これは、CoreWeave、Crusoe、Firmus、Foxconn、GMI Cloud、Lambda、Nebius、Nscale、Yotta Data Servicesといったパートナー企業のGPUリソースにアクセスできるようにするものである。NVIDIA NIMやNeMoといったAIソフトウェアも利用可能となる。

ロボティクスとデジタルツイン

 ファン氏はエージェントAIはデジタルロボットとし、NVIDIAは物理的なロボットの構築にも注力すると表明。ロボットの学習は物理世界で行なうのは非生産的であるため、物理法則に従う仮想世界(デジタルツイン)が必要となる。NVIDIAは、Google DeepMindやDisney Researchと協力して開発した高度な物理エンジン「Newton」を7月にオープンソース化すると発表した。

 物理ロボット向けのCloud-to-Robotコンピューティングプラットフォームとして、「NVIDIA Isaac Groot」を発表。このプラットフォームは、ロボットの学習、トレーニング、モデル実行をサポートする。

 中核には、自律走行車やヒューマノイドロボット向けのプロセッサーであるJetson Thorが採用されている。その上で、NVIDIA Isaacオペレーティングシステムが、ニューラルネットワーク処理やセンサー処理、アクチュエーションを実行。Isaac Groot N1.5はすでにオープンソース化され、約6000回ダウンロードされている。

 Omniverseは、ロボットがチームとして連携して作業することを学ぶためのデジタルツイン環境を提供する。ロボット、設備、工場全体のデジタルツインを構築し、Omniverse内でシミュレーションを行なう。TSMC、Delta Electronics、Wiiwin、Pegatron、Foxconn、Gigabyte、Quanta、Wistronといった台湾の主要製造業パートナーは、Omniverse上でデジタルツインを開発・活用している。

 これら企業は、デジタルツインを「ロボットジム」として利用し、マニピュレーター、AMR、ヒューマノイド、ビジョンAIエージェントといったさまざまなタイプのロボットを開発、トレーニング、テスト、シミュレーションしている。デジタルツインはIoTで物理世界と接続され、リアルタイムのインタラクティブなダッシュボードとなる。 台湾では、Linker Visionと高雄市が都市のデジタルツインを構築に取り組んでおり、不測のシナリオをシミュレーションしたり、カメラストリームを監視するAIエージェントを開発し、緊急対応者に即時アラートを送信するといった取り組みも実施している。

 ロボティクス分野のパートナーには、Agility Robotics、Boston Dynamics、Fourier、Foxlink、Galbot、Lightwheel、Mentee Robotics、NEURA Robotics、General Robotics、Skild AI、XPENG Roboticsなどが挙げられる。

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