RTX 2060、RTX 3060、RTX 4060、RTX 5060 Ti 8GB&16GBと比較
GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける
2025年05月19日 22時00分更新
2025年5月20日、NVIDIAは「GeForce RTX 5060」(以降、RTX 5060)の国内販売を解禁する(価格は5万5800円より)。今回は開封の儀を通り越してプレビュー記事を出すという異例の展開となったが、ようやくフルレビューが可能になったのでお届けしよう。
今回もレビューは前後編の2本立てである。前編である本稿では、基本性能やクリエイティブ系アプリ、AIにおけるパフォーマンスを検証し、ゲーミング性能は後編にて検証する(ギリギリまで作業をしすぎて筆者が力尽きただけだ)。
なお、筆者がRTX 5060のテスト用カードを手にできたのは純粋に運が良かっただけなのだが、スケジュールはいつも以上に薄氷を踏むような展開であった。
それでもRTX 2060(2019年1月発売)以降に登場したxx60番台のGeForceとRTX 5060を比較することで、GeForce RTXシリーズが6年でどの程度強くなったのか検証できるだけのデータは確保できたと確信している。

テスト用に確保したRTX 5060搭載ビデオカードの情報を「GPU-Z」を利用して取得。ファクトリーOCモデルのため、ブーストクロックは2535MHzに設定されている(リファレンス仕様では2497MHz)。また、CPUとのリンクはPCI Express 5.0x8接続となる
歴代のxx60番台GeForceと対決
検証環境はプレビュー記事からまったく変わっていない。歴代のxx60番台GeForce対決といったところか。RTX 50シリーズとRTX 40シリーズのスペックを比較した時、描画性能のカギを握るSM(Streaming Multiprocessor)数が最も増加したGPUは、RTX 5090(RTX 4090の1.33倍)だが、RTX 5060の増加率はこれに次ぐ(RTX 4060の1.25倍)。
もちろん、ほとんど増えていないモデルでも、動作クロックやTGP、メモリー帯域などでバランスを取っているので、SM数の増加率だけで評価をすることはできない。しかし、RTX 5060 TiとRTX 4060 Tiの対比(6%増)を考えると、RTX 5060の25%増はなかなかに良い強化のように思える。今回はそこに注目していきたい。
GPUドライバーはRTX 5060のみGameReady 576.46、それ以外のGPUについてはGameReady 576.40を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性およびカーネルモードのハードウェア適用スタック保護、HDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。
また、これまでRTX 50シリーズのレビューでは消費電力を計測する「Pownetics v2」を利用する関係でCPUとGPUのリンク速度をPCI Express 4.0(Gen 4)に絞っていたが、今回はPCI Express 5.0(Gen 5)でリンクさせている。
これはRTX 5060 Ti 8GBのレビューを通じ、VRAM使用量が8GBを大幅に上回る状況下では、PCI Expressのトラフィック増がフレームレートに強い影響を及ぼす場合もあると判明したためである。ゆえに、今回の検証においては、PCI Expressのリンク速度がボトルネックとなるような状況ではない。
検証環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 9800X3D」(8コア/16スレッド、最大5.2GHz) |
CPU クーラー |
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザー ボード |
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.20) |
メモリー | Crucial「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」(16GB×2、DDR5-5600で運用) |
ビデオ カード |
Palit「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」(16GB GDDR7)、 ZOTAC「ZOTAC Gaming GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC」(8GB GDDR7)、 ASUS「DUAL-RTX5060-O8G」(8GB GDDR7)、 MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8GB OC」(8GB GDDR6)、 ZOTAC「ZOTAC Gaming GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(12GB GDDR6)、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」(6GB GDDR6) |
ストレージ | Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
電源 ユニット |
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2) |
RTX 4060から最大40%の性能向上を果たす
まずは「3DMark」の結果を見なければ、GPUの比較ははじまらない。ラスタライズ系テストとレイトレーシング系テストでグラフを分割している。
今回準備したRTX 5060 Ti 8GBはファクトリーOCモデルだ。そのため、リファレンス仕様のRTX 5060 16GBよりもクロックが若干高いためスコアーが上になった。3DMarkではVRAM使用量が8GBで十分足りるからだ。
肝心のRTX 5060に目を向けよう。RTX 5060 Ti 8GBから見ると10〜20%下のスコアーになるが、その一方でRTX 4060基準で考えるとスコアーは30〜44%も伸びている。
RTX 4060からRTX 5060の進化点は主にSM(Streaming Mutiprocessor)数の増加とメモリー帯域の拡大、TGP(Total Graphics Power)の増量にある。SM数の増分がRTX 4060の1.25倍であることを考えると、メモリー帯域などの強化もRTX 5060のスコアーアップに貢献していると思われる。
続いては消費電力を比較しよう。3DMarkのSteel Nomad実行中の消費電力をPownetics v2で計測した。なお、図中の「アイドル時」はアイドル状態で3分間放置した際の平均値。「高負荷時」はSteel Nomad実行中の値だが、平均値と99パーセンタイル点、最大値の3種類の観点で集計した。
RTX 5060のTBPは平均151W、瞬間的な最大値でも160W(テストしたカードのPower Limitの限界値に等しい)であった。RTX 3060 12GBやRTX 2060と比べると大きく下がっている。
それでいて、3DMarkのスコアーは57〜71%(RTX 3060 12GB基準)あるいは79〜128%(RTX 2060基準)伸びている。そのため、ワットパフォーマンス的にも申し分ない。RTX 3060を運用できるPCであれば、電源ユニットの買い換えを心配せずにRTX 5060に移行できるだろう。
いつもなら消費電力検証はここで終わりだが、今回は追加でPCI Express x16スロットを流れる電力にも注目してみよう。ここは平均値のみを比較している。
PCI Express x16スロットからどの程度の電力を取得するかはカードの回路設計に依存する。そのため、このグラフのデータだけで良い・悪いを判定することはできない。
ただし、今回テストしたカードについては高負荷時に平均36〜61WもPCI Express x16スロットから取得している。ゆえに、後日ゲームにおけるワットパフォーマンスを論じる上で、PCI Express x16スロットからの消費電力を無視することはできないという認識を新たにした。
ちなみに、今回はPownetics v2の電力測定用ライザーカードを装着しても、PCI Express 5.0でリンクできた。以前はドライバーを読み込んだ時点でOSが固まるといった不具合があったのだが……。どのような理由でPCI Express 5.0動作できたのかは完全に解明できていないが、今回は動作に問題はないと判断した
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