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Intel 18AはIntel 3と比較して性能/消費電力比が15%向上 インテル CPUロードマップ

2025年05月12日 12時00分更新

主要なプロセスに関する現状を説明
複雑なチップレットを構築できることを実機で証明する

 イベントの最後にKevin O'Buckley氏(SVP&GM, Foundry Service)がもう少し細かい話を示したのだが、まず最初に氏が示したのは、現在のIntel Foundryでけっこう複雑なチップレットがすでに構築できることで、実際にサンプルも示された。

Compute Base DieやI/O DieはいずれもIntel 18A-P/PTである。メモリー側はカスタムプロセスで、間はUCIe-A(Advanced)で接続らしい

Custom Base Dieの上にはLPDDR5xのI/FやHBM5が乗るらしいのだが、そんなのをUCIe-Aで接続して大丈夫か? という素朴な疑問がある。左に突き出してるのはI/O Dieで、なにげにOptical Engineも載っているのがわかる。PCIeはGen7になっているあたり、要するにそういう時期の製品を想定しているということだ

Compute Base Dieの上にSRAMが載っているように見えるが、そうではなくCompute Base Dieの中に大容量のSRAM Cacheを構築するという意味である

そのCompute Base Dieの上にCPUやAI EngineがIntel 14A/14A-Eで製造されて載る

接続はFoveros Direct 3Dである。これ「どこかで見たことがある」と思った人は記憶力が良い。プロセスはともかく構造そのものはAMDのMI300A/C/Xシリーズそのままである

タイルが2つ、EMIBで接続される

Kevin O'Buckley氏が示したサンプル。遠目には「Ponte Vecchio?」かと思ったがよく見ると異なっている。もっともこれはまだメカニカルサンプルに近いと思われる(そもそもHBM5も存在しない)

 先に2027年あたりに3D Photonicsが出てくるという画像があったが、現実にはこういうチップレットの中にコンポーネントとしてEIC/PICを組み合わせたCPOのチップレットが搭載される形になると思われ、登場時期はおそらく2029~2030年頃だろう(その頃にならないとPCIe Gen7のコントローラーが出てこないためだ)と思われる。

 そのBuckley氏から、主要なプロセスに関する現状の説明があった。

主要なプロセスの現状
Intel 18A リスク生産中。すでにIP及びEDAツールの対応は完了。
Intel 18A-P 現在工場内で試作した製品の稼働テスト中。IPおよびEDAツールは対応中。
Intel 18A-PT 現状はまだEDAツール類の対応待ち。基本はIntel 18A-PにTSVの対応を入れただけ。
Intel 14A 初期版のPDK(0.3くらい?)は特定顧客に提供開始。EDAツールやIPは現在初期対応が行なわれている。
Intel 16 自動車向けプロセスであるが、MediaTekが公式に採用したことを発表。
UMC/Intel 12 とりあえず一部の顧客の関心を惹くことには成功した模様。

Intel 18A。このCustomerというのは、まずはIntel Productsのことだろう

Intel 18A-P。設計ルールがIntel 18Aと互換というのは、TSMCのN7PとN6みたいな関係にあるという話であって、なので設計変更が要らないという訳ではない

Intel 18A-PT。これはFoveros Direct 3Dで積層するチップレット向けという話だが、TSVを入れるとなると当然そのTSVの周囲は配線をよける必要があるので、IPはともかくEDAツール側の対応が必須となる

Intel 14A。まだ顧客がテストチップを「計画している」段階である

Intel 16。とりあえずA0シリコンの製造には成功したとしている。最近MediaTekも自動車向けに意欲を見せているが、Intel Foundryを使ったのはやや意外だった

UMC/Intel 12。"Foundry Learnings"とあるあたり、まだ完全に仕様や構造などは決まっていないように見える

 また、すでに堅固なEcosystem Allianceが構築されていることや、連邦政府のさまざまなプログラムによる支援を受けていることもアピールした。

Ecosystem Allianceを構築。数で言えばTSMCは元よりSamsungと比較してもまだ十分とは言えない

連邦政府のさまざまなプログラムによる支援を受けているという。これがIntel Foundryのユーザーになにか関係あるかと言えば直接的には皆無なのだが、軍のプログラムに入っているというのは、それだけで経営の安定性の担保みたいな部分があるだけに、安心材料にはなるだろう

 それと先にEMIBのバージョンがいろいろ増えた話に触れたが、その詳細が下の画像である。EMIB 3.5Dはいきなり登場したので、詳細はさっぱり不明である。

EMIBの詳細。EMIB 3.5Dに関しては全然説明になっていない

EMIBの種類
EMIB-M 2.5D 従来のものそのまま
EMIB-T 2.5D HBM4実装用にTSVを追加したもの
EMIB 3.5D
Foveros-S 従来のFoveros
Foveros-R シリコンベースの代わりに有機パッケージを利用したRDL(Re-Distribution Layer:再配線層)を組み合わせた低価格向け
Foveros-B シリコンブリッジを組み合わせたFoveros。EMIBとなにが違うのか不明。ひょっとするとAMDの2.5D EFB(Elevated Fanout Bridge)というかASEのFOCoS-Bridgeに近いものかもしれない

 最後に、おもしろいと思ったのはEMIBがAIプロセッサーには最適という話で、要するにシリコン・インターポーザーでダイ全体をカバーすると、ものすごく大きくなってしまうので歩留まりも悪いしコストも高くつく。EMIBなら小さなブリッジの組み合わせなので歩留まりは高いしコストも安くなるというものだ。

EMIBは小さなブリッジの組み合わせなので、AIプロセッサーに最適だという。ちなみに最近有機パッケージベースのRDLは300mm径の円形ではなく、600×600mmの正方形の基板から切り出す方向でOSAT各社は動いており、こちらで低コスト化が期待できそうという話になっている

 実際にはインテルのEMIBは、以前はEMIB Bridgeをパッケージに埋め込むコストが非常に高いと言われていた時代もあったのだが、もう今では相対的に安いという時代になってきているのかもしれない。

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