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VRAM 32GBのGeForce RTX 5090でも荷が重い、バージョン「0.1」を検証

フレームレート集計に革命!?NVIDIAのAIフレームワーク「Project G-Assist」でベンチマークライターは失業する?

2025年04月15日 10時00分更新

8年前にNVIDIAが公開したエイプリルフールのジョーク動画。これを挿せばAIがゲームをプロ並に代理操作してくれるというものだった

 NVIDIAはここ数年、AIを使って日常生活を変革することに多大な労力を割いている。自動車の自動運転や工場におけるロボティクスにおいて、同社はリーディングカンパニー的な位置付けだが、PCゲーミングにおいても例外ではない。

 ディープラーニングを利用した、超解像・アンチエイリアス技術「DLSS(Deep Learning Super Resolution)」と「DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)」はその代表例だ。そのほかにも、ビデオ通話における背景除去や音声のノイズ除去を行う「NVIDIA Broadcast」や、ローカルLLM環境を構築する「Chat with RTX」といったアプリもリリースしている。

 そして、NVIDIAが次に手がけるのは、PCゲーマーのQOLをAIで向上させようという「Project G-Assist」である。8年も前に投下された「GeForce GTX G-Assist」というエイプリルフールのジョークが、さまざまな技術革新を経て突如「COMPUTEX 2024」で正式プロジェクトとしてローンチされたのだ(当時の速報記事)。

 現実にリリースされたProject G-Assistは、AIにゲームを操作してもらう系の技術ではなく、AIを利用してゲームを快適に遊ぶためのフレームワークを提供するものだ。最近のゲームはスキルツリーやアイテムクラフト体系が細分化されていたり、クエストやボス攻略にも戦略的視点(○○で強い武器××を取ってからボスに挑むと楽、のようなもの)が必要になる。

 これはこれでやり応えがあるので否定するつもりはないが、あまりに情報量が膨大すぎてゲームに挑む前にやる気がなえることがあるだろう。Project G-AssistはこれをAIで補助しようというのだ。

COMPUTEX 2024の発表資料より抜粋。新しいゲームに挑戦しようとして下調べをすると、膨大な情報量に圧倒されることがある。良質な情報に到達できればよいが、もはや通用しないほど古い情報が検索のトップに出てきて辟易した経験はないだろうか? いまどきは検索エンジン側のAIによる雑な要約もストレスになるかもしれない

 さらに、Project G-Assistでは、PCのパフォーマンスチューニング的なこともサポートしてくれる。ゲームの画質設定の最適化(NVIDIA Appでやれる設定と同じもの)や、フレームレートの計測などが実行できるというのだ。

 特に後者に関しては、ベンチマーク仕事を主とするテクニカルライター(以下、ベンチマークライター)である筆者にとっては死活問題である。AIによって廃れると予測される職は多岐に渡るが、その中にベンチマークライターも含まれているのだろうか……?

COMPUTEX 2024で発表された時の動画からの引用。右下にあるウィンドウがProject G-Assistで、そこには直近60秒間のE-Eシステムレイテンシーの推移がグラフ化されている

Project G-Assistの構想図。ゲーム中に人間の音声やテキスト入力、画面からの情報などをさまざまなAIで処理し、その結果をプレイヤーに提供するというもの。ゲームの知識は専用のデータベースも利用することで精度を確保する

 COMPUTEX 2024ではゲーム画面の情報も認識できるとされていたが、現時点ではテキストによるプロンプト入力あるいはマイクからの音声入力のみをサポート。対応できる機能もGeForceやPCのパフォーマンスに関連することのみに限られている。おまけに言語は英語しか利用できない。

 本稿はProject G-Assistのリリース当初における機能解説と、使用感について簡単にまとめたものである。結論から言うと、現時点におけるProject G-Assistはまだ使い物にならないし、ベンチマークライターはしばらくAIに置換されることはないだろう。

 現時点のProject G-Assistのバージョンは「0.1」。つまり、まだ骨組みだけの状態である。ただし、それでもNVDIAがProject G-Assistを通じて何をしたいか方向性は感じられるものにはなっている。ご興味あればご一読いただきたい。

G-AssistはVRAMのハードルが高い

 Project G-Assistの動作要件は高い。GPUは当然GeForceで、VRAM 12GB以上を搭載したRTX 30シリーズ以降のカードが必要である。つまり、RTX 3070は対象外だが、RTX 3060のVRAM 12GB版は導入できるという意味になる。GeForceドライバー「572.83以降」とNVIDIA Appも必須だ。

 RTX 3070が下位のRTX 3060に負けるとは……と思うかもしれない。しかし、現状のProject G-AssistはVRAMが16GBあっても足りなくなることが頻発するので、RTX 3060でも安心はできない。そのため、Project G-Assistをきちんと動かしたいのであれば、RTX 4090もしくはRTX 5090といったVRAMリッチなGeForceでないと使い物にならないだろう。

 なお、ゲームと同時に使用しないのであれば、VRAMは12GBでも十分動かせるが、その場合機能は大幅に制限される。その理由は後述する。

Project G-Assistの動作要件。VRAM 12GB以上のGeForceとある点に注意。また、現時点ではデスクトップPCのみに提供され、ノートPC向けのGeForceにはまだ解放されていない

Project G-AssistはNVIDIA Appから導入。動作要件を満たしていれば「入手する」ボタンが出現する。ちなみに、入手に際してログインは必要ない

VRAMが12GB未満のGeForceを装着していると、Project G-Assistの項目は出てくるが「入手する」ボタンは表示されない

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