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ChatGPT、過去の会話をすべて参照可能に 人生を理解するパーソナライズAIへ

2025年04月11日 11時50分更新

 OpenAIは4月11日、同社のAIチャットサービス「ChatGPT」において、ユーザーの過去の会話記録を参照し、よりパーソナライズされた応答ができるようになったと発表した。有料版の「ChatGPT Plus」「ChatGPT Pro」アカウントで利用可能だ。無料版アカウントでは利用できない。

 「チャット履歴参照」と呼ばれるこの機能は、過去のすべての会話から学習した情報を活用し、ユーザーの好みに合わせた応答が可能になる。これまでは明示的におぼえるよう指示した情報のみを記憶していたが、今後は日常会話から自然に得た知識も活用できるようになる。ただし、ChatGPTは会話の全内容を詳細に記憶するわけではなく、関連性の高い情報を選択的に参照する仕組みだ。

しっかり覚えていてくれた

 さっそくチャット履歴を覚えているかどうか確認してみた。プロンプトは以下。

プロンプト:去年の夏はなんの話ししてたっけ?

 このようにチャット履歴参照機能は、RAGのように過去のすべての会話からコンテキストを取得し、ユーザーの好みや興味に合わせた応答を生成できる仕組みのようだ。

ChatGPTの3つのパーソナライズ機能

 ChatGPTにはすでに、ユーザー体験をパーソナライズするための機能が2つ存在しており、今回の「チャット履歴参照」機能を加えて計3つとなった。それぞれの特徴と違いを整理しておこう。

 すべての設定は画面右上のユーザーアイコンから設定を選ぶと表示可能。

・カスタムインストラクション(カスタム指示)

カスタム指示をON

 「カスタムインストラクション」は、ユーザーが明示的にChatGPTに対して指示を出す機能だ。自己紹介や応答スタイルなど、ChatGPTに常に知っておいてほしい情報をあらかじめ設定しておくことができる。この機能は会話の都度設定する必要がなく、すべての新しい会話に適用される。

カスタムインストラクションの例

・保存されたメモリ

保存されたメモリーを参照するをON

 「保存されたメモリ」は、会話の中で重要な情報をChatGPTが記憶する機能だ。例えば「私がベジタリアンであることを覚えておいて」と伝えると、ChatGPTはその情報を保存し、将来のレシピ提案などで活用する。ユーザーが明示的に指示しなくても、ChatGPTが重要と判断した情報を自動的に保存することもある。保存されたメモリはチャット履歴とは別に管理され、特定のチャットを削除してもメモリは残る。

保存されたメモリーの例

・チャット履歴参照(新機能)

チャット履歴を参照するをON

 今回追加された「チャット履歴参照」機能は、過去のすべての会話からコンテキストを取得する。ChatGPTは過去のやり取りから学習し、ユーザーの好みや興味に合わせた応答を生成する。例えば、過去の会話でタイ料理が好きだと言及していれば、食事の提案をする際にその情報を考慮できる。カスタムインストラクションや保存されたメモリとは異なり、この機能はより自然な形でユーザーの好みを学習していく。

 これら3つの機能をひとことであらわすと:

カスタムインストラクション:「いつもこうしてね」と最初に設定しておく指示書のようなもの

保存されたメモリ:「これを覚えておいて」と会話中に頼んだ特定情報を記憶するメモ帳

チャット履歴参照:特に言わなくても過去の会話から「この人はこんな好みだな」と勝手に学習する仕組み

 つまり、はっきり指示するか自然に学んでいくか、また情報をどのくらい長くおぼえているかが大きな違いだ。

記憶させたくない情報に注意

 ChatGPTの新しいメモリ機能は、AI体験をより個人的で実用的なものに変える可能性を秘めている。ただし、プライバシーの観点からは、記憶させたくない情報の管理や、必要に応じて機能をオフにするなど、ユーザー側の注意も必要だ。なお、EEA、イギリス、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインのユーザーには現時点で新しいメモリ機能は提供されていない。

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