通信キャリア「ドイツテレコム」が
AIスマートフォンを3万円台でリリース
3月にバルセロナで開催された「MWC Barcelona 2025」でドイツテレコムはAIスマートフォンを発表しました。2025年下半期に発売予定、価格は約200ユーロ(3万円台)になる予定です。
このAIスマホの何がスゴイかと言うと、キャリア主導で設計・開発されたという点。日本で言うと、ドコモから自社開発のスマホがドコモブランドで発売されたということです。基本的にスマホはメーカーが作ってキャリアが売る、もしくは自社ECサイトなどで販売されていましたが、キャリア自らがAIスマホを作ってしまったのです。
各国の通信キャリアがAIサービスを開発している中、ドイツテレコムは他社より早くAIスマートフォンという形で製品化を実現しました。
ドイツテレコムのAIスマートフォンは、昨年のMWCの同社ブースで初めて試作モデルが披露されました。スマートフォンに音声で語りかけるだけで検索やショッピングなどができるため、いちいち特定のアプリを使う必要もありません。「週末でかけたい」「明日夕食を食べに行きたい」「子供の誕生日プレゼントを買いたい」と思いついたら、AIスマートフォンにより具体的な内容を話しかければよいのです。
試作機の発表から1年後に登場した本製品では、AIエンジンの柱としてPerplexityを採用、さらにGoogle Cloud AI、ElevenLabs、Picsartなどが統合されています。
操作は本当に簡単で、Perplexityアイコンを押しながら、または電源ボタンを押しながら目的を伝えるだけ。今回は展示会会場の騒がしい場所だったのでマイクにかなり近づいて話しかけましたが、通常はスマートフォンの画面を見る距離から離せば大丈夫です。
スタッフに「バルセロナで美味しい日本食屋を教えて」と話しかけてもらいました。するとPerplexityがお店を探してくれます。
数秒で画面にバルセロナの日本レストランの候補がいくつか表示されました。地図上のマッピングも表示されるため、滞在先ホテルに近い場所や、現在地付近などお店の選択もしやすくなっています。またレストランを選ぶと営業時間や住所だけではなく、店の特徴なども表示してくれました。
好みのレストランがあれば、タップするだけでレストラン予約サイトに接続され、そのまま予約を済ませることもできます。通常であれば「検索エンジンでレストランを検索」「出てきたレストランを1つ1つ確認」「予約アプリを開いて予約」という作業が必要ですが、AIスマートフォンであれば音声での質問のあとは、画面を見てスクロールやタップするだけで予約までが完了します。
現在は対応するアプリが少ないため、完璧な生活エージェントとまでは言えない状況ですが、それも時間が経てば機能が拡充されていくでしょう。ドイツ発のAIスマートフォン、ほかのキャリアにとっても新たなビジネスチャンスを生む製品になるかもしれません。
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