どうしてもノートPCで最高のGPU環境が欲しい人向け
バッテリー駆動時間ものびる? Razer Blade 16 (2025)でノートPC向けGeForce RTX 5090のゲーミング性能を検証
2025年03月30日 12時00分更新
「Half-Life 2 RTX」
先日ついにSteamでリリースされた「Half-Life 2 RTX」も検証してみよう(現状はデモ版)。本作は2004年に登場した大ヒット作「Half-Life 2」をNVIDIAの「RTX Remix」を用いてフルパストレーシングのみならず、ニューラルレンダリングを利用した間接照明の表現(Neural Radiance Cache)も組み込んだものである。
画質は「Ultra」、DLSSは「クオリティー」に設定し、フレーム生成やDLSS MFGも有効化。ステージ「Nova Prospect」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
ニューラルレンダリングの要素を採り入れているせいか、RTX 4090 LTを搭載するRazer Blade 16 (2023)ではフレームレートの落ち込みが激しい。筆者の環境依存の可能性もあるが、Razer Blade 16 (2023)でマトモに動くようになるまで若干の試行錯誤を必要とした。
Razer Blade 16 (2025)も移動中に若干引っかかるようなシーンを観測したが、従来モデルと比べれば圧倒的に滑らかだった。DLSS FGだけの状態でも従来モデルから平均フレームレートが32〜39%向上と、今回検証に使用したゲームの中ではトップクラスの伸びである。
バッテリー駆動時間は延びるのか?
ここまでの検証はすべてRazer Blade 16本体にACアダプターを接続し、フルパワーで動かした状態における性能を見てきた。だがNVIDIAはRTX 50 LTシリーズでは、バッテリーの駆動時間も長いと主張しているので検証してみたい。
今回の検証は動画の連続再生のような低負荷な作業ではなく、ゲーミング利用時の駆動時間をチェックしたい。低負荷な作業ではCPU内蔵GPUが使われるため、RTX 5090 LTだろうとなかろうと無意味になるためである。
そこで、「Marvel’s Spider-Man 2」をバッテリーでプレイした際のフレームレートおよび、そこから導き出されるバッテリー駆動時間をチェックすることにした。解像度は2560x1600ドット、画質は「中間」、レイトレーシングは「高」
、DLSSは「クオリティー」+DLSS FGとした。
先の検証から画質を下げた理由は、バッテリー駆動時は60fpsにフレームレートが制限されるので、GPUに余計なパワーを使わせたくはないが、ある程度画質は担保したいというバランスを重視したからである。
ちなみに、DLSS MFGは60fps制限時に利用すると画像の乱れがひどくなるためオフにしている。ディスプレーの輝度は70%設定にして、リフレッシュレートは60Hzとした。
検証方法はマップ内の一定のコースを延々と往復するというものである。負荷の状況がゲーム進行の影響で大きく変わってほしくないという理由だが、1時間以上も同じような操作をし続けることは苦行のため、計測は6分間に限定した。
フレームレートの計測はここに限り「FrameView」を利用しているが、その理由はバッテリーに関する情報が取得できるからだ。6分間のフレームレート計測と同時にバッテリーの消費レートもチェックし、その平均値をバッテリーの容量で割ることでバッテリーの持続時間に近い結果が得られるという発想である。

Marvel’s Spider-Man 2:2560x1600ドット+バッテリー駆動時のフレームレート。これもCapFrameX計測時と同様に、MsBetweenDisplayChange基準のデータだ
まずバッテリー駆動時のフレームレートは60fpsで頭打ちになる。これは昔から変わらぬ仕様である。ただし、強い電力制限がかかるため、最低フレームレートも落ち込みやすい。
とはいえ、ただ動いているぶんには強烈に引っかかるという印象はない。RTX 5090 LT搭載ゲーミングノートPCと言えど、Razer Blade 16 (2025)はバッテリー駆動時のフレームレートは従来モデルとまったく同じである。
フレームレートに大きな違いはなかった一方で、バッテリー消費レートでは非常に大きな変化を観測できた。Razer Blade 16 (2023)では100W近いが、Razer Blade 16 (2025)では60W強にとどまっていた。
無論この差は絶対ではなく、ゲーム側のタスクの変動で変化する可能性もあるので、たまたま軽いシーンが重なった可能性もある。しかし、同じセーブデータから同じルートを行き来しているのである程度は信用のおけるデータと考えている。
バッテリー容量(Wh:ワット時)をバッテリー消費レートで割って60をかけたものが、6分間計測から推測できるバッテリー駆動時間である。このバッテリー容量はWindowsのAPIを経由して、FrameViewで得られたものをベースにしている。
それによれば、Razer Blade 16 (2025)は81.39Wh、Razer Blade 16 (2023)は90.39Whだった。その容量とバッテリー消費レートを合わせたグラフが上記であり、Razer Blade 16 (2025)は従来モデルよりも39%ほどバッテリーの駆動時間が延びている。これはNVIDIAが主張するバッテリー駆動時間40%延長という謳い文句と驚くほど一致している。
16型サイズのRazer Blade 16 (2025)を持ち運び、外でゲームを遊びたいという人は果たしているのか? という疑問はさておき、ちょっと出先でGeForceを利用した動作検証がしたい時にバッテリーでもより長く利用できる点はメリットに数えてもいいだろう。
まとめ:”ノートPCで”最高のGPU環境が欲しい人向け
以上でRTX 5090 LTを搭載したRazer Blade 16 (2025)のレビューは終了だ。前編では主にAIのパフォーマンスにおいて、RTX 5090 LTがRTX 4090 LTに対する強烈なアドバンテージを見せてくれたが、ゲームではそこまで強烈というわけではなかった。
DLSS MFGを利用すれば確かにフレームレートは伸びるが、もとの処理が重いゲーム(Indiana Jones and the Great Circleが良い例)では操作がフワフワしすぎて、MFGがかえってジャマに感じるケースもあった。Overwatch 2やKingdom Come: Deliverance IIのように、従来モデルとあまり差が出なかったゲームがある点も気になるところ。
ただし、これがRTX 5090 LTの限界なのか、CPUとの噛み合わせによるものなのか、果てはまだ出たてなのでBIOSやドライバーに難点が潜んでいるのか切り分けることはできない。絶対的性能を目指すのであれば、筆者としては「素直にデスクトップPC版RTX 50シリーズを買え。流通量は少ないけど」と言わざるを得ない。
このRazer Blade 16 (2025)は究極のゲーミングPCというよりも、どうしてもノートPCで最高のGPU環境が欲しい人向けの製品である。気楽に持ち運びでき、いざとなれば(60fps制限はあるが)バッテリー駆動でもGeForceを利用したゲームやAI処理ができる。
そんな環境が今すぐ欲しいなら、RTX 5090 LTを搭載したRazer Blade 16 (2025)はこれ以上ない選択肢、すなわち“内なる平穏”に導いてくれる1台となるはずだ。
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