これでひと段落、とは言えない2025年2月のフィッシング詐欺状況
詐欺メールが増えてない!? 「誘導先URLも過去1年で最少だからもう安心だ」は大きな勘違いかも
2025年03月26日 09時00分更新
残念ながら一時的な減少の可能性大
落ち着きを取り戻したかのように見えますが……。
フィッシング対策協議会が発表した2025年2月分の「フィッシング報告状況」によれば、「報告件数」は前月から5054件増えて14万1223件でした。記録的な減少を見せた1月からほぼ横ばいという、私たちにとってはうれしい動きです。
これはフィッシング詐欺自体の減少をあらわしているように見えますが、同協議会によると、「1月末の旧正月頃から報告数は一時激減していましたが、2月中旬には報告数が再び急増しました」とのこと。つまり、あくまで旧正月による一時的な減少であって、トレンドとして落ち着きを取り戻したわけではないのです。
それどころか、ここ数年は旧正月シーズンにいったん4万~5万件前後にまで減るのが恒例だったにもかかわらず、今年は急減してなお10万件を大きく超えているのです。これは春以降の数字が例年よりも膨れ上がる可能性を示しているのではないでしょうか。引き続き注意が必要です。
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過去1年で最も少ない数字に
報告の内訳は、Amazonを騙るものが報告件数全体の約28.3%、PayPayが同じく約13.8%でした。次いでApple、オリコ、そしてNHKを騙るものが多く、それらを合わせると全体の約55.5%を占めたとのこと。
分野別では、EC系が約35.2%、クレジット・信販系が約29.1%、決済系が約14.5%、金融系が約4.0%、配送系が約3.9%、放送系が約3.2%で、前月からEC系やクレジット・信販系が増加傾向。SMSを悪用するスミッシングは前月から引き続き、クレジットカードや銀行系、そして不在通知を装ったものが報告されているようです。
一方、フィッシングメール・SMSの誘導先(偽Webサイト)にあたる「URL件数」は、前月から2万1016件減って2万2518件と、約48.3%の大減少でした。過去1年で最も少ない件数となっています。そしてフィッシング詐欺に悪用された「ブランド件数」は前月から10ブランド増えて99件でした。
偽Webサイトへ誘導するための手口としては前月同様、「抽選、支払い利用、新規契約、サイトへのログイン等によるポイントプレゼント、キャッシュバック」など主にキャンペーンのお知らせを装う文面が目立ったようです。
キャンペーンメールは日頃から公式がユーザーに送り続けていますので、油断していると気づかずにタップしてしまう恐れがあります。URLや電話番号は真偽にかかわらずタップしないことを習慣化しておきましょう。
もしあなたが怪しいメールやSMSを受け取ったら、可能ならばフィッシング対策協議会に報告することをおすすめします。
※これらの数値はあくまでも「報告」件数ですので、実際の動向を完璧に反映しているとは限りません。フィッシング詐欺被害の報道が増加し、その脅威が明らかになればなるほど、同協議会に一報する人も増えていると考えるのが自然です。とは言え、現状の傾向を見るには最も適した数字でしょう。
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