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「GeForce RTX5080」搭載マシンで速度計測=「ROG Strix SCAR 16」実機レビュー!
2025年03月31日 13時01分更新
ASUSは、インテルのハイパフォーマンスノートPC向けプロセッサー「Core Ultra 9 275HX」と、NVIDIAの最新GPU 「GeForce RTX 5080」/「同5090」を採用したゲーミングノートPC「ROG Strix SCAR 16」を3月19日に発表、4月9日より販売を開始する。
本製品はゲーミングデスクトップPC並みのパワーを持ち運べるノートPCだ。AI処理によりフレームレートを高め、画質を向上させる「NVIDIA DLSS 4」に対応したGeForce RTX 50シリーズを搭載。ゲーミング性能が大きく向上している。
またゲーミングノートPCの弱点とされているメンテナンス性、拡張性についても、ツールレスで底面パネルをはずし、メモリー、ストレージを増設・換装できる新設計シャーシにより改善しているのもポイントだ。
ASUSより試用機を借りたので、詳細スペック、使い勝手、パフォーマンスをチェックしたうえで、DLSS 4対応ゲームでどのぐらいの効果を得られるのかレビューしていこう。
最強CPU&GPU搭載
工具なしにメモリー、ストレージを換装できるツールレス仕様
「ROG Strix SCAR 16」シリーズには下記の2モデルが用意されている。
・「ROG Strix SCAR 16 G635LX」(G635LX-U9R5090)
直販価格73万9800円
Core Ultra 9 275HX/ RTX 5090/ RAM64GB/ SSD2TB
・「ROG Strix SCAR 16 G635LW」(G635LW-U9R5080)
直販価格59万9800円
Core Ultra 9 275HX/ RTX 5080/ RAM32GB/ SSD1TB
OSは「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーは「インテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HX」(24コア[8P+16E]、24スレッド、最大5.4GHz、45~160W)、GPUは「NVIDIA GeForce RTX 5080 Laptop GPU」(GDDR7 16GB)または「NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU」(GDDR7 24GB)を採用。メモリーは32GB/64GB(DDR5-5600)、ストレージは1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレーは16型2.5K IPS液晶で2560×1600ドット、16:10、リフレッシュレート240Hz、応答速度3ms、輝度1200ニト、DCI-P3カバー率100%、Dolby Vision対応、mini LED、ノングレア、PANTONE認証を採用。背面には810個のLEDと8353個のホールで構成された「AniMe Vision」を、ROG Strixシリーズとして初めて搭載している。
インターフェースは、Thunderbolt 5(Power Delivery対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×3、HDMI、有線LAN(2.5GBASE-T)、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは354×268×22.8~30.8mm、重量は約2.85kg。90Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵。具体的な数値は記事執筆時点で非公表だが、動画再生やウェブブラウジングであれば「終日使える」バッテリー駆動時間を備えているという。
本製品でユニークなのがツールレスの底面パネルだ。スイッチをスライドさせるだけで底面パネルをはずし、メモリー、SSD、ファンにアクセス可能である。
またSSDスロットには「Q-latchシステム」が採用されており、増設、換装にドライバーは必要ない。下位モデルを購入した場合でも、メモリー、ストレージをいつでもアップグレードできるわけだ。

右側面にはUSB 3.2 Gen2 Type-A×2、左側面には電源端子「ASUSスリムパワージャック」、有線LAN、HDMI、USB 3.2 Gen2 Type-A、Thunderbolt5×2、3.5mmコンボジャックを用意
ROGならではゲーミングキーボードに
広大なタッチパッドも◎
「ROG Strix SCAR 16」のキーボードは92キーの日本語配列で、キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.7~1.8mm。キーボード面の剛性は非常に高く、打鍵感がよい。かなり強くタイピングしても底打ちの音は低めだ。もちろんゲーミングノートPCということで、複数キーの同時押しが可能な「Nキーロールオーバー」に対応。かなり上質なキーボードと言える。
個人的にちょっと気になるのがEnterキー右側にメディアコントロール用キーが配置されていること。とは言え、Enterキーの横幅が広めなので、慣れれば誤入力しなくなると思う。どうしても誤入力してしまうなら、「KeySwap」などのキーマップ変更ツールで、すべてのメディアコントロール用キーに、Enterキーを割り当ててしまおう。
逆に個人的に「気に入っている」のが、実測150×99mmの「NumberPad タッチパッド」。スペースが広いのでジェスチャー操作しやすく、また右上の「NUMLK」を長押しすると、テンキーとして利用可能となる。経理仕事をしない方でも、確定申告の時期には非常に重宝する。テンキーで操作するレトロゲームなどでも活躍してくれそうだ。
207万画素ウェブカメラはRGBカメラとIRカメラが独立。ハイブリッドタイプより画質的に有利だ。しかし、室内灯下でも明るく撮影できたが、ややノイズが多め。ビデオ会議などでは積極的に低ノイズエフェクトを利用することをオススメする。
Core Ultra 9 275HXとRTX 5080の速度計測
R23では驚異の38403をマーク
FFベンチではRTX4090超え
今回試用した「ROG Strix SCAR 16」は、5090ではなく5080を搭載する下位モデル。とは言え、「Core Ultra 9 275HX」との組み合わせは、直近でレビューしたノートPCのなかでは最上位スペックだ。
比較対象機種は、「Core i9-14900HX」搭載「ROG Strix SCAR 18 G834JYR」、「Core Ultra 9 285H」搭載「Zenbook DUO (2025) UX8406」、「Core Ultra 7 255H」搭載「Zenbook 14 OLED (UX3405) 」、「Core Ultra 7 258V」搭載「ExpertBook P5」だ。

「HWiNFO 64 Pro」で取得したシステムの概要。試用機のスペックはCore Ultra 9 275HX/ GeForce RTX 5080/ メモリー32GB(DDR-5600)/ ストレージ1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)
まずCPU性能だが、「ROG Strix SCAR 16」は「Core i9-14900HX」搭載機に対して、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)で124%相当、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)で121%相当のスコアを記録している。
「Core Ultra 9 285H」、「Core Ultra 7 255H」搭載機と比較すると2倍以上のマルチコア性能を叩き出している。デスクトップPCに迫るCPUパフォーマンスを備えている。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は38403pts、CPU(Single Core)は2265pts、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は2099pts、CPU(Single Core)は2099pts
3Dグラフィック性能については、「3DMark」のPort Royalで13062、Time Spyで20017、Fire Strikeで34516、Wild Lifeで111354を記録した。「GeForce RTX 4090」搭載機と比較すると、「3DMark」の結果は一勝三敗だ。
とは言え「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」では、「GeForce RTX 4090」搭載機の107%相当のスコア。アプリ、ゲームによっては、5080が4090を超えるパフォーマンスを発揮する可能性は高い。

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは29547(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは22283(非常に快適)
「Cyberpunk 2077」で
「DLSS Frame Generation」をチェック
さて冒頭でもお伝えしたが、GeForce RTX 50シリーズの売りのひとつが「NVIDIA DLSS 4」をサポートしていること。そこで今回は、「Cyberpunk 2077」で「DLSS Frame Generation」無効時と有効時で、どのぐらいフレームレートが変わるのか試してみた。
結果は無効時のフレームレートは平均71fps、有効時のフレームレートは208fps。つまり「DLSS Frame Generation」有効時は、293%相当のフレームレートで描画できることになる。
本製品のディスプレーのリフレッシュレートは240Hz。「DLSS Frame Generation」によりその真価を発揮できることになる。まだDLSS 4をサポートしているゲームは少ないので、多くのゲームがあとに続くことを楽しみに待ちたい。
「Procyon」のAI Computer Vision Benchmarkのスコアは395。「Core Ultra 9 275HX」のNPU「Intel AI Boost」の処理能力は13TOPSなので、AIアプリケーション利用時の処理速度、省電力性は「Copilot+ PC」には及ばないことになる。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「HFS001TEJ9X101N」が搭載されており、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7106MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は6168MB/sとなった。「ROG Strix SCAR 18」が12738MB/sと9130MB/sを記録しているが、これはPCIe Gen4 x4接続SSD×2をRAID0構成で搭載しているため。「ROG Strix SCAR 16」は1台のSSDとしては、最高クラスの速度を実現している。

ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「HFS001TEJ9X101N」を搭載、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7106MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は6168MB/s
バッテリー駆動時間については、「Armoury Crate」で動作モードを「サイレント」、GPUモードを「エコモード」に設定して「PCMark 10 Gaming Battery Life」を実行したところ5時間32分動作した。
本体重量はともかくとして、バッテリー駆動時間だけ見れば、モバイルマシンとして活用できるスタミナ性能を備えている。
AAAタイトルを快適&高品質に堪能できる
フラッグシップ・ゲーミングマシンだ
「ROG Strix SCAR 16」は5080搭載機で59万9800円と、なかなか震える直販価格だ。しかし、プロセッサー、dGPU、ディスプレーはノートPCとしては最高クラス。ストレージ容量は現代のゲーミングノートPCとしてはやや物足りない気もするが、将来的に増設、換装可能。メモリーも32GBから64GBにアップグレードでき、拡張性は高い。
また16インチ大画面を搭載し、DCI-P3カバー率100%の色域を確保。正確な発色を示すPANTONE認証も取得しており、クリエイティブワーク向けノートPCとしてももってこい。ROG Strixシリーズとして初めて搭載された「AniMe Vision」は、独自性をアピールできる楽しい装備だ。
50万円超と高価なことは間違いない。しかし、AAAタイトルを快適かつ高品質で堪能でき、クリエイティブワークを大幅に効率化できる「ROG Strix SCAR 16」は、出費に見合うだけの価値を備えたフラッグシップゲーミングノートPCである。
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