秒40コマ連写+1億7700万画素撮影+8Kムービー+ハイブリッドズームは4.2倍に!!
フルサイズカメラの新フラッグシップは機能爆載で超お買い得だった=LUMIX「S1RⅡ」実機レビュー
2025年03月18日 10時00分更新
パナソニックからフルサイズミラーレス機のフラッグシップモデル「LUMIX S1RⅡ」が発表された。前モデル「S1R」の登場が2019年だったので実に6年振りのモデルチェンジとなる。CP+でも大人気で、パナソニックは品薄であることを発表、予約済みでも発売日に届かない可能性もあるという。
3月27日の発売に先立ち、パナソニックから試用機を借用できたので、外観や実際に撮影した作例を交えて紹介していこう。
フラッグシップながら小型軽量化
最新デザインで使い勝手も向上
電源オフ時のシャッター閉が可能に
前モデルからの変更で特徴的なのがボディー形状だ。フルサイズミラーレス機のなかでも重量級だった「S1R」から大幅に小型軽量化され、スタンダードモデル「S5Ⅱ」と同等のサイズ感になった。

ボディーサイズは134.3×102.3×91.8mm、重量は約795gで、「S5Ⅱ」の134.3×102.3×90.1mm、740gとほぼ同等。なお前モデル「S1R」は148.9x110x96.7mm、1016gと大柄だった。
操作系やボタン配置も上面の液晶パネルは廃止され、代わりに撮影モードとドライブのツーダイヤルを備えるなど、こちらも「S5Ⅱ」に近いレイアウトになっている。
ただまったく同じというわけではなく、ダイヤルにはロックボタンを備えるなどの改良がされている。
左肩ドライブダイヤルの下段は独立した「静止画/動画/S&Q切換レバー」を新設。これにより動画撮影の撮影モード変更が上面ダイヤルでおこなえるようになった。またメニュー画面も連動するのが便利である。
前面右下部にはFnボタン(初期設定では動画撮影)を搭載。ただ手持ちで撮影をしているときは誤って押してしまうことが多々あったので、使い方次第では機能をオフにするなどカスタマイズするといいだろう。
EVFは576万ドット倍率0.78倍と前モデルと同じ。背面液晶は3型184万ドットとS1Rの3.2型210万ドットから少しスペックダウンしているが、可動方式が3軸チルト式からチルトとフリーアングルのハイブリッドに進化した。レンズ光軸上での視認や、ケーブル装着時の取り回しもスムーズにおこなえる。
撮像素子へのゴミの付着を防ぐため電源オフ時のシャッター閉幕機能も搭載。ただシャッター幕が剥き出しになるため破損するリスクもある。運用は慎重に行いたいところだ。
ファインダー部には「S5Ⅱ」と同様に冷却ファンが装備されている。ボディーが小型化されても熱対策は万全だ。
動画録画時に点灯するタリーランプがボディー前後に装備され、撮影者と被写体双方が認識できる。動画撮影に強い「LUMIX」らしい配慮だ。
メディアはSDとCFexpressのデュアルスロット。前モデルでは発売当初はXQD(懐かしい!)+SDで、後のファームアップでCFexpress対応したが、今回は流石にXQDは非対応のようだ。
側面端子は前モデルと同様だが、リモートケーブルの端子は「S5Ⅱ」と同じく右側面に配置されている。
バッテリーは「S5Ⅱ」や「S9」と同じで「DMW-BLK22」。これでLUMIXの現行のフルサイズ機のバッテリーは共通化されたことになる。
最新4430万画素裏面CMOS
ハイレゾモードで1億7700万画素が撮影可能
人気の「ハイブリッドズーム」は4.2倍まで可能に
撮像素子の解像度は4430万画素と前モデルと同等だが、像面位相差AFに対応し、動画では8K記録も可能になった。
実際に撮影した写真を見ると細部まで精細で、それでいてシャープネスは協調しすぎず滑らかさを感じさせる画質。テキパキとしたAFなどレスポンスも申し分なく、心地よく撮影することができた。

都市部の景色は精細感が伝わりやすい。焦点距離30mm・絞りF8・シャッタースピード1/200秒・ISO80。
☆実写例はクリックで実物大表示になります。
☆以下追記がない限り共通・使用レンズ「LUMIX S 24-105mm F4」・フォトスタイルスタンダード・ホワイトバランスオート・JPEG FINE
「LUMIX S」シリーズでは久々の高画素モデルになるが、その恩恵を受けるのが「S9」から採用された画像の一部を拡大することで望遠効果が得られる「ハイブリッドズーム/クロップズーム」だ。
静止画ではズーム倍率が1.4倍時は5808×3872ドット(2250万画素相当)、2倍時は4128×2752ドット(1150万画素相当)と十分実用的な解像度が保持され、最小サイズの1920×1280ドット(250万画素相当)では約4.2倍の望遠撮影が可能になる。
ちなみに、「S5Ⅱ」や「S9」のような2420万画素では、1.4倍で4272×2848ドット(1200万画素相当)、2倍で3024×2016ドット(600万画素相当)、1920×1280ドットではズーム倍率は3.1倍だった。
また連写画像を合成して高解像度写真を生成する「ハイレゾモード」も、最大約1億7700万画素相当の16288×10848ドット(2420万画素機では9600万画素相当12000×8000ドット)という巨大なサイズで記録することができる。
毎秒40コマ連写にプリ撮影も可能で
認識AFの追尾力も向上&手ブレ補正も5軸8段で安心で
お買い得フラッグシップカメラだ
連写はメカシャッターで最高秒10コマ、電子シャッターではプリ撮影も対応した秒40コマの高速連写が可能。ただし秒40コマ時の連続撮影枚数は70枚と少なめだ。
またおそらく非積層型(メーカーからは非公表)なので電子シャッター時は動体歪みが発生する。とはいえ高画素機にしては歪みが比較的少ないように感じられる。
高感度は常用でISO51200,拡張でISO102400。ISO12800程度まではノイズも気にならず実用的な画質。ISO25600を超えると解像感低下が目立ってくるが、これは少し強めのノイズ処理のせいなので、解像感を重視するならノイズ処理をマイナスに調整してもいいだろう。
高画素機では手ブレも気になるが、5軸8段のボディ内手振れ補正と5軸7段のDual I.S.2が可能。キットレンズとの組み合わせでは遠景では1秒程度、近景でも1/4秒程度なら高確率でブレを防いでくれていた。なかなか強力な手ブレ補正だ。
撮っていて少し気になったのは電源オンからの起動やオートパワーオフからの復帰が若干のんびりしていること。またバッテリー消費が早く、公称の撮影可能枚数は背面液晶で約340枚だが、EVFでは約280枚と少な目だった。予備バッテリーの準備や省電力設定の見直しなど工夫したほうがいいだろう。
手にしたときのボディーの剛性感は「S5Ⅱ」より高く、メカシャッター動作もバタつきがなく静かで、さすが最上位カメラの雰囲気を持つ。
価格もこのクラスのカメラにしてはお手頃で、お買い得フラッグシップモデルといえるだろう。
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