画像処理やAI系でも僅差に終わる
本命のゲーム検証に入る前に“あまり差が出なかった”テストの結果を見ていこう。まずは「UL Procyon」の“AI Computer Vision Benchmark”で試してみる。画像に対する認識処理や超解像といった用途での推論回数を基準にスコアー化するテストであるが、ここではあえてCPU(Windows ML/ FP32)で動かしてみる。
まず総合スコアーではRyzen 9 9950X3Dと9950Xは非常に僅差である。6つのテストそれぞれにおけるスコアーを見ると、Ryzen 9 9950X3Dは特別得意(=3D V-Cacheが効いている)と思われるものはなく、テストによってはRyzen 9 9950Xに負けているものもある(MobileNet V3の評価はブレやすいことが経験上わかっている)。全体としてはRyzen 9 9950X3Dが9950Xに勝っているテストが多く、総合スコアーでRyzen 9 9950X3Dがトップに立った、という感じだ。
続いてはUL Procyonにある“Photo Editing Benchmark”、つまり「Photoshop」と「Lightroom Classic」を実際に動かして処理時間からスコアーを算出するテストだ。経験則としてRyzenは特にPhotoshop(Image Retouching)テストとの相性が良いことがわかっているが、今回はどうだろうか?
Ryzen 9 9950X3Dの方が9950Xよりほんの少しだけ良いスコアーを出せているが、ここでのトップはRyzen 7 9800X3Dであった。TDPが170WでCPUが16コアあろうと、Photoshopのように処理の並列度が低いアプリでは、かえって16コアあるということ自体が足枷になるのだ。こういう場合は処理がばらけないRyzen 7 9800X3Dの方が優秀なのである。
ただLightroom Classic(Batch Processing)はコア数が多いCPUが伸びやすいテストなのだが、今回のテストではRyzen 9 9950X3DよりRyzen 7 9800X3Dの方が高スコアーだった。
なお、Lightroom Classicと今回のRadeonドライバーの相性があまり良いとは言えなかった(時々アプリがそのまま固まる)ため、参考程度に捉えておいた方がいいかもしれない。
PhotoshopとLightroom Classicが終わったので今度はOffice 365(Word/ Excel/ PowerPoint/ Outlook)を動作させる“Office Productivity Benchmark”も試してみよう。
このテストではなぜかRyzen 9 9950Xの方がRyzen 9 9950X3Dよりもわずかに良いスコアーを出している。こちらもCPUの並列度があまり問われない処理が多いため、Ryzen 9 9950X3DはRyzen 7 9800X3Dに大きなアドバンテージを出せていないことがわかる。
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