Silent Master PRO Mini B860をレビュー
ファンレスでもCore Ultra 9が70度台、約40dBの超静音ゲーミングPCはRTX 4060 Tiでモンハンワイルズも快適だった
2025年03月13日 10時00分更新
ファンレスクーラーの懸念点はCPU性能と温度
あらためて、巨大ファンレスクーラー「NH-P1」がどういう状態でPCケースに収まっているのかを見てみよう。
これだけ大きければ冷えるだろうという期待はある。しかし、PCケースファンのエアフローがあるとはいえ、ここまで隙間が少ないと熱がこもり、思ったほど冷えないのではないかという不安もある。
いくら考えてみても答えは出ないので、CGレンダリング速度からCPU性能を測るベンチマークソフト、「CINEBENCH 2024」を動かしてそのスコアーと温度をチェックしてみた。
このベンチマークソフトの「Multi Core」テストでは、すべてのCPUコアに高負荷をかけられるため、CPU性能を調べるだけではなく、ストレステストにも利用できる。
Multi Coreテストのスコアーは1498ptsで、Single Coreテストのスコアーは134pts。手元に比較できるデータがないため、サイコムが公開しているベンチマーク結果を参考にさせてもらおう。
それによると、PL1が65WのCore Ultra 9 285搭載PCのスコアーは1516pts。Core Ultra 9 285TのSilent Master PRO Mini B860は、かなり肉薄している。つまり、性能面ではほぼ見劣りしないと言っていい。
では、CPUの温度はどうか? こちらは各種センサーから温度情報を読み取ってくれるツール「HWiNFO64 Pro」を使い、CPU温度(CPU Package)をチェックしてみた。
10分間のMulti Coreテストが終了する直前の様子を見ると、温度の平均が55度、最大でも61度とかなり低く、冷却性能に余裕がある状態だ。これは、消費電力(CPU Package Power)の項目を見るとわかるが、PL1時は60Wできっちり制限されている影響が大きい。
Single Coreテスト終了直前のCPU温度も興味深い。CPU Package Powerは30W前後と、Multi Coreテスト(約60W)の半分だった。ゆえに、そのぶんCPUの温度も低いだろうと思った。
しかしながら、実際は最大75度とMulti Coreテスト時よりも高くなっていたのだ。また、変動が大きい点も特徴で、ベンチマーク中の様子を見ていると、59~65度までの間をせわしなく動いていた。
温度が高い理由の正確なところはわからないが、なんとなくPL1=60Wの電力制限がかかわっているのでは? と推測した。Multi Coreテストの場合、この電力制限は全コアの合計値となる。これを守ろうとすれば、すべてのコアで動作クロックや動作電圧を抑えようとする。結果、CPU温度がそこまで上がらなかったのだろう。
対して、Single Coreテストでは1つのコアで60Wを占有できるため、動作クロックや動作電圧はかなり高くできる。それゆえに、瞬間的にCPU温度が上がる機会が増えてしまったのではないだろうか。もちろん、テスト中の合計電力はMulti Coreのほうが上になるので、これはあくまで「最大値」のみの話で、それも最大75度とまだまだ余裕がある状態だ。
ちなみに、騒音計をPC正面30cmの位置に置いて計ったところ、アイドル時は暗騒音(PC電源オフ時)と同じく約33.1dBで、電源が入っているとは思えないほど静かだった。また、CINEBENCH 2024のMulti Coreテスト実行中でも約33.2dBで、体感上は「ほぼ無音」だ。
10分ほどの短い間しか測らなかったので、もっと長い時間負荷をかけ続ければ騒音値は変わるかもしれない。それでも、よほど静かな部屋じゃない限り、PCが動いている気づくことはなさそうだ。
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