MWC25に出展しているクアルコムは、最新のフラッグシップモデム「X85」を筆頭に、モバイル、エンタープライズ、そして自動車分野に至るまで、多岐にわたる革新的な技術とソリューションを披露している。
同社ブースは、左右でカラーリングが分かれており、右側が赤で左側が青を基調としている。これは、右がコンシューマー向けのSnapdragonブランド関連の展示。左は新たに発表されたビジネス向けソリューションの新ブランド「Dragonwing」を紹介するエリアとなっており、それぞれのイメージカラーが使われているわけだ。
アップルがiPhone 16eに搭載した独自5Gモデムに対する
同社製チップセットの有利さを強くアピール
まず特に注目されていたのが、iPhone 16eに搭載されたアップル製の最新モデム「Apple C1」と同社の「X85」との比較表。Apple C1には「Uplink CA」「Uplink MIMO」「Switched Uplink」「6 Rx」「mmWave」「DSDA」といった項目が非対応となっており、X85がこれらの点で明確に優位であることが示唆。帯域幅もX85の方が広いとしている。
そのSnapdragon X85だが、前世代に比べて飛躍的に性能を向上させている点を強調。具体的には、下り最大12.5Gbps、上り最大3.6Gbpsという驚異的なスループットを実現し、サブ6帯からミリ波、さらには衛星通信(NB-IoT NTN)まで、あらゆるバンドに対応する。
また、AI(人工知能)の活用も大きく進化した。モデム内部に搭載されたNPUが、通信状況やアプリケーションの利用状況をリアルタイムに解析し、最適な通信制御をする。
たとえば、ユーザーがモバイルゲームをプレイしている際には、レイテンシーを最小限に抑えるために通信リソースを優先的に割り当てる。また、ZoomやMicrosoft Teamsなどのビデオ通話アプリ利用時にも、通話の途切れを減らし、より快適なユーザー体験を提供するとのこと。
Wi-Fiとセルラー間の切り替えにおいてもAIを活用。従来のOSによる判断よりも高精度かつ早期にWi-Fi信号の低下を検知し、重要なアプリの通信を事前に5Gに移行することで、通信の途絶を防ぎ、よりスムーズなネットワーク接続を実現するとしている。
さらに、Wi-Fiからセルラー、あるいはネットワーク内の異なる場所へ移動する際にもIPアドレスを維持することで、ビデオ通話などが途切れることなく継続できるようにする。
ブースでは、シャオミの最新フラッグシップモデル「Xiaomi 15 Pro」がSnapdragon X85の先進機能を活用しているデモンストレーションを実施。
下り回線で6つのアンテナ(6 RX)を使用するソリューションにより、地下駐車場などの電波状況が悪い環境でも、従来の4アンテナ(4 RX)構成と比較して大幅な性能向上が見られるというデータを公開していた。
また、「Smart Network Selection」と呼ばれる機能は、デバイスが常に最適なセルに動的に接続することで、97%のデータ通信で100ms以下の低遅延を実現していると紹介していた。加えて、デュアルSIMデュアルアクティブ(DSDA)に対応し、両方のSIMカードで同時にデータ通信が可能となる「Data plus Data」機能も搭載されている。上り回線においても大幅な改善が見られ、より高速なデータアップロードが期待できる。
技術的な詳細としては、サブ6帯において下り最大400MHzの帯域幅(3つのFDDキャリアと3つのTDDキャリアのアグリゲーション)、上り最大200MHzの帯域幅をサポートする。ミリ波においては、24のレイヤーによるキャリアアグリゲーションにより、最大7.5Gbpsの通信速度を実現する。
また、上り回線においてもTDDとFDDの柔軟な切り替えが可能となり、高速なアップロード速度と効率的な周波数利用を両立させるとしている。
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