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レイトレーシング性能でGeForce RTX 5070を抜き去った!?

RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー

2025年03月05日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

RTX 5070とRTX 5070 Tiの間に着地する

 まずは「3DMark」のスコアー比較から始めるが、今回も「Pownetics v2」を通じてビデオカード単体の消費電力を計測する。そのためにはPCI Express x16スロットを流れる電力を計測するためのライザーカードが必要になる。そのためにはBIOSでx16スロットのリンク速度をGen 4にマニュアルで固定する必要がある。

 だがその設定で描画性能に影響は出ないのか? という点も検証せねばならない。そこでマザーに直付けかつPCI Express Gen 5接続(グラフでは(Gen5)表記)の場合と、ライザーカード経由かつPCI Express Gen 4接続(同様に(Gen4)表記)の場合でもテストを実施した。

3DMark:ラスタライズ系テストのスコアー

3DMark:レイトレーシング系テストのスコアー

 まずRX 9070シリーズをPCI Express Gen 5接続からGen 4接続に落としてもスコアーにはほとんど影響していないことがわかる。よって以降のテストではすべてGen 4接続で検証することとした(GeForce勢もすべてGen 4接続)。

 そしてRX 9070シリーズの性能だが、まずRX 7900 GREより高スコアーであることは言うまでもないが、Fire Stike〜Steel LegendまでのテストではRX 9070はRX 7900 XTのすぐ後ろに付けており、RX 9070 XTに至ってはRX 7900 XTより上。そしてレイトレーシングのPort RoyalではRX 9070>RX 7900 XTとなっているだけでなく、RX 9070>RTX 5070になるという金星も見せた。

 ただもっと負荷の高いSpeed WayではRTX 4070 TiやRTX 5070 Tiが粘り勝つ。今までRadeonのレイトレーシング性能は今ひとつ……という評価があったが、RDNA 4ではようやく並んだといったところか。ただゲームのレイトレーシングと3DMarkのレイトレーシングは実装も違うため、まだ手放しで喜ぶことはできない。

OCモデルならではの暴れっぷり

 続いては消費電力の検証だ。前述の通りPownetics v2を電源ユニットの出力とマザーやビデオカードの間に挿入し、各種ケーブルやPCI Express x16スロットを流れる電力を直接計測する。3DMarkのSteel Nomadを実行しPC全体の消費電力およびビデオカード単体の消費電力(TBP:Total Board Power)を計測した。また、アイドル時の消費電力は文字通りアイドル状態で3分間放置した時の平均値だけを掲載している。

システム全体の消費電力:ATXメインパワー+EPS12V×2+PCI Express x16スロット+ビデオカードの補助電源ケーブルそれぞれに流れた電力の実測値から算出したもの

ビデオカード単体の消費電力(TBP):前掲の消費電力データからPCI Express x16スロット+ビデオカードの補助電源ケーブルの消費電力だけに注目したもの

 まずRX 9070のTBPは平均250W、ピークでも306W。RTX 5070のFounders Edition(FE)より平均値ではやや高いがほぼRTX 5070 FE相当の設計といえる。RX 7900 GREと比べても平均値で40W近く下がっており、新世代のRadeonといった感じだ。

 一方RX 9070 XTはパフォーマンス志向のファクトリーOCモデルだけあって消費電力はかなり高い。平均357WはRX 9070 XTの公称Total Board Powerを大きく上回っている。ピークは430Wと高く、99パーセンタイル点は393Wであった。この程度なら8ピン×3で充分養えるが、電力供給の安定性を優先するためにASRockは12V-2x6の採用に踏み切ったと思われる。

 Steel NomadはRay Acceleratorがまったく動かないテストであるため「Cyberpunk 2077」を4K最高画質(レイトレーシング:オーバードライブ+FSR 3“クオリティー”+FG)で5分程度放置し、その時のTBPを1秒間に約1000回程度Pownetics v2でサンプリングした。取得できたサンプル数は約30万、これをヒストグラムにしてみたのが下のグラフだ。横軸にある「200-210」という表記は200W以上210W未満を示す。

ゲーム中のTBP分布:RX 9070 XT TaichiでCyberpunk 2077を4K&最高画質でプレイした際の実測値を集計したもの。青のバーが長いほど頻度が高くなる

ゲーム中のTBP分布:RX 9070 Steel LegendでCyberpunk 2077を4K&最高画質でプレイした際の実測値を集計したもの

 まずRX 9070 XT Taichiだが、今回の検証では平均361W、最大値498W(当然TBPである)、99パーセンタイル点は361Wであった。RTX 50シリーズの場合は山が1つ、2つになった場合でも谷は深くないというのが今までの経験だが、RX 9070 XT Taichiの場合は鋭い山が2つ連なった分布になった。これは2つの山を行き来するような感じでTBPが推移しているためだと思われる。

 そしてRX 9070 Steel Legendも山が2つ重なっているように見えるが、2つの山のバラ付きは小さい。こちらもファクトリーOCモデルだが、製品の性格上あまり変動を許容しない設計あるいは仕様になっていると思われる。こちらは平均252W、最大326W、99パーセンタイル点は326Wであった。

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