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レイトレーシング性能でGeForce RTX 5070を抜き去った!?

RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー

2025年03月05日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

新しくなったAMD Software

 検証に入る前にレビュー用ドライバー(Adrenalin 25.3.1β)で大きく変わった点を紹介しておこう。まずこのドライバーより、AMD Softwareに「AMD Chat」という機能が追加された。学習モデルを追加でダウンロードする必要はあるが、AMD専用のAIチャットや画像生成が可能な環境がセットアップできる。

 AMD専用のAIというのは理由があって、ChatGPTやDeepSeekのような汎用性はない。「FPSを増やすにはどうしたら良いか」や「Radeon Chillとはどういった機能か」といったAMDの技術に関連する質問にしか答えてくれないが「AFMF 2.1を使いたい」と入れれば設定をオンにしてくれるといったエージェント的な機能を備えている。ただ現時点では日本語の理解力は芳しくないため、実用的とは言い難い。

AMD Software 25.3.1以降ではインストール時にカスタムインストールを選択できる

AMD Softwareのタブにできた「AI」を開けばこんな感じでチャットができるようになる。「GPU温度を下げる方法をアドバイスしてください」と入れると答えが出るが、日本語と英語が混在することも珍しくない

先の質問に対する答えはエアフローを改善するとか、PC内部の掃除をする、水冷の検討をするというものだったが、Radeon Chillを有効にするというボタンも出現する。これをクリックするとAMD ChatがRadeon Chillを有効化してくれるのだ

AMD Chatは画像生成も可能だ。ただ筆者はAMDをテーマにした歌詞を作成して欲しいと頼んだのだが、なぜかまったく異なるプロンプトに変換されてしまった。まだまだブラッシュアップが必要なようだ。

 FSR 4に関しては現状のところAMD Software上でゲームごと、もしくはグローバル設定でオン・オフする形になる。FSR 4のスイッチをオンにすると、ゲーム側のFSR 3の選択肢がFSR 4に変わる、あるいはFSR 4の項目が追加される。ただ検証時点ではスイッチをオンにしてもゲームを再起動しないと機能しない感じであった。このあたりも今後の改善に期待したい。

「Marvel’s Spider-Man 2」でのFSR 4使用の例。このゲームはFSR 4対応なのでAMD Softwareのゲーム設定にスイッチが出現している。スイッチがオフの状態では、ゲームのアップスケーラーの設定にはFSR 3.1という表記しか存在しない

FSR 4のスイッチをオンにしてからゲームを起動し直すと、FSR 3.1があったところはFSR 4の項目に置換される。これがAMDが言うところの「APIのアップグレード」なのだ

FSR 4が有効になっているかはゲーム起動直後に表示されるToastでも判断がつくようになっている。ゲーム中に「Alt+R」でAMD SoftwareのUIをオーバーレイさせてチェックするのも手だ

“7”の付くライバルと真っ向勝負

 今回の検証環境は昨日公開されたRTX 5070レビューとほぼ同時期に進行していたため、データも環境も流用している。RX 9070シリーズとの比較用にRX 7900 XTとRX 7900 GREのほか、RTX 5070 Ti/ RTX 5070/ RTX 4070 Ti/ RTX 4070を準備した。

 RX 9070シリーズの仮想敵は型番末尾が70で終わるGeForceである。つまり今回そろえたGeForce勢はすべてRX 9070シリーズのターゲットとなる。特にRTX 5070やRTX 4070 Ti/ RTX 4070はVRAM 12GBというハンデを背負っており、VRAM消費の多いシチュエーションでRX 9070シリーズが優位に立つ可能性がある。RTX 5070 TiはVRAM 16GBかつGDDR7と帯域が太いためRX 9070 XTにとってはタフな相手になるだろう。

 ちなみにRTX 5070レビューの時に加えていたRTX 4090は今回の検証の趣旨には適さないため結果から除外している。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 9800X3D」(8コア/16スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.18.AS02)
メモリー Micron「CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用)
ビデオカード ASRock「AMD Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」(RX 9070 XT、16GB GDDR6)
ASRock「AMD Radeon RX 9070 Steel Legend 16GB OC」(RX 9070、16GB GDDR6)
AMD「AMD Radeon RX 7900 XTリファレンスカード」(RX 7900 XT、16GB GDDR6)
ASRock「AMD Radeon RX 7900 GRE Steel Legend 16GB OC」(RX 7900 GRE、16GB GDDR6)
Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(RTX 5070 Ti、16GB GDDR7)
NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(RTX 5070、12GB GDDR7)
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」(RTX 4070 Ti、12GB GDDR6X)
NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」(RTX 4070、12GB GDDR6X)
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe Gen 5)
Silicon Power「SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe Gen 4)
電源ユニット ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)

 ドライバーはRX 9070シリーズのみAdrenalin 25.3.1のβ版を、それ以外のRadeonは25.2.1、GeForceはGameReady 572.50を使用した。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどは一通り有効化、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

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