徒手空拳で挑むのは無謀だが、DLSS MFGとSmooth Motionで下克上
GeForce RTX 5070、ゲームでRTX 4090を超越する
2025年03月07日 11時00分更新
「Overwatch 2」
まずはOverwatch 2から。APIはDirectX 11、画質は「エピック」をベースにレンダースケール100%、フレームレート上限は600fpsに設定した。マップ「Eichenwalde」におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
実際のゲームにおいても、RTX 5070はRTX 4090の影すら踏ませてもらえない。どの解像度でもRTX 5070はRTX 4090の6割程度の平均フレームレートにとどまっている。ゲームグラフィックの描画処理においても、演算器の数はパフォーマンスに直結するのだ。
RTX 4070 TiとRTX 5070の関係に注目すると、フルHDの平均フレームレートは明確にRTX 4070 Tiが上。しかし、WQHDではほぼ互角、4KになるとRTX 5070が優勢となる。これはにおいて、RTX 5070 TiがRTX 4080と対決した時の傾向とまったく同じだ。
解像度が低いうちはSM数の多いRTX 4070 Tiが力押しできるが、ゲームでは解像度が高くなるほどメモリー帯域も重要になる。4KになるとSM数よりもメモリー帯域が律速になるため、GDDR7を採用したRTX 5070のほうが有利になるわけだ。
評価の基準をRTX 4070に置くと、RTX 5070はすべてにおいて良好な伸びを示す。フルHDでも15%、4Kなら37%も高い平均フレームレートになった。RTX 4070からであれば、RTX 5070はSM数もメモリー帯域も純増になるからである。
上の表はベンチマーク時にPownetics v2を通じて観測したTBPと、10ワットあたりのフレームレート(すなわち、ワットパフォーマンス)の一覧を解像度別にまとめたものである。全般にRTX 5070の消費電力はRTX 5070 Tiよりも平均で50W程度下がっている。
「Call of Duty (Black Ops 6)」
Call of Dutyは「Black Ops 6」を使用した。画質は「極限」に設定。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。
このゲームでは、解像度を上げてもメモリー帯域の太さはフレームレートに直結しにくい。RTX 5070はどの解像度においてもRTX 4070 Tiのフレームレートを上回ることができなかった。これはSM数においてRTX 4070 Tiの方が多いためである。
RTX 5070が平均フレームレートにおいてRTX 4070を6〜9%上回る程度にとどまっているのも、SM数の増分が小さいためである。ゲームの実装によっては、こういう展開もあるのだ。
全体傾向としては、Call of Duty(Black Ops 6)を最高画質設定で遊びたいならWQHDまで、としたほうがよいだろう(無論、RTX 4090は例外だ)。4KだとRTX 5070は太刀打ちできない。アップスケーラーを利用して負荷を下げ、かつフレーム生成で滑らかさを確保しよう。
各GPUのTBPはOverwatch 2と比べるとだいぶ少ない。4KになるとRTX 4090のTBPが突出しているが、フレームレートも高いため、ワットパフォーマンスが特に悪化しているわけではない(仕事をしているぶん、消費電力も増える)。
「Sid Meier’s Civilization VII」
Sid Meier’s Civilization VIIでは画質を「高」とし、アンチエイリアスはFSR 3の「ネイティブAA」、すなわちFSR 3をアンチエイリアスとして利用する設定を使用した。ゲーム内ベンチマークは2本あるが、このうちグラフィック向けベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。
フルHDとWQHDでは最低フレームレートの出方が明らかに変だが、それはこのゲームにおけるフレームタイムは解像度が低いと異常なほどに変動するためだ。
FPSやアクション系だと好ましくない挙動ではあるが、幸いこのゲームはアクション性皆無のストラテジーなので、プレイしていても違和感はない。4K解像度になるとなぜかは不明だがフレームタイムのブレがピタリと収まり、平均フレームレートと最低フレームレートがある程度連動するようになる。
ここでもRTX 5070のパフォーマンスはRTX 4090には遠く及ばないが、RTX 4070 Tiとほぼ同レベルである。RTX 5070にとっては格上のRX 7900 XTに近いフレームレートである点にも注目したい。

Sid Meier’s Civilization VII:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)
どのGPUもフルHDでTBPが大きく下がっているように見える。フルHDでは最低フレームレートの出方が特に変であることと考え合わせると、なんらかの理由でグラフィックタスクが滞っていることを示唆している。
あるいは、フレームレートが高すぎて仕事をきちんと割り当てられず、GPUがだいぶ遊んでいるのかもしれない。Radeon勢のTBPも下がっている事実もこの説を補強している。なぜなら、Radeonは解像度を問わずフラットなTBP特性になりやすいからだ。
ここまでのテストで、普通にゲーム画面を描画しただけでは、RTX 5070とRTX 4090の性能ギャップは埋まらないことがわかった。というわけで、次ページからはレイトレーシングのほか、アップスケーラー(DLSSやFSR 3)やフレーム生成(DLSS FG)を積極的に使用する。
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