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ペンのように書けて、手で消せる「スマート石筆」

”石筆”で書いた文字を、火で炙ってみたりしました

●ノックすればすぐに書けるお手軽さ

 使い方は簡単。頭の部分をノックすれば芯が送り出されるので、あとはシャーペンと同じように書くだけです。

頭の部分をノック(押し込む)すると、芯の先が出てきます

 この送り出しの機構も、サイズが大きくなっただけでシャーペンなどと同じ。使い終わった後は、頭の部分を押しながら、芯を指で押し込めばOKです。

 内部が気になったので、ちょっと分解してみましょう。といっても、ペン先のパーツを指で回して外すだけで、簡単に分解できます。

 パーツは大きく3つ。握る部分となる筒状の胴と、ペン先、そして送り出し機構のついた本体部分です。

ペンの先を回して外すと、3つのパーツに分解できました

 本体部分と送り出し機構、そして頭の部分はすべてつながっていて、外すことはできません。つまり、芯を補充する場合は頭の部分からではなく、送り出し部分から差し込みます。中に芯は1本しか入りませんから、正確に言えば差し替えですね。

 なお、スマート石筆には、削り器機能はありません。芯の先を尖らせたい場合は、小型の刃物や鉛筆削りを使う、地面に擦りつけてるなどして削るといいでしょう。

 といっても、そもそも石筆で細い線を引くことは多くありません。削らずに使っていても、そこまで困ることはないと思います。

●書けるのは色が濃くザラザラなところ

 石筆がインクと大きく違うのは、対象に染み込まず、削れた粉が貼りついていること。黒板で使うチョークと同じです。そのため、表面がツルツルの場合は滑って書けませんし、石筆よりも柔らかいものにも書けません。また、石筆は白ということもあり、色の明るい材料へ書いても読みにくく、実用的ではないでしょう。

 向いているのは、表面がザラザラしていて色が濃いものです。本来の目的である、鉄板鉄骨などはもちろんですが、固いプラスチックにならOK。試してみた範囲では、マットな質感の机、100円ショップで買ったグレーの箱、カッターマットなどによく書けました。

100円ショップで見つけたグレーの箱。こういったものによく書けます

 石筆は粉が貼りついているだけなので、手でこするだけで簡単に剥がれ、消えてしまいます。消えるのはデメリットのように感じますが、寸法や注意書きなどは完成後に消したいですから、むしろ、工作用としてはメリット。一時的なメモ用としても重宝します。

1回こすってみたところ。数回こすればキレイに消えます

 また、強く押し付けなくても書けるため、消しても跡が残りません。プラスチックだと跡が残るかなとも思いましたが、ほとんどわからないくらいでした。もちろん素材にもよりますが、大抵のものであれば跡は残らなさそうです。

 石筆のメリットとしてよく挙げられているのが、水に強いという点。といっても、こすれば消えてしまうほど弱いので、強い水流を当てると薄くなってしまいます。この場合の水に強いというのは、にじまないので濡れに強い、という意味でしょう。

 雨に降られ湿っても、にじんで読めなくなることがない、というのは十分なメリットです。

水滴をかけてみたところ。にじまずに読めます

 もう1つのメリットが、熱に強いこと。鍛冶や溶接では高温になるため、ペンで書いてしまうと消えてしまいますが、石筆であれば加熱後も消えずに残ってくれます。こういった作業で今でも石筆が使われているというのも、なるほどと思いますね。

ブリキに文字を書いてから、バーナーで炙ってみました

熱で消えないため、冷めると文字が読めました

●使いどころは少ないけれど……なぜか使いたい!

 ペンよりも書ける対象が少なく、鉛筆ほど手軽ではないという点で、石筆はどうしても使いどころが限られてしまいます。それがわかっているのに、なぜか使いたくなるのが不思議なところ。

 書くのも消すのも簡単というあたりは、部品や材料の残存数をケースに書いておくといった備忘的なメモに便利。鉛筆だと目立ちませんし、油性や水性マーカーだと書き換えが大変、チョークだと粉が気になるといったデメリットがありますが、石筆だとこの点で使いやすいです。中身の見えないケースにメモを書き残す、という用途では、なかなかよさそう。

 せっかくなので、石筆を活かせる鍛冶や溶接にチャレンジしてみるというのも……って、手段と目的が逆か!

●お気に入りポイント●

・ペン感覚で使える手軽さ

・手でこすればキレイに消える

・熱に強くバーナーで炙っても平気

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この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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