RTX 5070 Ti・4070 Ti・RTX 4070、Radeon RX 7900 XT・GREとも比較
GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる
2025年03月04日 23時00分更新
良きライバルはRTX 4090ではなくRTX 4070 Ti
CGレンダリング系のテストである「Blender Benchmark」と、「V-Ray Benchmark」でパフォーマンスを比較しよう。Blender Benchmarkはv4.3.0を指定して計測した。
RTX 4090のグラフが表記ミスを疑う伸び方をしているが、CGレンダリング系は演算器勝負な側面が強いため、この結果は妥当だ。こういった処理では、RTX 5070はRTX 4090の背中すら拝むことすら許されない。むしろRTX 5070はRTX 4070 Tiに対して勝ったり負けたりと、かなり良い勝負になっている点に注目したい。
GPU性能的にRTX 5070はRTX 4070 Tiに近いところを狙って設計されており、そこにRTX Blackwellならではの新要素(DLSS MFGやAI Management Processorなど)を追加したものと言えるだろう。
続いて、V-Ray BenchmarkはGPUを利用するテスト2本(RTXおよびCUDA)を実施した。このベンチマークはRadeon系は動作対象外(CPUで処理される)であるため、検証からは除外している。
RTX 5090の発売から早1ヵ月が過ぎたが、RTX 50シリーズにおいてCUDAテストのスコアーがふるわない状況はあいかわらず改善されていない。ただし、RTXテストにおいてはその限りではなく、RTX 5070はRTX 4070 Tiを15%程度上回っている。
シングルエンコーダーでも遅いわけではない
RTX 5070とRTX 5070 Tiの差異で地味に大きい点がNVEncの搭載数だ。そこで、動画エンコード系のテストを2本試してみよう。まずは「UL Procyon」の「Video Editing Benchmark」を利用する。このテストは「Premiere Pro」を実際に動かし、4種類の動画のエンコード速度をスコアー化するもの。エンコードデバイスはGPUを明示的に指定している。
H.264とH.265の処理時間を比べると、どちらでもRTX 5070 TiとRTX 5070には明確な差が出た。NVEncが2基あるからといって1基よりも2倍高速とはならないものの、RTX 5070のエンコード時間はRTX 5070 Tiを下回った。そして、RTX 5070は2基のNVEncを備えるRTX 4090よりもわずかに優秀だった点も興味深い。
ようやくゲーム以外でNVIDIAの発表を裏付けるデータがとれた! といった感じだろうか。とはいえ、RTX 5070のVRAMは12GBであるため、動画編集シーンでRTX 5070がRTX 4090を追い出すことになるとは考えにくい。
旧世代のRTX 4070 Tiと比べてRTX 5070のエンコード時間が3〜4秒短縮されている理由は、GDDR7の恩恵もあると思われる。たかが数秒の短縮と思うかもしれないが、ソース映像の再生時間は1分前後。そのため、もっと長尺な動画になった場合はさらに大きな差がつく可能性がある。
「DaVinci Resolve Studio」でも検証してみよう。今回も4:2:2 10bitカラーフォーマットに対応したテスト用ビルドを利用して検証する。4:2:2 10bitの4K動画を次々に再生するプロジェクト(再生時間は32秒)を用意し、それをビットレート80MbpsのH.265で出力する。
RTX 4070 TiやRTX 4070は4:2:2 10bitカラーフォーマット処理するために、サードパーティー製のエンコーダー「Voukoder Pro」を組み込んだ状態でも比較した。さらに、同じプロジェクトに対して80MbpsのAV1でエンコードするテスト(エンコーダーはNVIDIA)も追加。なお、Radeon勢はエンコーダー設定がGeForce勢と大きく異なるため検証から除外した。
Voukoder Proを導入すれば、旧世代GPUでも4:2:2 10bitカラーフォーマットの動画を扱うことはできる。しかし、CPUで処理するため、RTX 5070などに比べるとエンコード時間は長大になる。
RTX 5070 TiとRTX 5070を比較すると、Voukoder Pro以外の処理時間はRTX 5070のほうが明確に長くなるが、これはNVEncの仕様と深い関わりがあると考えてよいようだ。1世代前のNVEncを2基備えるRTX 4090と比較すると、シングルNVEncのRTX 5070とAV1エンコード時間においてわずかに勝っているという点にも注目だ。
とはいえ、先のPremiere Proの話と同様に、RTX 5070はVRAMが12GBと少ないため、RTX 4090にかわる存在になるとは言えない。ただし、それほど凝った編集はしないというユーザーであるなら、RTX 5070は動画編集にも良いGPUと言えるかもしれない。
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