第813回
Granite Rapid-DことXeon 6 SoCを12製品発表、HCCとXCCの2種類が存在する インテル CPUロードマップ
2025年03月03日 12時00分更新
IOタイルはIntel 4で製造
統合電圧レギュレーターFIVRも復活していた
IOタイルに関しては新規なわけだが、その中身が紹介された。一番驚いたのは、このIOタイルがIntel 4で製造されていたことだ。
Meteor Lakeの生産が一段落したことで、IrelandのFab 34をどうするつもりなのかという疑問があった(当初はIntel 3に転換するのでは? と思ったのだが、昨年6月に同社はFab 34に関連する合弁事業体の持ち分の資産の49%をApollo Global Managementに売却している)。
インテルは51%の資産を保有しており、所有権と運営管理はインテルが引き続き保持するものの、合弁事業体はFab 34で自身のウェハ―を製造する権利を持っており、つまりインテル以外の企業がFab 34を利用して独自のウェハ―を製造することが可能となる。
こういう状況では、製造装置の入れ替えは(不可能ではないが)なかなか大変になるわけで、引き続きIntel 4を利用する「なにか」を製造しないといけないのだが、その1つがXeon向けのIOタイルだったわけだ。今年から量産開始ということなので、試作はあるいはOregonのD1で行なわれていたのかもしれない。
そのIOタイルの中身が下の画像だ。多分横幅はEMIBを利用したDie-2-Die Fabricの幅で規定されてしまうためだろうか? 内部的にはみっちりというよりはかなり間隙が目立つ、ゆったりしたレイアウトに思える。
一番大きいのがイーサネットアクセラレーターとイーサネットのMAC/PHYとなっている。中央がアクセラレーターで、その両脇に200Gイーサネットが4ポートづつ配される格好だろうか? イーサネットのMACからPHYへの配線に結構苦労している感がある
そのアクセラレーター部が下の画像だ。DLBおよびDSAに関しては非対称だが、QATとメディア・アクセラレーターは左右対称構造になっている。最初のページで示した表のQATやDLB、DSAの数は"デフォルト"である。要するに連載695回で説明したIntel On Demandで、後から利用するアクセラレーターの数を変更できる(あるいは無効化していたアクセラレーターを有効化できる)という機能がXeon 6には搭載されており、それは今回のGranite Rapids-Dでも同じである。
実はIntel Arkには今回から追加されたメディア・アクセラレーターの数が記載されていない(ので表にも反映していない)のだが、これもデフォルトは1、最大2が可能なのではないかと思われる。
細かいところでは、今回からFIVR(Fully Integrated Voltage Regulator)が復活している。電源変動に素早く対応するためには、なるべく消費しているところ(つまりCPUコア)の近くに電源レギュレーターを置くのが好ましい。通常では基板上にレギュレーターが置かれるが、例えばRyzenではLDO(Low Drop Out)レギュレーターをオンダイで搭載している。
LDOは反応速度こそ早いものの効率は悪いので、あんまり大きな電圧変換をさせると無駄に消費電力が増える。なので通常はLDO以外の外部のレギュレーターと組み合わせ、例えば12V→1.5Vは外部のレギュレーターに任せ、1.5Vを1.45Vや1.43Vなど、細かくニーズに合わせて微調整する部分だけを担う格好になる。
ただこれは大きな消費電力変動には追従しきれない公算が高い。インテルも、特に低消費電力時にFIVRの効率が悪すぎるということで一旦省いたが、多分Granite Rapids-Dのような常時稼働する製品には使えると判断したのかもしれない。ただこれ、コンピュートタイルに統合しているのか、IOタイルに統合しているのかは不明である(なんとなくIOタイルっぽいが)。
説明は他にI/O周りの回路などについても行なわれたが、このあたりは割愛する。重要なのは、Xeon向けに真っ当な機能分割をしたチップレットのアーキテクチャーを投入し始めたということかと思う。この路線を真っ当に突き進んでほしいと祈るばかりである。
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