週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

アマゾン「Alexa」が生成AI対応に進化! 特徴と課題を徹底解説

2025年02月28日 18時45分更新

スマートホーム連携には滅法強そうだ

 筆者が考えるAlexa+の特徴はあと2つあります。

 まず1つはスマートホーム機器との連携に強いこと。Alexaスキル、およびWork with Alexaに対応するスマートホームデバイスやIoTデバイスはAlexa+でも動くように、SDKの互換性が確保されるそうです。サードパーティのデベロッパはAlexa+との自然会話に対応したり、既存の連携の上に新しい機能を追加することもできます。

 記者発表会では、既存のAlexaに対応するスマート照明に対して、Alexa+を使って「みんなが座っている部屋の照明を点けて」といった具合に感覚的なリクエストを投げて遠隔操作するデモンストレーションも体験しました。

Alexa

市場に存在する多くのAlexa対応スマートホームデバイスが、Alexa+の登場後も変わらず利用できる互換性を確保しています

 ここで筆者が気になったのは、AmazonのFire TV Stickなど、Alexaを搭載するスマートテレビ関連のデバイスがAlexa+に対応するか否かという点でした。米国ではFire TV StickがすでにAlexaとの自然会話による音声操作に対応しているので、おそらく時間をかけることなくサポート対象のデバイスに仲間入りするはずです。

 イベント会場でAmazonのFire TV、Fireタブレットの担当者をつかまえて聞いたところ、Alexa+対応に向けて鋭意準備中という回答が得られました。

 日本の家屋の場合、大画面テレビのほかにAmazon Echo Showシリーズも設置するスペースがなかったり、壁掛に掛ける習慣もなかったりします。Alexa+を搭載するスマートテレビがリビングルームにあれば、便利さが実感できる機会は格段に増えると思います。

エンタメサービスにも連携 課題はビジネス仕様の強化

 記者発表会のステージには、2023年から前任者のデイヴ・リンプ氏を引き継ぎいで、新しいデバイス&サービスのシニア・バイス・プレジデントに就任したパノス・パネイ氏が登壇してAlexa+の実演デモをしました。

 パネイ氏と言えば、名前に聞き覚えがある人もいるでしょう。アマゾンに所属する前は、米マイクロソフト本社でSurfaceやWindowsのプロダクト開発を統括する責任者として長く活躍してきました。

Alexa

アマゾンのコンテンツサービスがAlexa+に対応することによってますます便利になります。発表会のステージでデモンストレーションを見せたパノス・パネイ氏

 パネイ氏がステージ上で見せたAmazonによるエンターテインメント配信サービスとAlexa+の連携は先進的でした。デモの内容はEcho Showシリーズが搭載するAlexa+に対して「レディー・ガガが主演した映画でブラッドリー・クーパーと歌っていたヒット曲をAmazon Musicで再生」するリクエストを投げて、続けざまに「Amazon Prime Videoで、この曲が流れる映画のシーンを視聴」するというものでした。

 コンテンツのピンポイント再生は、Amazon Prime Videoの配信作品に詳細な情報をメタデータとして打ち込むアマゾンのX-Rayという技術を用いて実現するそうです。

 Alexa+が日本語で使えるようになると色々楽しめそうですが、ローンチ後にアマゾンが頑張るべき課題があると筆者は思います。

Alexa

Alexa+もテキストデータの要約などの機能を実現しています。「ビジネスにも役立つAlexa+」のイメージづくりに注力することもアマゾンにとって大きな課題のひとつと言えそうです

 またAlexaは、スマートホームには強いものの、ビジネス向けのパーソナルアシスタントとしては、ライバルに対する存在感が弱いと思います。今回の記者発表会ではメールの要約的な使い方も紹介していましたが、筆者はEchoデバイスを日頃使っていながら、そもそもメールをチェックしたり作成する用途を試したことがあまりありません。

 アマゾンには独自のスマートデバイスがあることが大きな強みですが、かたや生成AIに対応するパーソナルアシスタントの主戦場はしばらくの間、モバイル端末やPC、あるいはウェアラブルデバイスになると思われます。

 アマゾンが同業他社のAI企業と柔軟にパートナーシップを組みながら、Alexa+にしかできないことを強く打ち出せれば勝ち筋が見えてくるかもしれません。

 
Alexa

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

S