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2025年1月は例年通り、減少しましたが……

毎年恒例「詐欺メールがなぜか激減する旧正月」がやって来た結果、数字がえらいことに

2025年02月26日 18時00分更新

2025年1月のフィッシング報告件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

実に約41.4%減!

 減ること自体は想定内でしたが、まさかここまでとは……。

 フィッシング対策協議会が毎月発表している「フィッシング報告状況」の2025年1月分によると、「報告件数」は前月から9万6121件減少して13万6169件でした。一気に5万件以上増えて史上最多の報告件数を記録した前月から一転、激減しています。減少幅も間違いなく新記録でしょう。

 ただし、油断してはいけません。この激減した数字ですら、2023年以前のベスト(?)スリーに入る報告件数なのです。

 同協議会によればフィッシング詐欺のメールやSMSは、「旧正月(春節)と前後1週間は報告数が減る傾向」にあるとのことで、実際2024年は2月に、2023年は1月にそれぞれ大幅な減少が見られました。今年も1月下旬以降、報告件数が激減したそうです。

 この減少はどちらも一時的なもので、その後、春から夏にかけて右肩上がりになってしまうのが通例です。特に今回は減少幅こそ大きいものの、旧正月シーズンの数字としては高止まりしていますので、このボリュームのまま2025年も右肩上がりの傾向が続くと考えると頭が痛いですね。

対策が弱い企業・団体を狙っている

 相変わらずAmazonを騙るフィッシングが最多で、報告数全体の約22.3%を占めました。次いでPayPayの約13.9%が目立ち、そのほか三井住友カード、えきねっと、佐川急便、JAバンクを騙るフィッシング報告を合わせると、全体の約53.4%に達した模様です。

 分野別では、クレジット・信販系が約29.3%、EC系が約26.7%、決済系が約14.5%、配送系が約8.0%、金融系が約5.3%、交通系が約4.4%で、前月からクレジット・信販系が増加傾向です。スミッシングは、クレジット・信販系を騙るメッセージの報告が多かったとのこと。

 おそらく来月分(2025年2月)も旧正月シーズンの影響が残るかたちになるため、派手な揺り戻しはないと予想しますが、注意するに越したことはないでしょう。

 さて、フィッシングメール・SMSの誘導先(偽Webサイト)にあたる「URL件数」は、前月から7万6881件減って4万3534件と、こちらも大幅な減少を見せています。やはり旧正月シーズンの影響でしょう。

 そしてフィッシング詐欺に悪用された「ブランド件数」は前月から18ブランド減少して89件でした。

 偽Webサイトへ誘導するための手口としては、「抽選、支払い利用、紹介、新規契約、サイトへのログイン等によるポイントプレゼント」といった、公式でも実施しているようなキャンペーンを装うものが目立ったとのこと。

 公式のキャンペーン告知メールをそのままコピーしてURLのみ差し替えたかたちのフィッシングメールは、基本的に判別できません。油断せずにメール内のURLはタップしないことを癖として習慣化することが大切です。

2025年1月のフィッシングサイトのURL件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

2025年1月のフィッシングに悪用されたブランド件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

 もしあなたが怪しいメールやSMSを受け取ったら、可能ならばフィッシング対策協議会に報告することをおすすめします。

※これらの数値はあくまでも「報告」件数ですので、実際の動向を完璧に反映しているとは限りません。フィッシング詐欺被害の報道が増加し、その脅威が明らかになればなるほど、同協議会に一報する人も増えていると考えるのが自然です。とは言え、現状の傾向を見るには最も適した数字でしょう。

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