週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

「拡張思考モード」でもっと複雑な推論やコンテンツ作成まで

Claude 3.7 Sonnetをさっそく試用! 高速でハイエンドの思考能力を備えていた

 2025年2月24日、Anthropicから突然「Claude 3.7 Sonnet」がリリースされた。これまで、高性能モデルとして「Claude 3.5 Sonnet」が使われており、しばらく動きがなかったので次は4.0かと思いきや、ナンバリングを刻んできた。OpenAIやGoogleの動きが激しいので、焦って中途半端な数字を投入してきたのかと思ったら、そんなことはなかった。

Claude 3.7 Sonnetのベンチマーク結果

 最大の特徴は、複雑な問題を解決するために設計された「拡張思考モード」を搭載したこと。複雑な推論や豊富なコード生成、包括的なコンテンツ作成が行なえる。最大出力トークンは通常モードで8Kトークン、拡張思考モードで64Kとなる。コンテキストウィンドウは従来と同様20万トークンとなる。また、AIトレーニングデータのカットオフ時期は2024年11月と他のモデルより新しくなっている。

 Anthropicが公開したベンチマークスコアでは、Claude 3.7 Sonnetの拡張思考モードはClaude 3.5 Sonnetはもちろん、ほとんどの項目で「DeepSeek R1」を上回っており、OpenAIの「o」シリーズに匹敵する性能まで備えている。コードを生成するソフトウェアエンジニアリング性能を評価するSWE benchでは、それらのAIモデルをはるかに上回るスコアをたたき出すとのこと。

SWE benchのスコア

 Claude 3.7 Sonnetの中核を成すハイブリッド推論システムは、人間の認知プロセスを高度に模倣した設計思想に基づいている。従来のAIモデルが「反射的な思考」と「熟慮的な思考」を別個の処理系として扱ってきたのに対し、Claude 3.7 Sonnetでは神経回路網の動的再構成技術を応用しており、入力データの複雑度をリアルタイムで評価し、最適な推論モードを自動選択するメカニズムを構築している。この仕組みにより、単純な問い合わせには100ミリ秒以下の応答時間を維持しつつ、複雑な数学的証明問題では最大128Kトークン(API経由で利用する場合)に及ぶ段階的推論を実現した。

 Claude 3.5 Sonnetはすでに利用可能になっており、無料版でも利用でき、拡張思考を含むフル機能を使うには有料プランの契約が必要になる。

 使い方は簡単。AIの選択メニューから「Claude 3.7 Sonnet」を選択し、拡張思考を使うなら「Extended」にチェックを入れてプロンプトを入力すればいい。

「Claude 3.7 Sonnet」と「Extended」を選択

 試しに、「RPGで利用する2Dのマッピングツールを作ってください。タイルを選択して並べていくシンプルなUIで、凡例やタイトルは日本語で表示してください。文字化けさせないようにしてください」と入力したところ、数秒でコードが生成され、アーティファクトで動作した。項目の内容やアイコンのデザインは修正したいものの、指示した機能をサクッと実装したのには驚いた。

マッピングツールを作ってもらった

 次は「NPO法人向けのランディングページを作成してください。リッチなデザインで、日本語のNPO法人サイトに必要な要素を一通り入れたページにしてください」と指示してみた。

 こちらもあっという間に作成された。以前のモデルでも生成できたが、デザインも内容もずっとクオリティが高くなっている。明らかに、Claude 3.7 Sonnetの性能が向上しているのがわかる。

ウェブページを作成してもらった

 Claude 3.7 SonnetのAPI料金は、前モデルのClaude 3.5 Sonnetと同じ金額設定されており、入力トークンは100万トークンあたり3ドル、出力トークンは100万トークンあたり15ドル(思考トークンも含む)となる。他のサービスにも組み込まれ始めており、例えば検索特化型生成AI「Perplexity」にも搭載され、選択できるようになっている。

APIの提供も開始。「Perplexity」でも利用可能

 文章生成に関しても、少し賢くなっているように感じる。OpenAIとGoogleが相次いで新モデルをリリースし、Anthropicが遅れ始めたか?と思ったタイミングで投入してきた。単に性能が向上しただけにとどまらず、コード生成に注力しているのが面白い。無料アカウントでもClaude 3.7 Sonnetの普通モードは利用できる。まずはその実力を体感してみよう。

 Claude 3.7 Sonnetと同時に、Anthropic製のエージェントコーディングツール「Claude Code」も発表しており、AI駆動開発シーンがまた大きく動きそうだ。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

S