もうAFMF 2の好きにはさせない
Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破!?
2025年02月27日 10時00分更新
「Dead Space (2023)」
リメイク版Dead Spaceでは画質を最高設定(RTAO含む)にして、DLSSとFSR 2は「クオリティー」に設定。RTX 5080とRTX 5070 TiはSmooth Motionを、RX 7900 GREはAFMF 2を有効化。シナリオ序盤に訪れる無重力ハンガーエリアを移動する際のフレームレートを計測した。
Smooth Motion設定に気がつかない状態であれば、AFMF 2オンのRX 7900 GREの平均フレームレートがダントツに高い、という間違った評価を下してしまっただろう。だが、Smooth Motionをオンにすることで、RTX 5070 Tiの平均フレームレートはRTX 4080より32〜57%、RTX 4070 Ti SUPERなら49〜65%高くできる。
Smooth Motionがオフの状態なら、RTX 5070 TiはRTX 4080よりも平均フレームレートが4%低く、RTX 4070 Ti SUPER相手でも3〜13%高い程度の“残念な”性能評価となってしまう。なお、Smooth Motion利用時に発生する画質やE-Eシステムレイテンシーへの影響については、後日改めて検証をしたいと考えている。
だが、動きの滑らかさを重視するのであれば、RTX 5070 Tiは既存のRTX 40シリーズにはない強みを備えていると言える。
Smooth Motionをオン・オフした時のTBPの違いを見ると、フルHDやWQHDでは変化せず、4KではTBPが下がっている。RTX 5080検証時はこの4Kのデータだけを見てTBPが下がっていると判定したのだが、少ないデータから推測するのは危険だと反省することしきりである。
「Tom Clancy’s The Division 2」
もう少しSmooth Motionを使った検証を続けてみよう。Tom Clancy’s The Division 2では、画質「ウルトラ」(ただし、垂直同期はオフ)に設定。このゲームはDLSSやFSRに対応していないため、レンダースケールは100%設定にした。
なお、RTX 5080やRTX 5070 TiではSmooth Motionを、RX 7900 GREではAFMF 2を有効化。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。
WQHDまではRX 7900 GREがとにかく強い。Smooth MotionがなければRadeon圧勝で終わったことだろう。ただし、RTX 5070 TiやRTX 5080の実売価格の高さを考えると、コストパフォーマンス的にはRX 7900 GREが圧倒的に優れている。
しかし、今までDLSS FGの恩恵が得られなかったゲームでも、Smooth Motionによってフレームレートをかせげるようになった点は評価すべきだろう。さらに言えば、このゲームはメモリー帯域よりもSM数(Streaming Multiprocessorのほう)がカギになるようで、Smooth Motionオフ時のパフォーマンスはRTX 4080>RTX 5070 Tiである。
Tom Clancy’s The Division 2:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)
このゲームではどの解像度でもSmooth Motion有効時のほうがTBPが低い。Smooth Motionがない状態であれば、RTX 5070 TiよりもRTX 4080のワットパフォーマンスが良好である。Smooth MotionがRTX 5070 Tiの立場を意味のあるものにしている。
「Kingdom Come: Deliverance II」
最後に試すのはKingdom Come: Deliverance IIだ。画質は未来のハードを想定した「実験的」、DLSSとFSR 2は「クオリティー」に設定。RTX 5080とRTX 5070 TiはSmooth Motionを、RX 7900 GREはAFMF 2を有効化した。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測。
ちなみに、「ジサトラKTU #368」ではAFMF 2がうまく効いていないデータを出しているが、配信後に環境を見直し、AFMF 2の効いたデータで再度比較している。
「実験的」と言うわりにはレイトレーシングもフレーム生成も使用していないゲームだが、植生の表現などが非常に重い。RTX 5070 TiはSmooth MotionなしではRTX 4080とほぼ同等の平均フレームレートにとどまるが、Smooth Motionをオンにすることで2倍程度の平均フレームレートに向上している。
Kingdom Come: Deliverance II:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)
Kingdom Come: Deliverance IIにおいても、Smooth MotionをオンにすることでRTX 5080やRTX 5070 TiのTBPは10〜15W低下した。Smooth Motionの処理をTensorコアで実行する際に発生するオーバーヘッドのおかげで、実際のフレームレートは若干低下するとNVIDIAは説明している。
それがTBPの低下の原因であるとすれば、Tensorコアそのものの負荷はだいぶ軽いと考えられる。UNCHARTEDのようになぜ逆転するのかまで判断できる材料はないが、いずれは説明できるようになりたいものだ。
まとめ:Smooth MotionでRTX 4080を置き去りにする
今回の検証から、RTX 5070 TiがSM数で勝るRTX 4080にときどき負けてしまうように、新世代だからといって無条件に勝てるGPUでないということが再確認できた。RTX 4080に対し、絶対的なアドバンテージがとれるのはDLSS MFG対応ゲーム、あるいはDLSS FGに対応しないゲームでSmooth Motionをオンにした時である。
つまり、RTX 5070 Tiを評価するにあたり最も苦しい点は、DLSS FGのみ対応しているゲームである。こうしたゲームが今後どの程度のペースでDLSS MFG対応に変わるのか、あるいは新ゲームのDLSS MFGが事実上の標準化するのか否かが今後のRTX 5070 Ti評価に大きく影響するだろう。
DLSS MFGの爆発力はすさまじいが、個人的にはSmooth Motionの登場でようやく前世代の同格モデルや、Radeonに対抗できる「汎用的なパフォーマンスブースト」が実装されたと考えている。そこがRTX 50シリーズの魅力なのだが、まだまだ細かい不具合も散見される。Smooth Motionは大事に育てていただきたいところだ。
ただし、RTX 3070 Tiのように2世代前のxx70番台(xx80番台を入れてもいい)から見ると大幅なジャンプアップであることは確かだ。RTX 40シリーズの新品流通在庫がほぼ消滅している今、RTX 30シリーズ以前からのリフレッシュ候補として、RTX 5070 Tiはギリギリ20万円を超えない選択肢の1つとして検討すると良いだろう。
RTX 5070 Tiのレビューはこれにて終了だが、3月5日にはRTX 5070が発売し、さらにはAMDのアレやコレやの発売が待ち構えている。運良くレビュープログラムに参加し、乗り切ることができるのだろうか……?
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります










