もうAFMF 2の好きにはさせない
Smooth MotionでGeForce RTX 5070 TiはRTX 4080を完全撃破!?
2025年02月27日 10時00分更新
「Marvel’s Spider-Man 2」
DLSS MFG検証の最後はMarvel’s Spider-Man 2を使用する。このゲームはDLSS MFGのDay 0対応リスト(関連サイト)に掲載されていなかったゲームだが、本稿の検証段階でNVIDIA AppによってDLSS MFGにオーバーライドできていた。
つまり、Day 0対応リストの75本からDLSS MFG対応ゲームが増えていることを示している。画質は「非常に高い」をベースに、レイトレーシングは「アルティメット」、DLSSとFSR 3は「クオリティー」にして、フレーム生成も有効化。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
DLSS MFGが利用できるRTX 5070 Tiが、DLSS FGしか使えないRTX 4080を大きく上回るまでは、Marvel Rivalsと同じ流れ。しかし、このゲームの場合、4Kになるとフレームレートの伸びに急ブレーキがかかった。WQHDまではRTX 4080に対し、RTX 5070 Tiの平均フレームレートは2倍強と非常に伸びているが、4Kでは27%増にとどまる。
その理由は、Marvel’s Spider-Man 2に実装されているレイトレーシングにあると推測される。このレイトレーシングは解像度が高くなるほどレイの追跡にCPUパワーも使う傾向にあるためだ。
レイトレーシングをわりと使っているはずなのにTBPが少ない。RTX 5070 TiでもTBPが平均200W程度にとどまっている理由の1つは、CPUが律速になっているから、と考えられる。
「UNCHARTED 4: A Thief’s End」
「DLSS MFGスゴイ」だけを連呼してもよろしくないので、DLSS FGが使えないゲームでもドライバー側でフレーム生成を行う「Smooth Motion」も検証してみよう。まずは「UNCHATED Treasure Hunter Collection」に収録されているUNCHARTED 4: A Thief’s Endを利用する。
画質は最高設定、DLSSは「クオリティー」とした。ただし、Radeon環境ではFSR 2を有効にできないため、ゲーム内のアップスケーラーを使用し、レンダースケールは70%に設定。RTX 5080とRTX 5070については、Smooth Motionをオン(グラフでは「SM」と表記)にした時とオフにした時、RX 7900 GREはAFMF 2をオン(「AFMF 2」と表記)にした時とオフにした時の結果を比較する。
ステージ「十二の塔」における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。ちなみに、今回の検証環境ではRTX 3070 Tiのみシェーダーのコンパイルでゲームが異常終了するという不具合に遭遇したため、検証から除外している。
Smooth Motionオフの時は、このゲームではRTX 50シリーズだと200fpsあたりで見えない壁にはばまれるが、RTX 4080やRTX 4070 Ti SUPERではそのような現象がない。そのため、フルHDやWQHDではRTX 40シリーズのほうがより高いフレームレートが出てしまう。
だが、Smooth Motionを有効にするとその縛りから解放され、RTX 5070 TiはRTX 4080の35〜55%上の平均フレームレートに到達。RTX 4070 Ti SUPERに対してなら差はもっと広がり、4Kだと76%増という結果になった。
なお、このゲームに関してはRX 7900 GREもかなり健闘している。4Kでは平均フレームレートこそRTX 5070 Tiに負けはしたものの、最低フレームレートは147fps以上と見どころは多いと言えるだろう。

UNCHARTED 4: A Thief’s End:ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値(左3つ。単位:W)、および10Wあたりのフレームレート(右3つ。単位:fps)。RX 7900 GREのAFMF 2オン時の欄が空になっているのは、フレームレート計測にCapFrameX+Pownetics v2の組み合わせが使えないためである(一応Radeon SoftwareでもAPI経由でのTBPは取得できるが、実測値とは誤差があるため比較には使えないと判断した)
このゲームにおけるTBPは、フルHDやWQHDではSmooth Motionをオンにすると消費電力が若干増え、4Kにすると逆に減るといいう傾向。この結果に関しては次のゲームで考察することにしよう。
「BIOHAZARD RE:4」
BIOHAZARD RE:4は描画が重めかつVRAMの消費量が多く、半端なスペックのGPUではすぐ息切れを起こすゲームだが、フレーム生成には一切対応していない。ゆえに、Radeon+AFMF 2が至高とされていた。
今回の検証は画質を最高設定にして、レイトレーシングは「高」、FSR 2は「クオリティー」にセッティングした。RTX 5080とRTX 5070 TiはSmooth Motionを、RX 7900 GREはAFMF 2を有効化。ゲーム序盤で訪れる村落マップを移動する際のフレームレートを計測した。
今までこのゲームはAFMF 2が使えるRadeonが強く、GeForce勢を大きく突き放してきたが、Smooth Motionの登場でRadeon一強ではなくなった。もちろん、それでもAFMF 2を使えば、RTX 5080のSmooth Motionオフ時のフレームレートを上回るという点は高く評価できる。
RTX 5070 TiはSmooth Motionオフ時だとRTX 4080と大差ないが、オン時は平均フレームレートが37〜49%増加した。RTX 5070 TiでSmooth Motionオン>RTX 5080でSmooth Motionオフとなるように、Smooth Motionをはさむだけで格上尾GPUに勝ってしまったのだ。
最低フレームレートも平均フレームレートほどではないもののキッチリ伸びている。Smooth Motionは積極的に活用を検討してみたい技術であり、RTX 50シリーズの強さを盤石にする技術でもある。RTX 40シリーズにSmooth Motionが解放されるという“ウワサ”もあるが、ウワサはあくまでウワサにすぎない。
先のUNCHARTED 4: A Thief’s EndのTBPとは傾向が異なり、BIOHAZARD RE:4ではより多くの条件においてSmooth Motionをオンにした時のTBPのほうが低い値を示している。
RTX 5080のゲーム検証記事の最後において、筆者は「Smooth Motionをオンにすると素のフレームレートを下げ、GPU負荷に余裕を持たせたうえでフレーム生成を行うのでは」という推測をしたが、これは見当違いであることがNVIDIAより寄せられた。
いわく、Smooth Motionを利用すると、Tensorコアでフレーム生成処理が実行される(DLSS FGのようにOFA=Optical Flow Acceleratorを利用しない)。その際に、オーバーヘッドで実際のフレームレートが下がるそうだ。
RTX 5070 TiのフルHDのみ、Smooth Motionオン時のTBPが上がっている点は不明だ。しかし、このゲームではSmooth Motionをオンにするとよりワットパフォーマンスが良くなるという理解で間違いはない。
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