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RTX 5080との性能差は価格に見合うものなのか?

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

2025年02月19日 23時00分更新

RTX 4070 Tiではなく、RTX 4070 Ti SUPERの後継者

 RTX 5070 TiはRTX 5080の廉価版というべき位置付けである。RTX 40シリーズにおいては、RTX 4080とRTX 4070 Tiの間にはコアの断絶(AD103とAD104)があり、VRAM搭載量(16GBと12GB)やメモリーバス幅(256bitと192bit)も大きく異なっていた。

 これは後日リリースされたRTX 4070 Ti SUPERがAD103ベースになることで、RTX 4080とのギャップが埋まった。しかし、今回のRTX 5070 Tiは初手からRTX 5080と同じGB203コアを採用している。つまり、RTX 5070 TiはRTX 4070 Tiではなく、RTX 4070 Ti SUPERの後継者なのである。

 そのため、RTX 5070 TiはVRAM容量が16GB(GDDR7)、メモリーバス幅が256bitである。足まわりは上位モデルのRTX 5080に並んでいるが、RTX 5070 TiのSM(Steaming Multiprocessor)数は約17%少ない70基にとどまる。さらに、旧世代に目を向ければ、RTX 4080のほうがRTX 5070 TiよりもSM数は多い(76基)。

 その一方で、メモリー帯域に注目すると、RTX 5070 TiはGDDR7の採用で896GB/secを実現し、GDDR6Xを採用するRTX 4080(716.8GB/sec)を大きく上回る。つまり、単純なCUDAコア数勝負になるような状況、すなわちCGレンダリングやフルHDゲーミングなどでは、RTX 4080のほうが有利になると予想される。

 しかし、そこにAIやレイトレーシングの処理が入る、あるいは単純に解像度が高い状況ではメモリー帯域の太いRTX 5070 Tiが有利になると推測できる。このあたりがRTX 4070 Ti SUPERの後継と評する理由となる。Total Graphics Powerは300W。こちらは上位モデルより下がっており、ぐっと扱いやすくなっている。

RTX 50シリーズやRTX 4070 Ti SUPERなどとのスペック比較

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

GPUの情報:「GPU-Z」にて取得。検証時点ではまだGPU-Zのデータベースに入っていないため、抜けがある。PhysXにチェックが入っていないのは、RTX 50シリーズで32bitのPhysXがサポート外になったことが関連しているようだ

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

同じくGPU-Zより取得。Power Limit上限が100%かつデフォルトも100%であるということは、ファクトリーオーバークロックモデルではないことを意味している

GeForce RTX 5070 Ti性能検証、RTX 4080と互角以上の立ち回り

NVIDIA BIOSでもPower Limitのデフォルトと最大値はどちらも同じ(300W)である

 ここで改めてRTX 5070 Tiのメリットをまとめておこう。CUDAコアまわりの設計は前世代と大きく変わっていないが、整数演算性能の倍増(FP32専用のラインがINT32も実行可能になった)や、AIワークロードの交通整理を行うAMP(AI Management Processor)が追加されるなど、これまでになくAI処理性能に振った味付けになっている。その上でRTX 5070 Tiのメリットは以下になる。

●DLSS Multi Frame Generation(以降MFGと略)対応:DLSS Frame Generation(FG)の機能を拡張する形で、フレームレートをさらに増加できる

●Smooth Motion:DLSS FGに対応していないDirectX 11/12のゲームに対し、ドライバー側でフレーム生成を実施できる

●Reflex 2の早期対応:「VALORANT」「THE FINALIST」などで対応予定だが、RTX 50シリーズが最初に解放される

●4:2:2 10bitカラーフォーマット対応のNVEnc/NVDec:より高画質な動画編集が期待できる。「DaVinci Resolve Studio」などがネイティブで対応予定

●ニューラルシェーダー対応:グラフィック描画タスクにAIを組み込み、従来よりも少ないデータ量(=VRAM使用量)でより高画質な描画が実施できる。旧来のGPUでも実行可能だが、RTX 50シリーズは設計段階でニューラルシェーダーに照準を合わせている

RTX 3070 TiやRTX 4070 Ti SUPERとも対決

 今回のポイントは、RTX 5070 Tiの立ち位置を検証することにある。RTX 5080やRTX 5090レビューから時間が経過しているため、今回すべてのデータを再取得した。比較対象にはRTX 5080のほか、RTX 4070 Ti SUPER搭載カードとRTX 4080 Founders Edition(以下、FE)、Ampere世代のRTX 3070 Ti FEも用意した。

 RadeonついてはRX 7900 XTを用意していたのだが、機材トラブルでRadeon RX 7900 GRE搭載カードに急遽変更した。RX 7900 GREは今後登場するRTX 5070との対決がふさわしいと考えているのだが、一応メモリーバス幅256bit、VRAM 16GBつながりということでご容赦いただきたい。

 今回も消費電力のデータをHWBusters「Pownetics v2」で計測するために、PCI Express x16スロットにライザーカードを装着している。その都合上、前もってPCI Express x16スロットのリンク速度は、PCI Express 5.0(Gen 5)ではなく同4.0(Gen 4)に固定している。これまでのレビューで示した通り、RTX 50シリーズの性能低下はごくわずかだった(最大でも2%程度)ので、すべてのデータはGen 4環境で取得している。

 また、GPUドライバーはGameReady 572.43およびAdrenalin 25.2.1を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 9800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.2GHz)
CPU
クーラー
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザー
ボード
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.18.AS02)
メモリー Crucial「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」(16GB×2、DDR5-5600)
ビデオ
カード
NVIDIA「GeForce RTX 5080 Founders Edition」(16GB GDDR7)、
Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(16GB GDDR7)、
NVIDIA「GeForce RTX 4080 Founders Edition」(16GB GDDR6X)、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti SUPER Trinity OC White Edition 16GB GDDR6X」(16GB GDDR6X)、
NVIDIA「GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition」(8GB GDDR6)、ASRock「AMD Radeon RX 7900 GRE Steel Legend 16GB OC」(16GB GDDR6)
ストレージ Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、
Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
電源
ユニット
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)
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