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新年度に必要な書類のたたき台を秒で作る! 人事部門の効率化で時間短縮!

2025年02月28日 11時00分更新

 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第8回は新入社員や人事異動などの手続きで業務が増える人事部門が必要とする書類を用意する時間を短縮する方法について解説する。

 4月に新入社員を迎えるにあたり、様々な書類を準備する必要がある。雇用契約書は法務部門が作るし、マイナンバー提供書、社会保険・雇用保険の加入手続き書類も元からの書類が存在するだろう。しかし、新たに作らなければならない書類もたびたび発生する。たとえば、身元保証書だったり、最新の研修資料などだ。

 指示を受けた人事担当は、これまでであれば、Googleで書類の例文やテンプレートを探すことだろう。しかし、日本企業の社内分化は千差万別で、なかなかな自社にぴったりの書類を見つけることは難しい。そんな時は生AIに作ってもらおう。

 例えば、デジタルリテラシーについての研修資料を作るなら、生成AIにそのように指示すればいい。普通に頼むとExcelやWordの使い方などが入ってきたので、不要であればデジタルツールの使い方は抜くように追加指示する。ここでは、生成AI御三家のひとつ「Claude」を利用した。

研修資料もあっという間にできる

■プロンプト
新入社員向けにデジタルリテラシーの研修を行うので研修資料を作ってください。スライド20枚。デジタルツールの使い方は別研修で行うので、ここではITを使う際に必要な心構えやデジタルセキュリティの基本などを教えます。ビジネスシーンを想定しますが、デジタルに詳しくない人向けにしてください。


 あっと言う間に20枚のスライドの内容が生成された。見出しと内容の箇条書きがあるので、このままPowerPointでスライドを生成できそう。はじめにやまとめ、質疑応答まで含まれているので、本題だけで20枚欲しいなら25枚くらい生成するように指示するといいだろう。それもチャットに書くだけでOK。

 このたたき台が、あっという間に作れるのが生成AIの魅力だ。もちろん、不要な項目が含まれていたり、企業独自の内容を追加する必要があるかもしれない。とは言え、初期作業を大きく時短できるので、ブラッシュアップに時間を割くことができる。

20ページの研修資料をあっという間に生成してくれた

要望があれば存分に再作成してもらえばいい

 研修時にはスライドに合わせて解説する必要があるが、研修するのに慣れていないなら、この時に話す内容も生成AIに作ってもらおう。何枚目のスライドに対し、何文字のトークスクリプトが欲しいのか指定すればいい。全ページ分を一気に作るように指示することもできるが、文字数が多くなりすぎてうまく動作しないことが多い。文字数が多くなる場合は、小分けにして生成するほうがクオリティを維持できる。

■プロンプト
スライド3のトークスクリプトをパラグラフで作成してください。2分なので600文字前後でお願いします。

最新のトレンドを織り交ぜた今年度版を作成する

 先輩が実施した研修の資料を引き継ぎ、今年度版を作ることもあるだろう。もちろん、そのブラッシュアップにも生成AIを活用できる。とは言え、試しに、Claudeに昨年の研修資料を入れて、リニューアル項目を考えてもらったところ、少々古い内容が返ってきてしまった。

 やはり、最新情報を扱うなら検索機能を利用する必要がある。今回は「Perplexity」という検索特化型生成AIサービスに昨年のワード資料をアップロードし、ブラッシュアップさせてみた。

 その結果、量子コンピューティングやAI倫理・バイアス問題、ゼロトラストセキュリティモデル、ハラスメント、多様性、心理的安全性、ウェルビーイングとデジタルデトックスなど、今どきのビジネスパーソンが知っておきたいキーワードが8項目に渡って提示された。この中から、追加したい項目を取捨選択すればいい。もちろん、それもAIに任せ、重要度でソートさせたり、追加する項目のスライドやトークスクリプトを作ってもらうことも可能だ。

Claudeは1年前に改名したGeminiのことを「Bard」と呼んでいて、ちょっと情報が古い

■プロンプト
昨年の研修資料です。今年版にリニューアルする際、どんな項目を追加すればいいですか?

 生成AIを使い始めたばかりなら、まずは作業の時短に活用し、成功体験を積み重ねていこう。コツは完ぺきを求めないこと。イチから研修資料を作るなら、骨組みを作るだけで半日はかかる。Claudeを使えば、5分で作れるのだから、そのアウトプットを起点に作業することで、大幅に効率をアップできる。

 もちろん、研修資料だけでなく、入社誓約書や身元保証書、就業規則・福利厚生の説明書など、何でも作ることができるので、まずは試してみることをお勧めする。

注目の最新AIニュース

2025年2月18日にイーロン・マスク氏が率いるxAIは最新のAIチャットボット「Grok 3」をリリースした。約20万台のGPUを使って92日間にわたる学習を実施した結果、数学や科学分野、さらにはプログラミングの問題解決においても飛躍的なスピードと精度を実現している。リアルタイム検索機能「Deep Search」を搭載し、Xとの連携を通じて最新情報を素早く取り込み、指定のハッシュタグやトピックに応じた回答を瞬時に生成できる点もユニークだ。料金プランは当初XのPremium+加入者(月額40ドル)のみがフル機能を利用できるはずだったのだが、2月20日からは無料アカウントにも開放された。ただし無料ユーザーには2時間ごと最大10回のメッセージ送信、1日3件までの画像生成といった制限が設けられ、「サーバーがパンクするまで」提供されるとのこと。今後は月額30ドルの「SuperGrok」プランが導入され、優先アクセスや追加機能などの特典が得られる見込みだ。

「Grok 3」では詳細なリサーチを行うDeepSearchや推論モデルを使うThinkなども利用できる

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