ワークスタイルムービー「大丈夫2」公開記念セッションレポート
現役女性管理職の語るやりがいや悩み “役職の呪い”で自身を縛らず、できることを一歩ずつ
2025年03月11日 11時30分更新
「女性ならでは」の管理職の価値はあるのか 女性管理職になりたい、なりたくない人へのメッセージ
セッション後半では、パネルディスカッションにてテーマごとに女性管理職について深掘りした。モデレーターは、子育ては任せっぱなしだったものの、今では食事を担当している「夫と主婦の気持ちがわかる枠」のTECH.ASCII.jp 大谷イビサが担当した。
TECH.ASCII.jp 大谷(以下大谷):広報の女性にこんなセッションをやると伝えると、「女性管理職を想像できない」と言われ、ネガティブな反応も多かったです。お二人は管理職に就く前に、どういったイメージを描いていたでしょうか。
サイボウズ 和泉純子氏(以下和泉氏):子育てをしながら、仕事もめちゃくちゃできて、パワーがある人しかなれない、もしくは親の助けが必要なのではとイメージしていました。
會澤高圧コンクリート 畑野奈美氏(以下畑野氏):私も同様です。実は、入社した時に女性の大先輩がいて、「その人を目指すのだよ」と周りに育てられました。ただ、能力も考え方も違かったので、会社が望む管理職の姿が先輩であれば、私は無縁だなと思っていました。
大谷:そういったイメージを持っていた管理職に実際に就いてみて、やりがいを感じることや大変だったことはあったでしょうか。
和泉氏:色々なやりがいがありますが、会社の方針とチームが挑戦したいことが交わるよう目標が立てられて、実際にチームが加速すると、うれしいなと実感します。
畑野氏:大変なことでいえば、“お手並み拝見”という空気があることです。われわれはコンクリート屋さんで、女性社員が少なく、時代を背景に女性を役員登用しなければというのを感じていました。それでも、私ができない時には、協力してくれるのはありがたいですし、不甲斐なくて頑張ろうという気持ちも湧きます。
やりがいだと感じるのは、和泉さん同様に、上司や部署を飛び越えて、他部署の本部長などとすぐに話せるようになったことです。小さなチームでできなかったことが、会社のキーマンと話してすぐ動かせるようになったことは大きいと実感しています。
大谷:今まで見えないような視座で仕事ができるのがやりがいということですね。次に、テーマとして挙げるか迷ったのですが、あえて“女性ならではの”管理職の価値を感じていますでしょうか。
和泉氏:女性ならではというのはないです。ただ、私自身、4年管理職をしているものの、それまでの16年間は現場のことを考え続けていたので、次に管理職になれそうな人がいたら場所を譲って戻ってもいいなという気持ちでいます。会社側も、そういった肩の力が抜けているところを理解しているのではと思います。
大谷:管理職だから偉いというより、自分にお鉢が回ってきたロールといった捉え方ですね。
畑野氏:和泉さんに共感しかなくて、女性ならではというより、男性も含めていろいろな考え方をする人がいる中で、たまたま私が会社に必要としている部分にマッチしたのだと思っています。
大谷:やはり、女性ならでは男性ならではというのは、時代的に古いという感じがしますね。世の中の経営者や部下に望むことはありますでしょうか。
和泉氏:一度、「管理職を望んでない」と部下から聞いても、それを鵜呑みにしないで欲しいですね。男性も女性も、家族の環境によってアクセルを踏める時と、踏めない時がある。もっとこまめに聞いて、都度判断して欲しいなと思います。私も、管理職に向いている部下には、一個一個ステップを用意しているつもりです。
畑野氏:部下に対しては、遠慮せずに話しかけてきて欲しいと言いたいですね(笑)。
大谷:畑野さんの場合は、在宅勤務にしても管理職にしても、社長の決断が大きかったと思いますが、経営者に対しては何かありますか。
畑野氏:急に前触れもなく人事を下さずに、事前に何かほのめかせて欲しいです。私の場合は、周りのおめでとうのチャットで昇進を知りましたので。
大谷:最後に、女性管理職になりたい人、なったら嫌だなと思っている人、あるいは女性管理職を育てなきゃと思っている人達にメッセージをお願いします。
和泉氏:自分も一歩一歩、これで良いのか確かめながら進んでいるので、気負わずチャンスが訪れたら挑戦して欲しいですし、部下にチャンスがあれば挑戦させて欲しいと思います。
畑野氏:管理職を任された時は気負ってしまって、管理職はこういうものだと自分に呪いをかけてしまうこともあるかもしれません。ただ、悩んだときには自分の強みや目標を思い出して、できることを一歩一歩やっていただけたらと思います。
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