本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第7回は書き慣れないメール内容を代筆してもらう方法について解説する。<
まずは簡単なプロンプトで文章を作成してみる
メールの文章に悩むことはないだろうか。日々業務でやり取りしている相手であればもちろん考えずに書くことができるものの、時々しか書かない内容だと手が止まってしまいがち。
セミナーの開催をお知らせする、初めての相手から見積もりをもらう、見積もりをもらった相手にお断りする、著名人に講師を依頼する、支払いを催促する、など人によっては書いたこともない、というケースは多い。そんな時、従来はGoogleで「●● 文例」などと検索していたことだろう。しかし、なかなかぴったりの例文が見つからなかったり、そもそも文例が書かれているブログが広告だらけで読みにくい、ということも多い。
そんな時は生成AIに聞こう。とはいえ、聞き方を間違えると、使い物にならないので注意すること。例えば、講師を依頼する本文を作成する際、「●●教授に講演の依頼をするメールを書いて」とだけ書いても、生成AIは対応してくれる。
ChatGPTも賢いもので、明らかに情報が不足しているのに、きちんと○○と空欄にして差し替えられるようにしている。あいさつからイベント紹介、その人を選んだ理由を述べ、条件を質問するなど問題のない流れになっている。しかし、文例サイトと同じく、自社にぴったりの内容になっていないはず。
Claudeにも聞いたら、文章を生成する前に、講演のテーマや開催日時、謝礼などの条件を逆に聞き返してきた。つまり、これらの情報がなければきちんとした文章を作成できない、ということだ。
プロンプトは「明確に」「具体的に」書く必要がある。メールを書いてもらうなら、そこに入れる情報はすべてユーザーが入力しなければならないのだ。あくまで生成AIには「メールの本文を書いてもらう」作業をしてもらうと考えよう。
生成AIビギナーがつまづきやすいのが、与える情報が少なすぎて、クオリティの低い結果が返ってくるのを見て「使えない」と判断するところ。生成AIには手持ちの情報はできる限り突っ込む、という基本技は最初に覚えておきたい。
生成AIへの指示は明確に、具体的に
では、Claudeの質問にそのまま回答する形でプロンプトを作成してみよう。相手の名前や依頼する講演の内容、開催日時、謝礼などだ。講演依頼で重要なのは、なぜその人に依頼するのか、という理由だろう。本来であれば自分できちんと書くべきだが、なかなか悩む部分でもある。そんな時は、生成AIに書いてもらい、必要に応じて修正するほうが手間が省ける。ここでは、「何で依頼するのかの理由も創作して」と書いておく。
■プロンプト
講演の依頼をするメールの本文を書いてください。丁寧にかつ、慇懃無礼にならないように自然なメールにしてください。何で依頼するのかの理由も創作しておいてください。
###条件
1. ●●さんの正式なお名前や役職
株式会社レベリング 部長 加藤さん
2. 講演のテーマや内容
AIエージェントと協働する未来
3. 希望する開催日時
2025年2月の平日、午後
4. 開催場所
東京都品川区のオフィス
5. 想定する聴衆や参加人数
50人
6. 講演時間の長さ
60分+質疑応答10分程度
7. 謝礼などの条件
些少ながら5万円
■出力
**件名**: 講演のご依頼:「AIエージェントと協働する未来」について
**株式会社レベリング
部長 加藤 様**
突然のご連絡を失礼いたします。私、株式会社○○の**(名前)と申します。平素より貴社のご活躍を拝見し、特にAI関連技術分野での取り組みに大変感銘を受けております。
この度、加藤様にぜひご講演をお願いしたく、ご連絡差し上げました。貴社がAIエージェント技術の研究と実用化で注目を集めていらっしゃることを拝見し、私どもの社内勉強会でその知見をお話しいただける機会がございましたら、非常に有意義になると考えました。
講演テーマとして、「AIエージェントと協働する未来」をご提案させていただければと思います。このテーマについては、貴社の技術や実績を基に、現代社会におけるAIエージェントの可能性や、今後人間とどのように協働していくべきかについてご教示いただけると幸いです。
**講演の詳細は以下の通りです:**
- **日時**: 2025年2月の平日、午後(具体的な日程についてはご都合を伺いながら調整させてください)
- **場所**: 東京都品川区の弊社オフィス
- **聴衆**: 社員およそ50名(幅広い職種のメンバーが参加予定です)
- **講演時間**: 約60分+質疑応答10分程度
- **謝礼**: 些少ながら5万円をお支払いさせていただきます
ご多忙中のところ恐縮ではございますが、加藤様のこれまでのご経験やお知見をぜひ共有いただければと願っております。なお、詳細やご要望については別途調整可能ですので、お気軽にご相談くださいませ。
お手数をおかけいたしますが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。ご返信を心よりお待ち申し上げております。
**どうぞよろしくお願い申し上げます。**
**株式会社○○**
**(担当者名)
電話番号: 03-xxxx-xxxx
メール: your.email@example.com
---
ご要望や条件の変更がございましたら、お知らせください。
上記のプロンプトで生成されたメール本文はまったく問題のない文章となった。特に、創作しろと指示した依頼した理由の部分も自然な感じに書いてあり、そのまま送って良さそうだ。もちろん、ここで頓珍漢な創作をしてくることもあるので、それは人間がチェックし、再作業を指示すること。生成AIが書いたからといって、ミスがある文章を送信したら、責任を問われるのは自分なので注意すること。
文章作成の指示は明確に、具体的に。必要な情報は箇条書きでも口語でもいいので提示する。これだけ守れば、生成AIはきっちり代筆してくれるので、どんどん活用して欲しい。
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Adobe Firefly Video Modelは2025年2月13日にパブリックベータ版のリリースを開始した。テキストプロンプトや画像から最長5秒間の高品質な動画を自動生成することができ、3Dスケッチやカスタムモーションデザインを活用した独自の映像表現が可能。20以上の言語に対応した動画翻訳機能を備えており、国際展開や多言語対応のマーケティング施策への活用が期待されている。初期リリース時点では1080p解像度での動画生成に対応しており、将来的な4K対応も予定。Adobe独自のIPフレンドリーなコンテンツでトレーニングされているため、著作権に配慮した商用利用が可能な点が特徴だ。Premiere Proなどとのシームレスな統合が実現され、充実したクリエイティブ制作環境が整備されている。利用料金については、月額9.99ドルのFirefly Standardプランと月額29.99ドルのFirefly Proプランが用意されている。Standardは月に最大20本、Proは最大70本の動画を生成できる。プロ向けのPremiumプランも登場予定だ。
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