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“Battlemage”世代の尖兵「Arc B580」レビュー【後編】

Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来

2024年12月19日 10時00分更新

「Indiana Jones and the Great Circle」

 最高画質+4Kだと推奨GPUが「GeForce RTX 4090」という、とてつもない要求をすることで話題になったIndiana Jones and the Great Circleも試してみよう。このゲームにおける最も重い画質設定は「究極」だが、その名が示す通り本当に重いため、2段階下の「ウルトラ」設定とした。

 本稿検証時におけるビルドでは、FSRやXeSSは未実装、DLSS SRとFGのみ実装という状態であった。そのため、RTX 4060以外のGPUはレンダースケール67%(スタティック)、RTX 4060のみDLSSの「クオリティー」+FGという不均衡な設定になるところだったが、RTX 4060環境ではVRAM不足によりゲームが起動せず、ArcシリーズとRX 7600のみでの比較としている。今回の検証ではマップ「サンタンジェロ城」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Indiana Jones and the Great Circle:1920×1080ドット時のフレームレート。RTX 4060はこの条件でもVRAM不足で起動せず

Indiana Jones and the Great Circle:2560×1440ドット時のフレームレート

Indiana Jones and the Great Circle:3840×2160ドット時のフレームレート

 レイトレーシング入りでリアルな描き込みを特徴とするゲームだけにフルHDでもかなり重いが、Arc B580ならレンダースケールを下げるだけでマップ探索程度は普通にこなせる環境が得られる。Arc B580の優位性は言うまでもなくVRAM搭載量だが、VRAM 8GBのRX 7600とArc A750に大差がついている点も興味深い。

 XeアーキテクチャーのレイトレーシングユニットがRDNA 3のRay Acceleratorより強力なのか、アーキテクチャーに紐付いた優位性がArcシリーズにあるのかは不明だ。しかし、RX 7600ではまっすぐ歩くのが精一杯のところに、Arc A750がそれ以上のフレームレートを出せるという点がおもしろい。Arcシリーズはダメだと頭から決めつけていた人は少し認識を改めるべきだろう(なにせGeForceだって落ちるのだから……)。

Indiana Jones and the Great Circle:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位:W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位:fps)

 Arcシリーズの消費電力は高い印象を受けるが、このゲームにおけるRX 7600は終始窒息気味でまともに処理できていない。そのため、消費電力が低いように見える点に留意してほしい。これはワットパフォーマンスの値を見れば明らかだろう。

「God of War Ragnarök」

 God of War Ragnarökは画質「ウルトラ」、DLSSとFSR 3は「クオリティー」+FGに設定し、Arcシリーズでも汎用的なフレーム生成を利用する。新ゲーム開始直後、犬ぞりで逃げるシーンにおけるフレームレートを計測した。

God of War Ragnarök:1920×1080ドット時のフレームレート

God of War Ragnarök:2560×1440ドット時のフレームレート

God of War Ragnarök:3840×2160ドット時のフレームレート

 フルHDやWQHDでは、Arc B580はA750を上回ることはできたが、RTX 4060とRX 7600の地位を脅かすまでには至らなかった。しかし、4KになるとVRAMの強みが生きて、両者を超える性能が出た。どの解像度で遊ぶかによって、コスパが変わるタイトルと言えるだろう。

God of War Ragnarök:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位:W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位:fps)

 消費電力のパターンから、Call of Duty(Black Ops 6)と同じGPUドライバーの最適化不足(もしくはゲームとXe2アーキテクチャーの設計的ミスマッチング)がうかがえる。ただし、フレームレートがしっかり出ているのでワットパフォーマンスは決して悪くはない。

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