第458回
“Battlemage”世代の尖兵「Arc B580」レビュー【後編】
Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来
「Call of Duty(Black Ops 6)」
Call of Dutyは最新の「Black Ops 6」を使用した。画質は「極限」に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Overwatch 2とは正反対に、ArcシリーズとBlack Ops 6の相性は良くない。どの解像度においてもRTX 4060を超えることができなかった。ただし、このタイトルでベンチマークモードが追加されたのは(筆者の記憶が正確なら)割と最近であり、検証初期段階ではゲーム側の問題で描画に不具合も出たこと(アップデートで改善)を考えると、GPUドライバーの最適化以外のところでArcシリーズの足がとられている可能性も捨てきれない。
また、本作ではAMDがかなり最適化に力を入れていると自ら宣伝しているが、RX 7600に限っては最低フレームレートが落ち込みやすく、RTX 4060よりもやや下という評価をせざるを得ない。特に解像度を4Kまで上げるとRX 7600ではまったく動けなくなるので、まだゲームとGPUドライバーの両方に改善の余地が残っているように思える。
Overwatch 2の消費電力に比べると、Arc B580の消費電力はかなり下がっている。そして解像度が高くなるほど消費電力も増えているということから、Arc B580のフレームレートが低い理由は、B580が全力を出し切ってフレームレートが出ないのではなく、なんらかの理由でGPU側がストール気味になっているためにフレームレートが出ない、と考えられる。
GPU負荷が高すぎる場合は、RX 7600の4K時のように負荷が限界を超えたところで消費電力が下がる。しかし、Arc B580の消費電力のパターンはそんなことはなく、単純にCall of Duty(Black Ops 6)というゲームにおいて、GPUパワーを十全に引き出せていないことを強く示唆するものである。
「Witchfire」
Witchfireの画質は「Ultra」、アップスケーラーはオフ(レンダースケール100%)に設定。マップ「Apothecary」における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。このゲームはDLSS FGに対応しているが、筆者のミスですべてアップスケーラーなしで検証してしまった。この点はお詫びしたい。
Ultra設定にすると霧・煙系のエフェクトが重く、エントリー寄りのGPUでは最低フレームレートが落ち込みやすい。フルHDではRTX 4060がギリギリArc B580を押さえ込んだが、WQHDでは逆転。この点はインテルの思惑通りの展開になっていると言えるだろう。とはいえ、今回検証したGPUだと、プレイには画質をもう少し落とす必要があるだろう。
Arc B580の消費電力はRX 7600をやや上回る程度。4Kになると43W差まで拡大するので”やや”という表現は不適切だが、GPU性能的に4Kプレイは厳しいので、“実用範囲内では”RX 7600よりやや大きい程度という表現のほうが正確だろう。ワットパフォーマンスにおいてもRX 7600を着実に上回っており、Arc B580の完成度は”出来に不安が残る初期のドライバー環境においても”十分高いと言える。
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