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光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU

2024年12月09日 12時00分更新

 Hot Chipsの話題も今回が最後。インテルの"4 Tb/s Optical Compute Interconnect Chiplet for XPU-to-XPU Connectivity"の話をご紹介したい。

光インターコネクトを利用して
プロセッサー同士の接続を狙うインテル

 もともと、インテルは光インターコネクトに2000年代から熱心だった。それもシリコンオプティクス(シリコン製光学素子)を利用して、光インターコネクトを実現するのが目標だった。

 下の画像は2006年のIDFにおけるJustin Rattner氏(当時のCTO)の基調講演のスライドなのだが、配線距離50cmあたりを境に、それより短いものは銅配線、長い物は光配線にするという壮大な野望のためのコンポーネントが次第にそろいつつあることをアピールしていた。

"Today's High Speed Interconnects"と銘打っているものの、100m以内はまだ銅配線の方が多かった気がするし、1m以内に光配線が入ることはまずなかった

まだ当時はLight Source(光源)とModulation(変調)のみが実現できており、その意味ではまだ実現には時間がかかると思われていた

 その4年後となる2010年には、50Gbpsでの伝送に必要なすべてのコンポーネントをシリコンで製造することに成功したと発表している。

主要なコンポーネントを全部シリコンに置き換えることに成功し、これを組み合わせることでシリコンベースのみで50Gbpsの送受信することに成功したという発表

 その翌年に登場したのがLight Peakである。Thunderboltのご先祖様とでも言うべきLight Peakは光ファイバーベースのインターコネクトを目指していたが、それがThunderboltになる際には銅配線ベースになってしまった

 辛うじて2011年の新VAIO ZでPower Media Dockとして光ファイバーベースのLight Peakが採用されたものの、それ以上には広がらなかった。

 ではその後シリコンフォトニクス(光と電子の集積回路)はどうなったか? というともう少し現実的な市場で量産することで、コスト低減や製品の洗練を目指すことになった。

 下の画像は2021年のTech Field DayでインテルのRobert Blum氏(Sr. Director, Marketing and New Business, Silicon Photonics Product Division)らが行なった"Optical Networking at Scale with Intel Silicon Photonics"という動画で示されたスライドだが、この時点で同社はシリコンフォトニクスを使った100Gイーサネットのトランシーバーを年間200万ユニット、累計で500万ユニット出荷していることを明らかにしている。

このあたりの話はBroadcomと同じ。このトランシーバーモジュールはシリコンフォトニクスの手頃な題材らしい

 もっともインテルは2023年10月に、このイーサネットモジュールのビジネスを丸ごと米Jabilに売却してしまっている

 Broadcomの例だとイーサネットモジュールの次にスイッチが来たわけだが、インテルはスイッチ製品を扱っていない。ちなみに、2019年にBarefoot Networksを買収し、ここの保有していたTofinoというスイッチ製品は存在したが、2022年にこのTofino製品への新規投資を中止。既存製品のサポートのみとしたので、少なくともこのTofinoにシリコンオプティクスを使うというプランは完全になくなった。

 ただ「理論上は」インテルのファウンドリーでスイッチの製造を請け負う可能性はあるので、これに向けたCPOの提供を用意する準備はあるようだが、それよりもインテルの焦点はその先、光インターコネクトを利用してのプロセッサー同士の接続にあるとする。

一番右はそこからさらに話を進め、例えばプロセッサーとメモリーとインターコネクトをそれぞれ自由に組み合わせるといったことも想定しているが、これは先走り過ぎ

 例えばPonte VecchioことData Center GPU Maxは最大8つまでをXe Linkを使って相互接続できる構成だが、Auroraに搭載されたブレードにはData Center GPU Maxが6つが物理的な限界となっている

 したがってより数を増やそうとすると、その先はホスト側のPCI Express経由若しくはイーサネット経由となる。これは電気的な信号であることがボトルネックになっており、今後よりAIなどでプロセッサー数を増やす場合、そのプロセッサー同士の相互接続が問題になってくるという話だ。

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