オンラインでの購入はアプリや登録が必要でなかなか難しい
ただし、ゆっくりと見たいから「看一下」というと、店員は「ここだけでなく当店のオンラインサービスに一杯あるよ」と言われる。オンラインショップもあるのだ。ただし中国のオンラインショップは、アプリ全振りが基本で、PCからでは不便なサービスも多く、愛回収や転転もまた例外ではない。
中国の閉じたネット環境ではアプリを入れるのも面倒。まず中国のアプリストアを入れてから、目的のアプリを検索してインストールしなければいけない。インストールできても注文までが面倒なので、ラインアップと値段を見るためにインストールし、現地で出会ったものについて気に入れば買うくらいがいいだろう。
中古商品と価格だけ見るならば、日本の電話番号の登録でも見られるタオバオでもいい(中国はなにをするにも実名登録が必要になるので、そこは諦めるしかない)。ただ買うとなるとサービスに登録しているショップから買うことになるし、型番が微妙に異なるニセモノも多数あり、品質的に問題ない本物が届くとは限らない。
トホホな経験もネタに転換し、「(失敗したけれど)中国でのオンラインショッピングの経験値を高めた!」と前向きになる人以外は初めてでの購入はリスキーでお勧めできない。また中国のモバイルショップや中古市場に行っても見られるが、そもそも値札すらついていないし、ガラスショーケースの中に入っているので言葉が話せなければ購入は困難を極める。それに仮に適正価格で買えたとしても、問題なく動作する保証はない。かくいう筆者もノートPC購入でバッテリーがヘタったの製品を買ったことがある。
資源の再利用を目指し、中古市場の活性化を政府が後押し
補助金も出して促進している
こう考えると「愛回収」はフォックスコンでリフレッシュし、ライバルの「転転」もまた相応のリフレッシュ作業をして、店頭では明朗会計で販売しているのだから、今までになく安心して購入できる店舗がようやっとできたというのがわかるだろう。愛回収らの台頭により「中古は数世代前でも十分な速度でコスパがよくていい」という若い消費者が増え、それまで詐欺と背中合わせだった中古販売が中国でもじわじわと広がりつつある。
中国政府が使用済みの資源の積極的再利用を目指す「循環経済」を訴え、愛回収や転転らがそれに応える形で、中古市場活性化が進んでいる。11月には毎年恒例となる商戦期ダブルイレブンセールがあり、中古市場でも買い取りに補助金を出して新型モデルへの買い替え促進をした。
つまり11月はまだまだ中古商品が潤沢にあるだろうし、政府主導である限りはしばらくは積極的な買い取りをするはずで、行けばそれなりに中古商品の在庫があって買い物が楽しいはず、なのである。中国は日本人の短期ビザ免除を再開したこともあって、中国に行くことがあれば、その都市の中古店舗を見るのも一興だろう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「移民時代の異国飯」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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