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Cybozu Daysの名物企画「kintone show+case Unlimited」レポート

全身全霊の6分間 今年のkintoneカスタム王は誰だ!

2024年11月22日 09時00分更新

プラグイン戦国時代のプラグイン運用を提案(Crena)

 6番手はkintoneプラグインを手がけるCrenaの2人。画面には「458」という数字が映し出され、登壇した平野賢太郎さんは「いきなりですが、質問です。これ何の数字かわかりますか?」と会場に問いかける。

 「458」。これは2024年8月時点でのkintoneプラグインの数だという(ペパコミ調べ)。「今やプラグイン戦国時代」とも呼べる状況です」と平野さんは指摘する。プラグインの選択肢が増えるのはよいことだが、新たな悩みも生まれてくる。そんな悩みを解消するのが今回のショーケースだ。

Crenaの平野賢太郎さん

 1つ目に挙げたのは、「ダウンロード/インストールが手間」という悩み。そもそもこれだけの数からプラグインを探し、ダウンロード・インストールをするのは大きな手間だ。また、「バージョン管理やアップデートが大変」という悩みもある。「アップデート情報はメーカーごとに案内方法が異なるため、それぞれ個別に確認する必要があります」と平野さん。つねに最新のバージョンを保つのは大変だが、古いバージョンで使い続けると新しい機能が使えなかったり、セキュリティ面での問題につながってしまう。

 3つ目は「他環境へのプラグインの設定移行が手間」という悩み。平野さんは「アプリ自体はテンプレートで簡単に移行できますが、プラグインは手動で再設定する必要があります。手作業で発生すると、設定漏れや設定ミスが発生する必要があり、確認作業に多くの時間を費やしてしまうのではないでしょうか?」と指摘する。

 これらの課題は「なんとかしてほしい」という課題が寄せられていたものの、技術的に解決が難しい問題だったという。これに対して救世主のようにサイボウズから提供されたのが、プラグイン関係のAPI。これならプラグインの課題を解決できると考えたCrenaが開発したのが、今回紹介する「プラグインマネージャー」になる。

 プラグインマネージャーでは、kintone上でのプラグインの検索とインストール、バージョン管理、アップデート、設定情報の以降までカバーする。さっそくCTOの平吹憲人さんがデモを披露。kintone画面からプラグインを検索し、インストールボタンを押せば導入は完了。「試したいプラグインが複数あっても簡単に試すことができます」(平吹さん)。また、現在利用中のバージョンと最新バージョンを一目で確認でき、アップデートもボタン1つで可能。

 移行に関しては、移行元から設定情報をサーバーに保存し、移行先で設定情報を読み込めばOKだ。実際、35個のアプリ、25のプラグイン、150もの設定で試したところ、通常ではインストール、設定、動作確認まで15時間(880分)かかっていた設定が、わずか1分で設定できたという。プラグインは無償提供されるという。

移行で調べたパフォーマンスは圧倒的

 しんしんさんは、「プラグインを使っている方の悩みに真摯に向き合い、解決していくところがよかった。前職でkintoneで管理職をしていたので、これがあれば本当によかったなと思いました」とコメント。得点は584アンリミテッドと2位につけた。

帳票形式から入力でき、フォーム形式も選べる(KTK……)

 ラストバッターは4年連続の出場となるKTK…(今年こそ)。過去は女子受けを狙ったピンクのkintone、開発者用のエディタなど笑えるネタを手がけてきたが、「今年は真面目にやります」(永田亮介さん)とのことで、相方を変えての再挑戦となる。まさに「今年こそ」だ。

4年連続の出場となる永田亮介さん

 過去の振り返り動画のあとは、初登場となる羽田さんから「最近、Excelの請求書をkintoneに移行したんですけど、みんななかなか使ってくれなくて」という相談からスタートする。アプリを見てみたが、問題なさそう。永田さんは「これはアプリの問題というよりも、そもそも新しいものに変わるのをいやがる人が多いんですよ。何が悪いというよりも、パッとした見た目、デザインが変わることによって、拒否反応を示す人がいるんだよね」と指摘する。

 当たり前だが、kintoneアプリはExcelと見た目が違う。永田さんの業務改善経験からすると、「これはExcelの見た目にデザインを寄せることで、使ってくれるようになるんです」とのこと。「kintoneでそんなことできるんすか?」という羽田さんが聞くと、「そんな羽田君のために、今日は帳票のデザインのまま入力できるプラグインを作ってきました」と永田さん。これには、「Wow!It's Amazing まじですか!!」と羽田さんも大喜びだ。

 さっそくプラグインの設定画面を披露。kintoneの上部にある「帳票追加」というボタンを押し、帳票名を入力し、元のExcelをPDFに変換してアップロード。表示された帳票で好きな位置でドラッグすると、フィールドを選択できるので、選択すると入力フォームができあがる。あとはフォントサイズやサイズを設定すればOKだ。

帳票形式で入力できる

 レコード作成メニューを押すと、先ほど作成したフォームが現れる。「入力フォーム自体がExcelの入力フォームを元に作成しているので、初めて使う方も違和感なく使うことができるようになっています」と永田さんはアピール。テーブルの中身もそのまま入力でき、計算式もkintoneの設定が有効となる。追加を押すと、自動的にPDFに変換して、レコード詳細でプレビューできる。これには「Wow!It's Amazing idea」とやっぱり羽田さんも喜んでいる。

 秀逸なのはkintoneの元のフォームも利用できる。ユーザーごとにkintoneのフォーム形式がよいのか、帳票形式がよいのかを選択でき、切り替えることも可能だ。「このように帳票のデザインのまま入力させてあげることで、Excelからkintoneへ移行するハードルを軽減したり、ユーザーのレベルにあわせて入力形式を設定できるので、使いやすさにも大変こだわっています。これには羽田さんも「契約する」との回答だ。

 しんしんさんは、「帳票の画面で入力するというのも素敵だったのですが、それを押しつけないというのがめちゃくちゃいいなと思いました。人によって、kintoneのデザイン、帳票のデザイン、選べる方もいるということで、入力しやすさを選べるのがすごくいいなと思いました」と感想を語った。

今年は着眼点がポイント トップをとったのは・

 この時点での1位は588アンリミテッドのkintone芸人生田さんで、この点数を超えるかどうかで、優勝が確定する。登壇者全員が舞台に戻り、会場から集計した得点を待つことに。KTKは596アンリミテッドを獲得し、まさに「今年こそ」のチーム名の通り、最後の逆転を決めた。

 永田さんは「いつもはふざけてましたが、今年は真面目にがんばりました。みなさん、応援ありがとうございました!」とコメント。しんしんさんは「今年はカスタマイズを行なう前の着眼点がポイントだったと思いました。カスタマイズを行なうきっかけがユーザー想いの方が多く、kintoneの可能性を感じました」とコメント。

チーム名通り、チャンピオンを勝ち取った「KTK」の羽田さんと永田さん

 さまざまなカスタマイズが飛び交うkintone Show+Case Unlimitedだが、しんしんさんのコメントの通り、今年はユーザーの課題に向き合ったショーケースが多く、そのまま商品化できそうなプラグインも数多く登場した。時流に乗った生成AI一色にならなかったのも、kintoneらしいイベント。ただ、サイボウズ自体が生成AIの導入に舵を切った今年以降は、AIの活用が大きなテーマとなるだろう。

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