製造業の現場に寄り添ったIoTとkintoneとの連携(いもキャンOB・OG倶楽部)
3番手はkintoneカスタマイズコミュニティである「いもキャン」のメンバーから構成された「いもキャンOB・OG倶楽部」。こちらも劇場仕立てというか、絵本仕立て。「ああ、製造業のお客さまに響くなんかいい製品ないかなあ~」という天の声から、「ピンチは赤い光でキャッチ、ドキドキ、工場レボリューション」がスタート。登場人物は某製造部で現場リーダーをしているコボリーダー、イシイ工場長、営業部の井上課長、そして天の声だ。
ある朝、コボリーダーは生産個数が未達でイシイ工場長に詰められていた。また、井上課長からの納期遅れに対する詰問にもしどろもどろになっていた。そんなコボリーダーの悩みは「設備が多すぎて、生産状況が把握できない」、そして「使える人、時間、金がかかること」の2つだ。
そんなコボリーダーが天の声からプレゼントされたのが、IoTで用いられる低価格なマイコンボードのM5Stack。「センサーを拡張することでさまざまなシーンに活用でき、プログラミングによってkintoneとの連携もできるんですよー」という天の声に対して、コボリーダーも「よーしこれで業務改善するぞー!」とやる気満点だ。
続いてコボリーダーから仕組みの説明。工場の現場には非常時やトラブル時に赤く点灯するシグナルタワーが設置されている。このシグナルタワーにM5Stackのセンサーを取り付け、赤い点灯にセンサーが反応したらkintoneのレコードに書き込むよう設定する。これにより、自動ログと可視化が実現するわけだ。さらにkintoneを拡張し、情報共有や業務依頼書の作成を迅速に実現するできるようにした。「これによってトラブルに対して、チームで迅速に対応できるようになります」とコボリーダーはアピールする。
続いてデモ。IoTのデモでは、シグナルタワーが赤く光ると、kintoneに自動的にレコードが登録されている。ユーザーインターフェイスも工夫されており、石井工場長のイラストを用いて、現場の臨場感がやたら伝わるカスタマイズが行なわれている。LINEの通知も、通常稼働時は「順調順調、至極当然だぞ」なのだが、トラブルが多い日は「早急になんとかせい!」となる。
こんなときは1人でなんとかするのではなく、チームでの対応が重要だ。先ほど表示されていた荒ぶっていた工場長のアイコンには仕掛けがしてあり、クリックするとダイアログが立ち上がり、シュシュッと応援要請を登録することができる。「画像付きでスレッドに投稿することで、現場の臨場感を伝えることができます」とコボリーダー。
さらに応援申請のオプションでは、業務依頼書を作成することができる。「製造業あるあるなんですが、応援を依頼しても、業務依頼書がないと動けないと言われることもありますが、そんな悩みを解消することも可能です」とコボリーダー。これは現場思いだ。M5Stackの設定値もkintoneでマスター化しているため、汎用性、拡張性、リーズナブルさを確保し、工場のさまざまな現場で迅速な投入が可能になるという。イシイ工場長も、井上課長も、仕組みに大満足なようで、よかったよかった。
天の声は「この仕組みは生産ラインを加工することなく、運用を開始できます。そのため、生産ラインの可視化による迅速なトラブル対応が可能になりました。それだけではなく、課題にあわせた柔軟な運用も可能になり、改善活動も活発になりました」と1年後の様子を解説。生産性や短納期による顧客満足度向上につながったとさ、というオチでショーケースを終えた。
さっそく得点の収集を完了。しんしんさんは「今回、具体的な製造業の課題にしぼってIoT機器を使ったショーケースを作っていただきました。仕組みがコンパクトで、違うところに付けやすいのもいいですよね」とコメント。得点は432アンリミテッドで3位となった。
生成AIがkintoneアプリを作る なんならYouTubeからでも(生田智之さん)
4番手は、唯一のピン登壇となったkintone芸人こと生田智之さん。普段は三重県のコムデックでkintoneの導入支援を手がけており、kintone芸人としてYouTubeで情報発信を手がけている。コムデックのオウンドメディアでも事例が豊富に載っており、「kintoneの参考書と言っても過言ではない」と生田さんはアピールする。
生田さんが課題と挙げたのは、「誰かアプリ作ってくれないかな~」というユーザーの声だ。kintoneでアプリを作ってきた聴衆は多いはずだが、生田氏は「打ち合わせの中で、みなさんの頭の中では、kintoneの仕様やイメージができあがっていて、あとは手を動かして作るだけということがあると思うんですよ」と早々に生成AIのフラグを立ててくる。「これをAIにやってもらおうということで、新しいアプリをAIが作るという機能を搭載してきました」(生田さん)。
「AIでアプリ作成」のメニューをクリックし、打ち合わせ内容のテキストを読み込ませると、「こんな感じでアプリを作ったらどう?」というアプリ概要を提案してくれる。サジェストにOKを出せば、フィールド構成やサブテーブルについてもサジェストしてくれる。生田さんのさらなる推しはプラグインの提案までしてくれること。アプリを構成通りに作ってくれるだけではなく、一覧やプラグインの追加までやってくれる。「めちゃめちゃAIありがとうって感じですよね」と生田さん。イメージと違ったら、人間側が作り替えてもよい。
テキストで作れるなら、音声もいけるはず。ここで試したのが、自らが手がけているYouTubeだ。ここではkintoneを使って、製造業の製品不良削減を実現した事例の動画をAIに読み込ませれば、音声をいったん文字起こしして、AIがアプリ概要を提案してくれる。ここから先は提案について人間が判断をすれば、アプリが作成できるわけだ。ここまでで時間は終了。アプリテンプレート形式で公開予定だという。
しんしんさんは「今回のテーマは時流に乗っているAI。アプリの構成とアプリがばらばらにできる点が一見地味だが、よかった」とコメント。櫻井さんも「生田さんって、芸人を名乗るわりに真面目ないい開発するんですよねー」とエールを送る。得点は588アンリミテッドとなり、この時点で一気にトップに躍り出た。
アクセス権設定の悩みを一気に解決するアクセス犬(チームNSD-SDG)
5番手の「NSD-SDG」は、「総務・人事・kintone管理者必見!階層的アクセス権設定を一発解決!」というカスタマイズを披露した。チームはアニメの聖地東京の立川を拠点にkintoneなどのソリューション事業を展開するエヌ・エス・ディのメンバー4人から構成されるハイテクファミリーだ。
次男のたかちゃんは「みなさんはkintoneのアクセス権は使っていますよね。アクセス権は、情報漏えいやコンプライアンスを守るためにも非常に重要です」と説明。たとえば勤怠管理アプリであれば、部門長は構成員の勤怠情報を見られるが、異なる組織の部門長や構成員同士は見られない。ただ、こうした設定を人事異動のたびに行なうのは骨が折れる。「ここで一発解決!アプリ作っちゃいました」とのことで、「ドラッグ&ドロップ 組織階層設定アプリ(通称アクセス犬)」を開発した。
アクセス犬はkintoneのフォームのように設定できる。長男のえっつは動画を用いて操作を披露。レコード追加ボタンを押すと、フォームには独自のエディタが表示され、「サイボウズドットコム共通管理」に登録された、組織、ユーザー、グループが用意される。次に組織階層を作成でき、ドラッグ&ドロップでメンバー・サブリーダーを登録し、それぞれに権限を付与する。組織階層ができて名前を付けて保存すると、こちらの組織がプリセットとなるため、あとはアプリ、レコード作成や閲覧などのアクセス権を適用していけばよい。
末っ子のしょーごによると、6部署3階層からなる120名分のアカウントで、10個のアプリにアクセス権を適用する場合、手作業では13時間半かかる作業が、アクセス権は13分半で終わっているという。部門が増えれば増えるほど、適用先のアプリが増えれば増えるほど、導入効果は大きくなるとのことで、プラグイン化も決定したという。
しんしんさんは「アクセス権は全体の設計に関わるので、けっこう大変なんですよね。その点、今回のカスタマイズでは、縦構造のアクセス権設定が簡単にでき、再利用が効くというのもよいと思いました」とコメント。得点は458アンリミテッドとなった。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう